《速報解説》 会計士協会が「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正を公表 ~改正公認会計士法において監査報告書の電磁的方法による発行が可能となったことに対応~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2021年8月19日付けで(ホームページ掲載日は2021年9月24日)、日本公認会計士協会は、法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正を公表した。 これは、2021年9月1日に施行された改正公認会計士法において、監査報告書を電磁的方法で発行することなどが可能となったことに対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 監査報告書等の電磁的方法による発行に関する対応 「Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例」「2.契約書の記載内容」「(5)報告書等」において、2021年の公認会計士法の改正により、被監査会社の承諾を得た場合に、監査報告書等の発行を電磁的方法で行うことが可能となった(「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」8条による改正後の公認会計士法25条3項及び34条の12第3項)と説明書きを修正し、次のことを記載している。 2 無限責任監査法人の指定社員の通知に関する対応 無限責任監査法人の指定社員の通知に関して、改正公認会計士法では、被監査会社の承諾を得た場合に電磁的方法によることを可能とする旨の記載が盛り込まれた。 そこで、「Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例」「2.契約書の記載内容」「(8)業務執行社員又は指定社員若しくは指定有限責任社員の通知」の説明書きを修正し、次のことを記載している。 (了)
《速報解説》 時価基準の適用指針の公表を受けて、 財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令が公布・施行される ~「金融商品に関する注記」に新たな規定を創設~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2021(令和3)年9月24日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第61号)が公布された。これにより、2021年7月7日から意見募集されていた内閣府令(案)が確定することになる。内閣府令(案)に寄せられた意見に対する金融庁の考え方も公表されている。 これは、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(2021年6月17日、改正企業会計基準適用指針第31号)の公表を受けたものであり、投資信託の時価の算定と貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価について規定するものである。 また、「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(2021年1月28日、改正企業会計基準第5号)について、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とする改正も行う。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 「金融商品に関する注記」(財務諸表等規則8条の6の2第3項~第5項)に、次の規定を設ける。 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」などや、関連する「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」なども改正する。 Ⅲ 適用時期等 * * * 上記のほか、比較情報に関する取扱い、金融商品の時価の算定方法を変更した場合の取扱いなどが規定されているので、実際の適用に際しては注意が必要である。 (了)
《速報解説》 令和3年度税制改正を受けて、 グループ通算制度に係る法人税法施行規則別表等を改正する省令が公表される ~既存の別表の見直しとともに新規追加も~ 公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸 「法人税法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令(財務省令第66号)」が令和3年9月17日に公布され、同日から施行されている。 この改正省令では、令和3年度の税制改正を受けて、グループ通算制度に係る法人税法施行規則別表・地方法人税法施行規則別表関係(法人税法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年財務省令第56号))の改正が行われており、既に公布されていた別表の見直しとともに、いくつかの別表が新規に追加されている。 新規に追加された別表など主なものは次のとおりとなる。 上記のうち、注目すべきものは、通算法人が試験研究費の税額控除の規定を適用する場合の別表である。 《①》 通算法人の試験研究費の税額控除については、単体納税制度と同様の計算の仕組みで、通算グループ全体で税額控除限度額(税額控除可能額)を計算して、その税額控除可能額を各通算法人の調整前法人税額の比(控除分配割合)で配分して、各通算法人の税額控除限度額(税額控除可能分配額)を計算するが、その計算をするために、以下の別表が用意されている。 《②》 上記①の別表において、他の通算法人に係る計算要素を使用する必要があるが、その集計をするために、以下の別表が用意されている。 《③》 上記①の別表では、通算法人が試験研究費の税額控除を適用した場合の修更正の遮断措置に対応するため、「この申告が修正申告である場合」の記載区分が用意されている。また、それ以外にも修更正の遮断措置に対応するための以下の別表が用意されている。 《④》 試験研究費の税額控除に関する「大企業に対する租税特別措置の適用除外措置」については、通算グループ全体の合計額で要件の判定(継続雇用者給与等支給額に係る要件、国内設備投資額に係る要件、所得金額に係る要件)を行うことになるが、そのために以下の別表が用意されている。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 証券取引等監視委員会が「開示検査事例集(令和3年度版)」を公表 ~昨年話題となった「架空循環取引」事例を取り上げ、背景や原因についても紹介~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 証券取引等監視委員会事務局は、このほど、「開示検査事例集(以下「事例集」と略称する)」を公表した。 令和3年度版の「開示検査事例集」では、新たに、令和2年7月から本年6月までの間に開示検査を終了し、開示規制違反について課徴金納付命令勧告を行った事例についても、概要が紹介されている。また、令和元年から掲載が始まり、令和2年8月版で大幅に拡充された「監視委コラム」については、昨年同様、最近の開示検査を通じてクローズアップされた開示制度や会計基準のほか、不正会計の実態等について解説されている。 本稿では、公表された事例集のうち、最近の開示検査の動向を知るうえで参考になると思われる、ⅠからⅢまでを中心にその内容をご紹介したい。とりわけ、「Ⅲ 最新の課徴金納付命令勧告事例」については、最近1年間に開示検査を終了した最新の事例について、開示規制違反の内容、その背景・原因やその是正策の概要がまとめられている(「証券取引等監視委員会からのメッセージ」より引用)ため、本稿の解説もこの事例を中心としたい。 Ⅰ 最近の開示検査の取組み 本項目に関しては、令和2年8月版の記述が、ほぼそのまま使われている。 事例集「Ⅰ 最近の開示検査の取組み」の冒頭で、証券取引等監視委員会(以下「監視委」と略称する)は、以下のように述べている。 そのうえで、監視委の取組みついて、以下の3項目を挙げている。 なお、この3項目については、平成30年公表の事例集以来その内容を踏襲している。 Ⅱ 最近の開示検査の実績とその内容 令和2事務年度(令和2年7月~令和3年6月)に、監視委が行った開示検査は23件で、前年実績(33件)を10件下回っている。そのうち、開示検査終了件数は16件(前事務年度実績は14件)であり、課徴金納付命令勧告が9件(前事務年度実績は8件)となっている。 1 課徴金納付命令勧告事案の概要 2 開示規制違反の背景・原因 監視委は、課徴金納付命令勧告を行った事案において認められた開示規制違反に至った背景・原因として、次のように例示している。 Ⅲ 最新の課徴金納付命令勧告事例 事例集に記載された「最新の課徴金納付命令勧告事例」のうち、開示書類の虚偽記載による課徴金納付命令勧告事例9件については、下表のとおりである。なお、事例集では、会社名は公表されていないため、本表では、監視委の報道資料をもとに会社名を記している。 【課徴金納付命令勧告事例】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (注) 赤字は、本誌連載「会計不正調査報告書を読む」で取り上げた事例。 2020年で最も話題となったといっても過言ではない、ネットワンシステムズ株式会社の架空循環取引については、【事例4】として取り上げられている。その中で、監視委が認定した「背景・原因」は次のとおりである。 なお、本件では、監視委が課徴金納付命令勧告事案としては初めて、「架空循環取引」という用語が使用されている(これまでは、単なる「循環取引」又は「資金循環取引」という表現が使われてきた)。 (了) ↓お勧め連載記事↓
2021年9月22日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.437を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第2回】 「持分会社の組織再編成」 公認会計士 佐藤 信祐 1 支配関係及び完全支配関係 持分会社を前提とすると、支配関係とは、一の者が法人の出資の総額の100分の50を超える金額の出資を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の支配関係がある法人相互の関係をいい(法法2十二の七の五、法令4の2①)、完全支配関係とは、一の者が法人の出資の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の完全支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいう(法法2十二の七の六、法令4の2②)。 このように、持分会社には株式という概念がないことから、出資金の額により支配関係及び完全支配関係の判定を行うという特徴がある。そして、持分会社では、定款にそれぞれの社員の出資金の額を記載する必要があることから(会社法576①六)、原則として、定款に記載されている出資金の額により支配関係及び完全支配関係を判定することになる。 ただし、定款に記載されている社員が単なる名義人である場合にも同様に判定してしまうと、税制の適用が恣意的に行われる恐れがあることから(※1)、名義人と実際の権利者が異なる場合には、実際の権利者により支配関係及び完全支配関係の判定を行うことになる(法基通1-3の2-1)。 (※1) 佐藤友一郎『法人税基本通達逐条解説(九訂版)』44頁(税務研究会出版局、令和元年)。 2 按分型要件 分割型分割を行った場合において、按分型要件を満たすためには、分割対価資産が分割法人の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式又は出資の数又は金額の割合に応じて交付されることが必要になる(法法2十二の十一柱書)。 そして、会社法622条1項では、「損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める」と定められていることから、定款の定めにより、出資金の額に応じずに損益分配割合を定めることができる。すなわち、持分会社を分割法人とする分割型分割を行った場合において、出資金の額に応じない損益分配割合を定めているときは、分割対価資産も出資金の額に応じないで分配されることになる。 しかしながら、法人税法上、出資金の額に応じないで分割対価資産を交付した場合には、按分型要件に抵触するものとされている。そのため、持分会社を分割法人とする分割型分割は、按分型要件に抵触しやすいということが言える(※2)。 (※2) 会社法上、合同会社を分割法人とする分割を行うことはできるが、合名会社又は合資会社を分割法人とする分割を行うことはできない(会社法2二十九、三十)。さらに、会社法上、分割に伴って剰余金の配当を行うことができる分割法人は株式会社に限定されているが(会社法758八、760七、763①十二、765①八)、分割法人が合同会社である場合において、同様の効果をもたらすためには、分割の日に分割法人が取得した分割承継法人株式を剰余金の配当として株主等に分配する必要がある。このような場合であっても、法人税法上、分割対価資産のすべてが分割の日において分割法人の株主等に交付されている事実は変わらないため、分割型分割として取り扱うことができる。 3 事業規模要件 (1) 基本的な取扱い 吸収合併を行った場合において、事業規模要件を満たすためには、被合併法人の被合併事業とそれに関連する合併法人の合併事業のそれぞれの売上金額、それぞれの従業者の数、被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことが必要になる(法令4の3④二)。 そして、合名会社及び合資会社では、資本金の額が登記事項とされていないものの、合同会社では、資本金の額が登記事項とされている(会社法914五)。それでは、合名会社及び合資会社に資本金の額がないのかと言えば、会社計算規則30条において持分会社の資本金の額について定められていることから、合名会社及び合資会社にも資本金の額は存在するのである。 歴史的な経緯を見てみると、平成17年改正前商法においては、合名会社及び合資会社には資本金の額という概念はなかった。持分会社において資本金の額が定められている理由は、合同会社の財源規制上の控除額として資本金の額を利用する必要があったからである(※3)。これに対し、合名会社及び合資会社には無限責任社員がいることから、資本金の額を定める必要性は乏しいものの、合名会社及び合資会社と合同会社を一括して規制したことから、資本金の額についても定められている。 (※3) 相澤哲『立案担当者による新・会社法の解説(別冊商事法務295号)』164頁(商事法務、平成18年)。 (2) 被合併法人及び合併法人のいずれも持分会社である場合 そのため、被合併法人及び合併法人のいずれも持分会社である場合には、出資金の額だけでなく、資本金の額という概念もあることから、いずれにより事業規模要件を判定するのかという点が問題となる。この点については、「被合併法人と合併法人(括弧内省略)のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額」と規定されていることから、資本金の額で事業規模要件を判定することもできるし、出資金の額で事業規模要件を判定することもできると解さざるを得ない。その結果、出資金の額では事業規模要件を満たさなくても、資本金の額では事業規模要件を満たす事案も想定される。 (3) 被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合 これに対し、事業規模要件の判定上、被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合には、資本金の額により事業規模要件を判定するのか、出資金の額により事業規模要件を判定するのかという点が問題になる。 この点については、①売上金額、②従業者の数、③資本金の額、④出資金の額若しくは⑤これらに準ずるものと規定されずに、①売上金額、②従業者の数、③資本金の額若しくは出資金の額若しくは④これらに準ずるものと規定されていることから、持分会社である被合併法人の資本金の額若しくは出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較すべきであると考えられる。この場合には、法人税法施行令8条に定められている資本金等の額に係る規定において、①資本金の額若しくは出資金の額、②前事業年度までの資本金の額若しくは出資金の額以外の増減額、③当事業年度の資本金の額若しくは出資金の額以外の増減額を合計した金額とされており、資本金の額と出資金の額を同様に取り扱っていることから、持分会社である被合併法人の出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することができると解すべきであると考えられる。 もちろん、持分会社である被合併法人にも資本金の額という概念があることから、持分会社である被合併法人の資本金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできると解さざるを得ない。そのため、被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合には、①持分会社である被合併法人の出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできるし、②持分会社である被合併法人の資本金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできると考えられる。 4 特定役員引継要件 例えば、吸収合併を行った場合において、特定役員引継要件を満たすためには、合併前の被合併法人の特定役員のいずれかと合併法人の特定役員のいずれかとが当該合併後に合併法人の特定役員になることが見込まれていることが必要になる(法令4の3④二)。 そして、特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役、常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。しかしながら、持分会社には取締役という概念がなく、原則として、社員が持分会社の業務を執行することになる(会社法590)。そして、定款により業務を執行する社員を定めることも認められている(同法590、591)。さらに、業務を執行する社員は、原則として、持分会社を代表することになる(同法599①本文)。ただし、持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、その定められた者が持分会社を代表することになる(同法599①但書)。 このように、代表取締役に準ずる者で法人の経営に従事している者に代表権を有する業務を執行する社員が含まれると解することに問題はないと思われる。さらに、社員が法人である場合には、業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任する必要がある(同法598①)。このように、法人である社員が代表権を有する場合には、選任された職務執行者が当該法人に代わって職務を執行することから、当該職務執行者の行為も代表権者の行為であると認められる。そのため、代表社員である法人社員の職務執行者も、原則として、代表取締役に準ずる者で法人の経営に従事している者として特定役員に含まれることが多いと思われる。 5 株式継続保有要件 例えば、吸収合併を行った場合において、株式継続保有要件を満たすためには、合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資(議決権のないものを除く)のうち支配株主に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることが必要になる(法令4の3④五)。 株式継続保有要件の判定上、以下に掲げる株式については、議決権のないものに含まれないこととされている(法規3の3②)。 これらは、所有者のステータスによって議決権が一時的に行使できないものは議決権のないものに含まれないという考え方によって整理されている(※4)。そして、上記(2)に掲げられている属人的定めのある株式と同様に、明文規定はないものの、持分会社に対する出資のうち所有者のステータスによって議決権が行使できないものがあったとしても、議決権のないものに含めるべきではないと考えられる。 (※4) 佐々木浩ほか『平成18年度改正税法のすべて』292頁(平成18年、大蔵財務協会)。 (了)
〔令和3年度税制改正〕 中小企業経営強化税制における D類型(経営資源集約化設備)の追加 【前編】 税理士 坂井 晴行 1 はじめに M&Aによる中小企業の経営資源の集約化を図ることを目的に、令和3年度税制改正により中小企業経営強化税制(以下「本税制」という)の対象にD類型(経営資源集約化設備)が追加され、適用期限が2年延長された。 正確に述べると、本税制の対象資産及び手続きに関しては、中小企業等経営強化法に規定されており、中小企業等経営強化法の改正によりD類型が対象資産に追加された。 税務上の取扱いは、従来からあるA・B・C類型と同様に対象資産につき、即時償却又は税額控除の選択適用となり、主務大臣の認定を受けた経営力向上計画の申請書等の写しの添付が要件となる。よって、中小企業等経営強化法に従った手続きをスケジュールに則り申告期限内までに行う必要がある。 本稿では前後編の2回にわたり、新たに追加されたD類型を中心に、①税務面(租税特別措置法)と②手続面(中小企業等経営強化法)から解説していく。 2 税務面(租税特別措置法) (1) 内容 青色申告書を提出する中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定(強化法17①)を受けた中小企業者等が平成29年4月1日から令和5年3月31日までの期間内に、認定を受けた経営力向上計画に基づき新品の特定経営力向上設備等を取得又は製作若しくは建設して、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却又は取得価額の7%(一定の法人は、10%)相当額の税額控除の選択適用ができる(措法42の12の4①②)。 (2) 対象者「中小企業者等」 適用対象者となる「中小企業者等」とは、次の法人等のうち、中小企業等経営強化法の認定を受けた「特定事業者等」(※)に該当するものをいう(措法42の4⑧七、八、強化法2⑥)。 (※) 「特定事業者等」とは、「経営力向上計画」を提出できる事業者で、常時使用する従業員数が2,000人以下の法人又は個人、協同組合等、医療法人等、社会福祉法人、特定非営利活動法人が該当する(詳細については【後編】の3の(1)参照)。 (3) 対象資産「特定経営力向上設備等」 中小企業等経営強化法に規定する「経営力向上設備等」のうち、政令で定める一定の取得価額以上のものが「特定経営力向上設備等」として対象となる(詳しくは【後編】の3の(2)参照)。 特定経営力向上設備等に該当するものであることを証するために、確定申告書に経営力向上計画の写し及び経営力向上計画に係る認定書の写しを添付しなければならない(措令27の12の4②③⑤、措規20の9①②、強化規16②)。 (4) 指定事業 この制度の適用対象となる指定事業は、次に掲げる事業をいう(措法42の6①)。 (注1) 電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象外。 (注2) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当するものを除く。 (注3) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業は、生活衛生同業組合の組合員が営むもののみが指定事業。 法人の営む事業が指定事業に該当するかどうかは、当該法人が主たる事業としてその事業を営んでいるかどうかを問わない。指定事業は、おおむね日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定する(措基通42の12の4-6)。 (5) 特別償却 特別償却限度額は、取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされ、普通償却限度額と併せその取得価額の全額を償却(即時償却)することができる。 なお、所有権移転外リース取引により取得した特定経営力向上設備等については、特別償却を適用することはできず、税額控除のみ適用を受けることができる(措法42の12の4①⑥)。 (6) 特別償却不足額の1年間の繰越 特別償却限度額まで償却費を計上しなかった場合に生じる特別償却不足額は、1年間繰り越すことができる(措法52の2)。 (7) 税額控除 税額控除限度額は、特定経営力向上設備等の取得価額の7%相当額(中小企業者等のうち、資本金又は出資金の額が3,000万円以下の法人は10%)となる。 ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その20%相当額が限度となる。 なお、租税特別措置法42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)の税額控除額及び繰越税額控除限度超過額の金額がある場合には、その20%相当額からこれらの金額の合計額を控除した残額が限度となる(措法42の12の4②)。 (8) 繰越税額控除限度超過額の1年間の繰越 税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)について1年間繰り越すことができる(措法42の12の4③④)。 (9) 留意点 以下、税務面に係る主な留意点についてまとめたので参考とされたい。 * * * 次回は手続面(中小企業等経営強化法)を中心に解説を行う。 (【後編】に続く)
〔令和3年度税制改正〕 中小企業事業再編投資損失準備金の手続と税務処理 【前編】 公認会計士・税理士 荻窪 輝明 令和3年度税制改正で創設された中小企業事業再編投資損失準備金制度(措法55の2)(以下「本制度」という)について、改正中小企業等経営強化法による認定手続から準備金積立額(損金算入・益金算入)に係る税務処理までを2回に分けて解説する。 なお、本制度の把握に有用と思われる範囲で補足しているが、これらはあくまで現時点で公表済みの情報によるものであり、今後の更新情報に留意されたい。また、文中の意見に関する部分は、所属する団体や組織の公式見解ではなく筆者の私見であることを申し添える。 本制度の概要や全体像の理解にあたっては、令和3年度税制改正大綱の公表時点の記事であるが、以下の拙稿を参照されたい。 1 改正中小企業等経営強化法による認定手続 2021年8月2日付で「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」の活用について」が公表され、本制度の手引きやQ&Aなどが示された。 今回は、この内容を踏まえて、改正中小企業等経営強化法による認定手続について解説する。 2 本制度の申請の流れ 本制度の申請の流れは、次のフロー図のとおりである。 (出所) 中小企業庁「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用について」 計画に従って取得した株式が本制度の対象となるため、既に株式譲渡を行っているM&Aについては、計画の申請はできない(本制度の対象とならない)。 3 経営力向上計画の申請・認定(上記2で示したフロー図の①の段階) 経営力向上計画の申請様式など申請の詳細については、中小企業庁ホームページの「経営力向上計画の申請について」より入手、確認できる。 (1) 経営力向上計画の申請にあたって必要となる記載事項 本制度の活用にあたっては、通常の経営力向上計画の記載内容に加えて、以下の2点の記載が必要とされる(Q&A 2ページ)。 (※1) 事業承継等事前調査とは、M&Aの買い手側が売り手側に対して行う調査で、法務、財務、税務等の観点から、引き継ぐ経営資源について損害が生ずる恐れがないか調査を行うものをいう。一般的にデューデリジェンス(DD)と呼ばれる。 また、「10 事業承継等事前調査に関する事項」の記載例は次のとおりである。「法務に関する事項」「財務・税務に関する事項」は必ず記載(必須記載)する点(「その他の調査」については任意記載)に留意したい。製造業を例に記載例を紹介する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「経営力向上計画の申請について」1-3.申請書記載例 製造業(2021年8月13日更新)8ページ。 (2) 経営力向上計画の申請に必要な添付書類 申請書(様式第1、第2)に加えて、以下の書類を添付する(Q&A 2ページ)。 なかでも「事業承継等事前調査チェックシート」は、中小企業事業再編投資損失準備金(「以下、準備金」)の活用を予定する場合に、M&Aの実施にあたって十分なDDが行われているかの確認を行うために提出する書類であり、①経営力向上計画の申請時と、②M&Aの報告時の2回提出する。 作成にあたっては、中小企業庁ホームページの「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」を参考にするとよい。 このうち、①計画申請時の「事業承継等事前調査チェックシート」では、「財務・税務DD」シート、「法務DD」シートの両シートについて、小項目ごとに実施予定があるかどうかを確認し、実施予定の場合はシートのF列に〇(そうでない場合は✕)を記載し、実施予定でない場合はG列に実施しない理由を記載する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」1ページ。 4 M&Aの報告・確認書の発行(上記2で示したフロー図の②の段階) (1) 経営力向上計画認定後に提出する書類 M&Aの実施後、主務大臣に対してM&Aを行ったことを、事業承継等報告書(様式第5)を用いて報告する必要があり、併せて「事業承継等事前調査チェックシート」を添付する必要がある。 ① 「認定経営力向上計画に係る事業の承継及び事業承継等事前調査報告書(様式第5)」(事業承継等報告書) 実施した事業承継等の概要及び事業承継等事前調査の内容を記載する。株式を取得した日及び買収対象法人の名称の記載は必須となる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」2ページ。 ② M&A実行後の報告時における「事業承継等事前調査チェックシート」 「財務・税務DD」シート、「法務DD」シートの両シートについて、小項目ごとに実施したかどうかを確認し、実施した場合はシートのH列に〇(そうでない場合✕)を記載し、実施しなかった場合はその理由をI列に記載する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」3ページ。 「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」には、事業承継等事前調査チェックシートQ&Aが掲載されているため、必要に応じて参考にするとよい。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」4ページ。 (2) 事業承継等の報告に必要な資料 事業承継等報告書(様式第5)に加えて、以下の書類を添付する(Q&A 2ページ)。 また、事業承継等事前調査についての実施主体が、有資格者(※2)でない場合、以下の資料についても添付が必要となる。 (※2) 法務DD:弁護士、財務・税務DD:税理士又は公認会計士。 この点に関して、「事業承継等事前調査チェックシート」の内容を満たすような調査であれば、自社でDDを実施した場合にも対象となるが、調査の実施主体が、有資格者でない場合、事業承継等の報告時に、追加的に以下の資料についても添付が必要となる(Q&A 4ページ)。 なお、事業承継等事前調査報告書と、チェックシートとの対応関係を示す資料は、中小企業庁ホームページの「経営力向上計画の申請について」に、EXCEL形式の例が示されており、ダウンロードが可能である。 5 主務大臣に対する事後報告 提出する部数は1部(郵送可)であり、初回の提出期限は、M&Aを行った事業年度の翌事業年度終了後4ヶ月以内となっている。また、事業承継等状況報告書の受理にあたって、必要に応じてヒアリングの実施があり得る。 「事業承継等状況報告書(各年度・最終年度)」、「事業承継等状況報告書作成の手引き」は下記参考資料より入手、確認できる。「事業承継等状況報告書作成の手引き」には、個別Q&Aが掲載されており、必要に応じて参考にするとよい。 〇事業承継等状況報告書作成に際しての記載方法 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等状況報告書作成の手引き」を筆者加工。 * * * 次回は、本制度について、準備金積立額(損金算入・益金算入)に係る税務処理を解説する。 (【後編】に続く)
〔令和3年度税制改正における〕 株式交付に係る課税繰延べ措置 【第2回】 「旧租税特別措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置」 太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太 【第2回】は、旧租税特別措置法(以下「措置法」という)における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置について確認する。 なお、旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置については、令和3年3月31日までの期限の到来をもって廃止されている。 1 旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置(概要) (1) 法人株主の取扱い ① 譲渡損益の繰延べ 法人株主が、買収会社(認定特別事業再編事業者(※1))の行った産業競争力強化法の認定に係る特別事業再編計画(※2)に係る特別事業再編によりその有する対象会社(特別事業再編対象法人)の株式を譲渡し、買収会社株式の交付を受けた場合には、対象会社株式の譲渡について算入すべき益金の額又は損金の額はないこととされている(旧措法66の2の2①)。 (※1) 「認定特別事業再編事業者」とは、産業競争力強化法第25条第1項に規定する特別事業再編計画について認定を受けた法人をいう。 (※2) 「特別事業再編計画」とは、特別事業再編に関する計画をいい(産競法25①)、特別事業再編とは、産業競争力強化法第2条第11項に規定する事業再編のうち、2以上の事業者が、それぞれの経営資源を有効に組み合わせて一体的に活用して、それぞれの事業の全部又は一部の生産性を著しく向上させることを目指したものであって、一定の要件に該当するものとされている(産競法2⑫)。 《特別事業再編のイメージ》 ② 買収会社株式の取得価額 特別事業再編により交付を受けた買収会社株式の取得価額は、譲渡した対象会社株式の譲渡直前の帳簿価額(交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)に相当する金額とされている(旧措令39の10の3①一)。 ③ 対象会社株式が売買目的有価証券に該当していた場合 譲渡した対象会社株式が売買目的有価証券とされていた場合には、交付を受けた買収会社株式も売買目的有価証券として処理する(旧措令39の10の3①二)。 (2) 個人株主の取扱い ① 譲渡損益の繰延べ 個人株主が、買収会社の行った産業競争力強化法の認定に係る特別事業再編計画に係る特別事業再編により対象会社株式を譲渡し、買収会社株式の交付を受けた場合には、その株式譲渡はなかったものとみなし、その譲渡に係る事業所得、譲渡所得及び雑所得の課税を繰り延べられる(旧措法37の13の3①)。 ② 買収会社株式の取得価額 特別事業再編により交付を受けた買収会社株式の取得価額は、譲渡した対象会社株式の取得価額(交付株式の交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)となる(旧措令25の12の3)。 (3) 買収会社の取扱い ① 対象会社株式の取得価額 対象会社株式の取得価額は、次の場合の区分に応じそれぞれ次の金額となる(旧措令39の10の3②一)。 〔特別事業再編計画認定の日における対象会社の株主数〕 (※3) 「前期期末時」とは、特別事業再編対象法人の取得の日を含む事業年度の前事業年度終了の時をいう(旧措令39の10の3②一)。ただし、同日以前6ヶ月以内に中間申告書を提出し、かつ、提出の日から取得の日までの間に確定申告書を提出していなかった場合には、取得の日を含む事業年度開始の日以後6ヶ月の期間終了の時とされている(旧措令39の10の3②一)。 (※4) 「簿価純資産価額」とは、資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額をいい、前期期末時から取得の日までの間に資本金等の額又は利益積立金額が増加し、又は減少した場合には、増加した金額を加算し、又は減少した金額を減算した金額とされている(旧措令39の10の3②一)。 ② 増加資本金等の額 買収会社において増加する資本金等の額は、その特別事業再編により移転を受けた対象会社株式の取得価額(取得をするために要した費用の額が含まれている場合には、その費用の額を控除した金額)とされている(旧措令39の10の3②二)。 買収会社が2以上の種類株式を発行している場合には、増加した資本金等の額を交付株式の交付直後の価額の合計額で除し、これにその交付株式のうちその種類株式の交付直後の価額の合計額を乗じて計算した金額(時価比で按分した金額)を、その種類株式に係る種類資本金額に加算する(旧措令39の10の3②三)。 2 旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置の適用 認定期限である令和3年3月31日の到来をもって、制度自体は廃止されたが、令和3年4月1日前に特別事業再編計画の認定を受けた場合の株式譲渡については、旧措置法の課税繰延べ措置が適用されることとなる(改正法附則54)。 《課税関係のまとめ》 * * * 次回は、株式交付に係る課税繰延べ措置について解説していきたい。 (了)
〔令和3年度税制改正における〕 退職所得課税の適正化 【第1回】 「退職所得課税の基本と「短期退職手当等」の取扱い」 公認会計士・税理士 新名 貴則 令和3年度税制改正において、退職所得課税の適正化が行われた。平成24年度税制改正において「特定役員退職手当等」が導入されたことに続き、今回は「短期退職手当等」が導入され、退職所得金額の算定において一定の制限が加えられることとなった。本連載では、その内容について解説する。 【第1回】は退職所得課税の基本と、短期退職手当等の取扱いの概要について解説する。 1 退職所得課税の基本 課税対象となる退職所得金額の算定式は次の通りである。 退職所得控除額は退職者の勤続年数に応じて、次の算定式に従って算定される。勤続年数が20年以内か20年超かで、算定式が異なるため注意が必要である。 〔退職所得控除額の算定式〕 《計算例(令和3年度税制改正前)》 ➤勤続年数5年で退職した従業員の場合 勤続5年で退職した従業員が、退職金1,000万円を受け取った場合、所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。 ただし、平成24年度税制改正により、役員等としての勤続年数が5年以下の役員に対する退職手当等は「特定役員退職手当等」とされ、その退職所得金額を算定する際に「2分の1」を乗じないこととされている。 ➤勤続年数5年で退職した役員の場合 勤続5年で退職した役員が、退職金1,000万円を受け取った場合、所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。 2 令和3年度税制改正後の取扱い 特定役員退職手当等に該当して税負担が増加することを回避する目的で、あえて役員等に就任せずに短期間で高額の退職金を受け取るようなケースに対応するため、令和3年度税制改正において「短期退職手当等」が導入され、退職所得金額の算定において一定の制限が加えられることとなった。 具体的には、役員でない従業員が、5年以下の勤続年数に対して高額の退職金を受け取る場合等が該当する。 「短期退職手当等」に該当する場合、退職所得金額の算定において、退職金の額から退職所得控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分については「2分の1」を乗じないこととされた。 この改正は、令和4年分以後の所得税について適用される。 ◆勤続年数5年以下の従業員に対する退職所得金額 ◆勤続年数5年超の従業員に対する退職所得金額 《計算例》 勤続5年で退職した従業員が、退職金1,000万円を受け取った場合、改正の前後で所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。 ➤令和3年度税制改正後 ➤現行制度(令和3年度税制改正前) * * * 次回は退職手当の分類の仕方と退職所得の計算について、注意が必要な事例を中心に解説を行う。 (了)