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「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例102(所得税)】 「事業用買換特例を適用して申告したが、買換取得資産の土地の面積制限の判定を誤ったため、特例が受けられず、修正申告となってしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例102(所得税)】   税理士 齋藤 和助     《基礎知識》 ◆特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措法37) 個人が事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等を譲渡し、一定期間内に特定地域内にある土地等の特定資産を取得し、その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合には、譲渡所得の課税について、譲渡資産のうち、譲渡による収入金額又は買換資産の取得価額に対応する部分の80%に相当する部分については、譲渡がなかったものとする取得価額の引継ぎによる課税の繰延べの特例が認められる。 ◆長期間保有の土地建物等から特定の資産への買換え(措法37①四) 国内にある土地等、建物又は構築物で、譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものを譲渡し、国内にある土地等、建物又は構築物への買換えで、その面積が300㎡以上のものを取得して事業の用に供した場合には、買換えの特例の適用を受けることができる。 ◆長期所有の土地等の買換えに係る面積の判定(措通37-11の14) その者が取得した土地等で特定施設の敷地の用に供されるものの面積が300㎡以上であるかどうかの判定は、その土地等が、共有物である場合には、土地等の全体の面積にその者の共有持分の割合を乗じて計算した面積(当該土地等が独立部分を区分所有する特定施設の敷地の用に供するものである場合には、当該土地等の総面積に当該特定施設に係る建物の独立部分の総床面積のうちにその者の区分所有する独立部分の床面積の占める割合を乗じて計算した面積)を、その者が取得した土地等の面積とする。       (了)

#No. 437(掲載号)
#齋藤 和助
2021/09/22

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第47回】「住宅ローンを繰上返済した場合」-繰上返済等をした場合-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第47回】 「住宅ローンを繰上返済した場合」 -繰上返済等をした場合-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、14年前から住んでいた家屋とその土地を本年1月に売却したところ、譲渡損失が発生しました。 同年3月に、銀行に償還期間20年の住宅ローンを組んで買換資産を購入し、居住の用に供しましたが、父親の相続が発生し、その預貯金を相続したことから、同年11月に繰上返済してその償還期間を7年としました。 他の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。 A 「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができません。 ●○●○解説○●○● 「居住用財産買換の譲渡損失特例」における「住宅借入金等」とは、住宅の用に供する家屋の新築若しくは取得又はその家屋の敷地の用に供される土地等の取得に要する資金に充てるために、契約において償還期間又は賦払期間が10年以上の割賦償還又は割賦払の方法により返済することとされている政令(措令26の7⑫)で定める金融機関等からの借入金等とされています(措法41の5⑦四)。 そして、住宅ローンを繰り上げて返済等をした場合については、次の通達により取り扱われます。 租税特別措置法関係通達41の5-17(繰上返済等をした場合) ※下線は筆者による。 したがって、本事例の場合、繰上返済によりその償還期間が10年未満となったことから、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができません。 (了)

#No. 437(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/09/22

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第4回】「贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の適用面積」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第4回】 「贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の適用面積」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲は、100%所有していた土地(100㎡)及び家屋(40㎡は甲の事業用、60㎡は甲と配偶者乙の居住用)について、生前に土地の持分2分の1、家屋の持分2分の1を配偶者乙に贈与を行い、乙は贈与税の配偶者控除を適用して申告を行っています。贈与税の配偶者控除の適用については、相続税法基本通達21の6-3のただし書きの適用を受け、優先的に受贈配偶者の居住用部分として、土地家屋の2分の1相当は居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告を行っています。 甲の相続により、甲の土地家屋の持分2分の1について、乙が10分の2、長男である丙が10分の8の割合で相続することになり、最終的な土地家屋の持分は、乙が10分の6、丙が10分の4となりました。 乙は特定居住用宅地等の要件を満たし、甲の事業を承継した丙は特定事業用宅地等の要件を満たしています。 小規模宅地等の特例の適用にあたっては、贈与時の申告状況を考慮し、既に100㎡の敷地のうち、50㎡(100㎡ × 1/2)は居住用不動産の贈与があったものとして、10㎡(100㎡ × 60㎡/100㎡ - 50㎡)が特定居住用宅地等に該当し、残りの40㎡は特定事業用宅地等に該当するものとして小規模宅地等の特例の適用をすることはできますか。 [A] 小規模宅地等の特例(以下単に「特例」という)の面積は、上記質問のように取り扱うことはできず、乙は6㎡(100㎡ × 1/2 × 60㎡/100㎡ × 2/10)が特定居住用宅地等に該当し、丙は16㎡(100㎡ × 1/2 × 40㎡/100㎡ × 8/10)が特定事業用宅地等に該当することになります。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 贈与税の配偶者控除 贈与税の配偶者控除は、生存配偶者の老後の生活安定に配慮する趣旨から、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に、贈与税の基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除ができるという特例です(相法21の6)。 店舗兼住宅及びその敷地の用に供されている土地等のように、居住の用に供されている部分と居住の用以外の用に供されている部分がある場合には、原則として、居住の用に供されている部分のみが対象となります。したがって、居住用の割合を算出する必要がありますが、居住の用に供されている家屋の面積及び土地の面積は次の方法により求めることになります(相基通21の6-2)。 (1) 家屋のうち居住の用に供している部分の面積 (2) 土地のうち居住の用に供している部分の面積 本問の場合には、家屋のうち居住の用に供している部分の面積は60㎡、土地のうち居住の用に供している部分の面積は60㎡(100㎡ × 60㎡/100㎡)となります。したがって、家屋の居住用の割合は60%(60㎡/100㎡)、土地の居住用の割合は60%(60㎡/100㎡)となります。 原則的には、上記のように土地等及び家屋について居住用の割合を算定し、居住用部分に贈与を受けた持分を乗じた部分のみが対象となりますが、例外として、下記の方法が認められています。 本問の場合には、贈与を受けた持分の割合50%が夫婦の居住用割合60%(60% ×(1/2 + 1/2))以下となりますので、贈与を受けた部分の全てについて、居住用不動産の贈与があったものとして、贈与税の申告をすることができます。   2 贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の関係 自宅兼店舗の贈与税の配偶者控除の適用があった場合において、上記1の例外②の取扱いを受けている場合においても、被相続人等の居住の用に供されていた部分の判定は、相続の開始の直前における現況によって行うこととされています(措法69の4①、措通69の4-9)。共有の考え方は、【第3回】の「共有で取得した場合の小規模宅地等の特例の適用面積」で解説の通り、各共有者は共有物の全部について権利を有することになります。持分の考え方の例外の措置である相続税法基本通達21の6-3のただし書きの適用は、居住用不動産の贈与が夫婦間においては、居住の用に供している部分のみが贈与の対象であるとの認識で通常行われることに鑑み、特別に認められているもので、あくまでも贈与税の配偶者控除の計算をする場合の取扱いとなります。 したがって、特例の適用面積は、贈与時の状況を考慮する必要がなく、相続開始の直前の利用状況に基づき、乙及び丙は、甲の居住用及び事業用の土地及び家屋を持分に応じて取得したものとして、下記の通り、計算することになります。   ★実務上のポイント★ 特例の適用は、相続の開始の直前における現況によります。各共有者は共有物の全部について権利を有することになるという民法の共有の基本的な考え方をもとに、特例の適用面積の算定を行うことになります。   (了)

#No. 437(掲載号)
#柴田 健次
2021/09/22

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第9回】「行政庁が間違って固定資産税を非課税として処理した過年度分について、遡って課税処分をすることは、「禁反言の法理」により違法とされるか否かが争われた判例」

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第9回】 「行政庁が間違って固定資産税を非課税として処理した過年度分について、遡って課税処分をすることは、「禁反言の法理」により違法とされるか否かが争われた判例」   税理士 菅野 真美   ▷禁反言の法理 「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」(民法第1条第2項)は信義則ともいわれるが、同じような原則として「禁反言の法理」がある。これは、「人はいったんなした言動をそれが誤りである理由としてひるがえすことができない」という原則である(※)。 (※) 金子宏『租税法(第23版)』(弘文堂、2019年)143~144頁。 この禁反言の法理が問題となるケースの1つとして、課税当局が誤った表示(税の減免)をし、それを納税者が信じて課税処理をしたが、実は、当局の表示内容が間違っており、課税当局が誤りに気付いた時点で過去に遡って是正し、その結果、納税者にとっては想定外の負担を生ずるようなことが考えられる。 この場合、課税当局の表示を信頼した納税者の保護を重視すべきという考え方と、誤った表示は法的根拠がなく合法な処理に是正することを重視すべきという考え方があり、各々の考え方のいずれを選択するかによって答えが変わってくる。 今回は、行政庁が固定資産税非課税の通知をし、その後、非課税となっていたが、突然、過去に遡って固定資産税の賦課決定処分をしたことについて、納税者が不服として裁判所に訴え、禁反言の法理について、地裁と高裁で判断が異なった事例を検討する。   ▷どのような事案か これは、次のような事案である。   ▷禁反言の法理以外の争点 禁反言の法理以外の争点に関して簡単に説明する。 Xは、地方税法第348条第2項第9号の趣旨は、学校教育が公共性を有し非営利的性質のものだから、教育用固定資産を非課税とするものであり、組織形態を問題とするものではない。よって、固定資産税の課税対象から除外されると主張したが、民法上の財団法人であって準学校法人でないから、たとえ、直接教育の用に供されているものであるとしても、固定資産税の課税対象から除外されるものではないと判断された。 さらにXは、非課税の決定は行政処分だから、それが取り消されない限り賦課処分をすることは許されないと主張したが、非課税の決定に何の法的根拠もないことから、この決定を行政処分と解することはできないと判断された。   ▷禁反言の法理と、地裁、高裁の判断 Xは上記の主張に加えて、都税事務所長が非課税決定をして、原告に通知しながら、その後、過年度に遡って固定資産税を賦課することは、禁反言の法理に反すると主張した。 この主張に対して、地裁は次のように考えてXの主張を認めた。 他方、高裁は次のように考えてXの主張を退けた。 固定資産税の通知書に記載された税額が真の税額よりも高い場合は、納税者の更正の請求により5年間(ケースによってはそれ以上の期間)の還付を受けることができる。 固定資産税の通知書に記載された税額が真の税額よりも低い場合、行政庁側から過去5年間にわたって課税処分できるということはバランスを考えると納得できる。しかし、法律が改正されて非課税とならないという情報は昭和25年の段階でわかっていたにもかかわらず、財団法人に対して非課税の通知をしたということは行政側の大きなミスであり、そこを考慮せず、決定通知前から誤解していたから禁反言の法理では認められないと切り捨てる判断は、税理士としては釈然としないところがある。 (了)

#No. 437(掲載号)
#菅野 真美
2021/09/22

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第62回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第62回】   千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也   (6) 法人税法施行令18条の2第4項は委任の趣旨を逸脱しているか 法人税法22条の2第5項は、第4項の資産の引渡しの時における価額相当額又は提供をした役務につき通常得べき対価の額相当額は、その資産の販売等につき、次の事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とする旨定めている。 収益認識会計基準は、契約上の対価の金額をそのまま収益の額(取引価格)とするものではない。同基準は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に「企業が権利を得ると見込む対価の額」で描写するように、収益を認識することを基本原則としている。 この原則に従い、契約において、顧客と約束した対価に値引きやリベートなどの変動対価が含まれる場合、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ることとなる対価の額を見積もることに特徴がある(本連載第1回参照)。 法人税法22条の2第5項によって、収益認識会計基準を適用した場合の会計処理と法人税法上の処理にズレが生じるが、これは、「売上高」のようにいわば損益計算書項目におけるズレである。 例えば、会計上、(直接的であるにせよ、間接的であるにせよ)貸倒れ見込みを反映して「売上高」を減額することにより、これに対応する「売掛金」も減額されるのであれば、法人税法上の処理との間で、貸借対照表項目におけるズレも生じる。 このような貸借対照表項目におけるズレについては、法人税法施行令18条の2第4項等で手当てされている。 法人税法施行令18条の2第4項は、次のとおり定めている。 この規定は、会計上、収益の額から控除し、金銭債権の帳簿価額を構成しないこととされた金額について、税法上は金銭債権の帳簿価額を構成することを明確にするものである(本連載第38回参照)。 ただし、この規定については、その内容が、法人税法22条の2第5項に関するものである以上、第7項の政令委任の文言、又は、同法施行令18条の2第4項という政令の規定内容に問題があるという指摘がなされているため、検討を加える。 法人税法施行令18条の2第4項は、資産の販売等の対価として受け取る金額のうち、同法22条の2第5項に規定する貸倒れや返品の事実が生ずる可能性があることにより、売掛金等の金銭債権の勘定としていない金額(金銭債権計上差額)があるときは、その対価の額に係る金銭債権の帳簿価額は、その金銭債権計上差額を加算した金額とする旨定めている。 上記の指摘は、法人税法22条の2第7項が「第1項から第4項までの規定の適用に関し必要な事項」に関する定めを政令に委任しているにもかかわらず、同法施行令18条の2第4項が同法22条の2第5項に関する内容を定めていることを問題視する(長島弘「収益認識基準対応としての法人税法22条の2の問題点」会計・監査ジャーナル30巻12号116頁参照)。 しかしながら、この点をことさら問題視する必要はないと考える。 法人税法22条の2第7項は、「前2項に定めるもののほか」つまり第5項及び第6項に加えて、「資産の販売等に係る収益の額につき修正の経理をした場合の処理その他第1項から第4項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める」としている。 第5項も第6項も「資産の販売等に係る収益の額につき修正の経理をした場合の処理その他第1項から第4項までの規定の適用に関し必要な事項」(あるいは、「資産の販売等に係る収益の額につき修正の経理をした場合の処理」に関する規定又は「その他第1項から第4項までの規定の適用に関し必要な事項」に関する規定)であることを前提としていることがわかる。法人税法は、第5項及び第6項を第1項~第4項の補足ないし付随的規定として位置付けていると捉えてもよいであろう。 第5項は、第4項と無関係の規定ではなく、第4項でいう「価額」又は「通常得べき対価の額」について、その資産の販売等に係る金銭債権の貸倒れ等の事実が生ずる可能性がある場合でも、その可能性がないものとした場合における価額とすることを定めるものである。 第5項の主語は第4項の「引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額」であり、第5項は、この価額又は対価の額について、「資産の販売等につき次に掲げる事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とする」ことを定めていることからも明らかである。 よって、第5項は、収益の計上額に関して定めている第4項との関係では補足ないし付随的規定であると評価し得る。 そうすると、法人税法施行令18条の2第4項は、同法22条の2第5項に関連する内容を定めているとしても、結局は、資産の販売等に係る収益の計上額について定める同条第4項の適用に関する内容を定めていることになる。 条文の建付け上、法人税法22条の2第4項の適用がないにもかかわらず、第5項が単独で適用される場面はないのであるから、同法施行令18条の2第4項について、同法22条の2第5項に関する政令であるという点だけを切り出して、強調することは妥当でない。 また、法人税法施行令18条の2第4項は、「内国法人が資産の販売等を行った場合において」としており、この場合の「資産の販売等」とは法人税法22条の2第1項に規定する「資産の販売等」(法令18の2①)であるという関係性も指摘しておく。 加えて、委任の対象範囲という観点から委任規定である法人税法22条の2第7項を眺めると、同項が資産の販売等に係る収益の額につき修正の経理をした場合の処理その他第1項から第4項までの規定の適用「に関し」、「必要な事項」という比較的広い範囲で政令に委任していることに気が付く。 ここで、もう一度、法人税法22条の2第7項を注意深く読んでみよう。 以上からすれば、法人税法施行令18条の2第4項が法人税法22条の2第5項に関する内容を定めていることをことさら問題視する必要はない。同条第7項の委任の文言も然りである。 ただし、同条第7項の委任の対象範囲が広すぎる、包括にすぎるという批判は一応あり得る。   (了)

#No. 437(掲載号)
#泉 絢也
2021/09/22

収益認識会計基準を学ぶ 【第13回】「履行義務の充足に係る進捗度」

収益認識会計基準を学ぶ 【第13回】 「履行義務の充足に係る進捗度」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 収益認識会計基準の5つのステップの5番目は、履行義務の充足による収益認識である。これには、【第9回】と【第10回】で解説したとおり、一定の期間にわたり充足される履行義務と一時点で充足される履行義務がある(収益認識会計基準17項(5))。 今回は、一定の期間にわたり充足される履行義務に関して、履行義務の充足に係る進捗度について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 履行義務の充足に係る進捗度 収益認識会計基準38項の要件のいずれかを満たす場合、資産に対する支配を顧客に一定の期間にわたり移転することにより、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する。 1 進捗度の見積り 一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する(収益認識会計基準41項)。 履行義務の充足に係る進捗度の適切な見積りの方法には次の方法があり、財又はサービスの性質を考慮して決定する(収益認識適用指針15項)。 次の事項に注意する(収益認識会計基準42項、44項、45項、153項、収益認識適用指針16項)。 2 アウトプット法 アウトプット法は、現在までに移転した財又はサービスの顧客にとっての価値を直接的に見積もるものであり、現在までに移転した財又はサービスと契約において約束した残りの財又はサービスとの比率に基づき、収益を認識するものである(収益認識適用指針17項)。 アウトプット法に使用される指標には、現在までに履行を完了した部分の調査、達成した成果の評価、達成したマイルストーン、経過期間、生産単位数、引渡単位数等がある(収益認識適用指針17項)。 アウトプット法の適用に際しては、履行義務の充足に係る進捗度を忠実に描写するような方法を採用することに注意する(収益認識適用指針18項、123項)。 例えば、生産単位数又は引渡単位数に基づくアウトプット法において、企業の履行により顧客が支配する仕掛品又は製品が決算日に生産されているが、当該仕掛品又は製品がアウトプットの見積りに含まれていない場合には、企業の履行を忠実に描写していないとされている(収益認識適用指針18項)。 生産単位数又は引渡単位数に基づくアウトプット法は、顧客が支配する仕掛品がアウトプットの見積りに含まれないため、当該仕掛品が契約又は財務諸表全体のいずれかに対して重要性がある場合には、企業の履行を忠実に描写していないとされている(収益認識適用指針124項)。 アウトプット法を採用するかどうかを検討する際には、この例示のような方法となっていないかどうかについて、慎重に検討する必要がある。 提供したサービスの時間に基づき固定額を請求する契約等、現在までに企業の履行が完了した部分に対する顧客にとっての価値に直接対応する対価の額を顧客から受け取る権利を有している場合には、請求する権利を有している金額で収益を認識することができるとされている(収益認識適用指針19項)。 3 インプット法 インプット法は、履行義務の充足に使用されたインプットが契約における取引開始日から履行義務を完全に充足するまでに予想されるインプット合計に占める割合に基づいて、収益を認識するものである(収益認識適用指針20項)。 インプット法に使用される指標には、消費した資源、発生した労働時間、発生したコスト、経過期間、機械使用時間等がある。企業のインプットが履行期間を通じて均等に費消される場合には、収益を定額で認識することが適切となることがある(収益認識適用指針20項)。 インプット法の適用に際しては、財又はサービスに対する支配を顧客に移転する際の企業の履行を描写しないものの影響は、インプット法に反映しないとされていることに注意する(収益認識適用指針21項)。 例えば、履行義務を充足するために生じた想定外の金額の材料費、労務費又は他の資源の仕損のコストは、契約の価格に反映されていない著しく非効率な企業の履行に起因して発生したコストであるため、当該コストに対応する収益は認識しない(収益認識適用指針125項)。 コストに基づくインプット法を使用するにあたっては、次の(1)又は(2)の状況において、履行義務の充足に係る進捗度の見積りを修正するかどうかを判断する(収益認識適用指針22項)。 4 進捗度の見積りの変更 履行義務の充足に係る進捗度は、各決算日に見直す(収益認識会計基準43項)。 当該進捗度の見積りを変更する場合は、会計上の見積りの変更(「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)4項(7))として処理する(収益認識会計基準43項)。   (了)

#No. 437(掲載号)
#阿部 光成
2021/09/22

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例63】株式会社FOOD&LIFE COMPANIES「業績予想の修正に関するお知らせ」(2021.8.10)

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例63】 株式会社FOOD&LIFE COMPANIES 「業績予想の修正に関するお知らせ」 (2021.8.10)   公認会計士/事業創造大学院大学教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる開示は、株式会社FOOD&LIFE COMPANIESが2021年8月10日に開示した「業績予想の修正に関するお知らせ」である。同社は回転鮨店「スシロー」を運営しており、以前は「株式会社スシローグローバルホールディングス」という社名だったが、2020年11月6日に「商号の変更に関するお知らせ」を開示し(同日に「(訂正)商号の変更に関するお知らせの一部訂正について」を開示。これは少し恥ずかしい訂正)、2021年4月1日から現在の社名になっている。以下、同社のことは分かりやすく「スシロー」という。 今回の開示は、2021年9月期の売上収益の予想値を250,600百万円から243,000百万円へ、営業利益の予想値を17,300百万円から21,000百万円へ修正するという内容である(同社はIFRS適用会社)。売上は若干下方修正であるものの、営業利益は上方修正であり、しかも前期はもとよりコロナ前よりも好業績になるという予想なのだ。 2020年9月期は売上収益が204,957百万円、営業利益が12,061百万円であり、コロナ前の2019年9月期であっても、売上収益が199,088百万円、営業利益が14,546百万円である(2020年11月6日開示「2020年9月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」)。売上収益に対する営業利益の比率を見ても、2019年9月期は7.3%、2020年9月期は5.9%だったのに対して、2021年9月期の予想値は8.6%になる。   2 テイクアウト需要への対応 今回の開示の(修正の)「理由」には次の記載がある。 スシローは、今回の開示と同じ2021年8月10日に「2021年9月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」を開示しており、売上収益は178,751百万円、営業利益は18,245百万円となっている。この第3四半期時点で、前期はもとよりコロナ前よりも良い数字になっているのである。 2020年9月期第3四半期の売上収益が150,661百万円、営業利益が8,619百万円、コロナ前の2019年9月期第3四半期の売上収益が145,813百万円、営業利益が11,325百万円であり(2019年8月7日開示「2019年9月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」)、売上収益に対する営業利益の比率も、2019年9月期第3四半期は7.8%、2020年9月期第3四半期は5.7%だったのに対して、2021年9月期第3四半期は10.2%である。 この調子であと3ヶ月頑張れば、売上収益243,000百万円、営業利益21,000百万円を達成できそうだが、この好業績の要因の1つが「コロナ禍におけるテイクアウトやデリバリー需要拡大への適切な対応」である。「2021年9月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」に記載されているが、同社は、今期第3四半期までに国内で「スシロー」ブランドの店舗を37店出店しているのだが、そのうち7店は、今期から新たに始めたテイクアウト型の店舗なのだ。   3 京樽の取得 第3四半期時点では売上収益4,542百万円のプラスなので、まだ大きな影響は出ていないが、「当第三四半期より株式会社京樽及び子会社2社を連結業績に加えたこと」もプラス要因の1つである。スシローは2021年4月1日に株式会社京樽(以下「京樽」という)を株式会社吉野家ホールディングス(以下「吉野家」という)から取得している。2021年2月26日に開示した「株式会社京樽の株式取得(完全子会社化)のお知らせ」の「株式取得の目的」には、次の記載がある。 また、吉野家が同日に開示した「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」の「本株式譲渡の目的と理由」の記載は、次のとおりである。 確かに京樽は吉野家よりもスシローの傘下に入った方がシナジー効果を得られるはずである。この件についてコロナ前から検討されていたのか、コロナ禍になって検討されるようになったのかは不明だが、コロナ禍が後押しすることになったようである。   4 時短協力金計上の影響 「時間短縮による時短協力金等の補助金の計上(約70億を見込む)」の影響も大きい。これが無いとしたら、2021年9月期の営業利益の予想値は、7,000百万円をマイナスして、21,000百万円から14,000百万円になる。そうなると、売上収益に対する営業利益の比率は5.8%であり、前期や前々期よりも低い比率になってしまう。 ちなみに、吉野家も、2021年7月9日に「2022年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」を開示しているが、営業利益はマイナス206百万円の赤字であるにもかかわらず、時短協力金等の計上により経常利益はプラス2,520百万円の黒字になっている(同社は日本基準適用会社)。時短協力金については様々な批判があるようだが、両社の数字を見る限り、決して小さくはないプラス要因になっている。 【事例58】では株式会社小僧寿しを、今回はスシローを取り上げた。これは、筆者の生家が鮨屋(回転しない)だったからではなく、あくまでたまたま目にとまったからである(もしかしたら無意識に関心がいっているのかもしれないが)。スシローが元のやり方に固執せず、様々な工夫をして好業績を実現しており、また、第3四半期決算の開示とともに行う通期業績予想の修正ということで、確度も高いと思われたからである。 なお、鮨は、回転するものや、テイクアウトや、デリバリーもいいのだが、やはりカウンターに座って、職人が握ったものをすぐに食べるのが一番美味しい。スシローの取組みも素晴らしいのだが、昔ながらの鮨屋が絶滅危惧種になってしまわないようにコロナ禍を乗り越えてくれることを個人的には切に願う。 (了)

#No. 437(掲載号)
#鈴木 広樹
2021/09/22

《速報解説》 産競法等改正法の施行に伴い改正措置法通達が公表される~中小企業事業再編投資損失準備金(措法55の2)関係では6項目を新設~

《速報解説》 産競法等改正法の施行に伴い改正措置法通達が公表される ~中小企業事業再編投資損失準備金(措法55の2)関係では6項目を新設~   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正のうち法人税関係の改正通達については、既報のとおり6月に「「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)(課法2-21、課審6-3)」が公表されているが、当時は「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)」(以下、産競法等改正法)が未施行(附則第1条本文に定める施行期日が未定)であったため、関連する税制の通達は織り込まれていなかった。 その後、7月30日公布の施行日を定める政令により産競法等改正法の施行日が令和3年8月2日と定められたことを受け、国税庁は9月17日付けで「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について(法令解釈通達)(課法2-31、課審6-7)」を公表、認定手続等を産競法等改正法に拠る「事業適応設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除(措法42の12の7)」及び「中小企業事業再編投資損失準備金(措法55の2)」に関する項目が新たに設けられた(連結納税編・グループ通算制度取扱通達も同趣旨の改正)。 今回の改正通達ではまず「事業適応設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除(措法42の12の7)関係」において、法人が事業適応繰延資産となる費用を分割して支払う場合、たとえその総額が確定しているときであっても、特別償却限度額又は繰延資産税額控除限度額はその費用を支出した日の属する事業年度において支出した金額に基づいて計算することとされており、未払金の額を含めることはできないとされているが、分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合において、その支出した金額に未払金の額を含めることとしているときはこれを認める(措通42の12の7-3)など4項目が新設されている。 また「中小企業事業再編投資損失準備金(措法55の2)関係」では、本制度の対象となる中小企業者(措法42の4⑧七)であるかどうかを判定する際、その法人が本制度の対象となる株式等の取得をした後、その取得の日を含む事業年度終了の日までの間、中小企業者である場合でなければ本制度の適用がないことが明らかにされており(措通55の2-1)、他に、特定法人の株式等の評価減を否認した場合の中小企業事業再編投資損失準備金の特例(措通55の2-4)など6項目が新設されている。 上記の産競法等改正法に係る改正の他、今回の改正通達では「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)」に係る改正も織り込まれている(措法65の4関係等)。なお同法は本日付け国土交通省ホームページにおいて、施行日が閣議決定された旨、明らかにされている(施行日を定める政令の公布は令和3年9月27日)。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 436(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/09/21

プロフェッションジャーナル No.436が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年9月16日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.436を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/09/16

日本の企業税制 【第95回】「控除率が焦点となる住宅ローン控除制度の見直し」

日本の企業税制 【第95回】 「控除率が焦点となる住宅ローン控除制度の見直し」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   〇多数となった土地・住宅関係の税制改正要望 8月末に、各府省庁から令和4年度税制改正要望が出揃った。 今回の要望項目数は、単純合計で、国税163項目、地方税166項目、重複排除ベースで、国税126項目、地方税128項目であった。なお、廃止・縮減項目数は単純合計ベースで国税1項目、地方税4項目、重複排除ベースで国税1項目、地方税4項目であった。今回の要望数は、平成26年度改正以降で、重複排除ベースにおいて最少となっている。 その要因の1つが法人課税関係の要望が比較的少ないことである。 今回の要望では、令和2年度税制改正で創設されたオープンイノベーション促進税制(特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例)と5G導入促進税制(認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)の延長・拡充や、スピンオフの実施の円滑化のための税制措置の拡充、中小企業の交際費等の損金算入の特例や少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長、減耗控除制度・海外投資等損失準備金制度の延長、ガス事業等の事業税の収入金課税の見直しなどが経済産業省を中心に提出されている。 一方、土地・住宅関係の税制措置については、国土交通省を中心に、多数の要望が出されている。 土地に係る固定資産税については、令和3年度税制改正において、1年限りの措置として、税額が増加する土地について前年度の税額に据え置くこととされたが、国土交通省、経済産業省が、社会経済情勢、地価動向等を踏まえ、必要な検討を行い、所要の措置を講ずるよう要望している。 住宅税制は、住宅ローン控除制度、新築住宅に係る固定資産税の軽減特例、居住用財産の買換え・売却に伴う特例、住宅取得資金の贈与特例、住宅取得に係る登録免許税の軽減特例、住宅及び住宅用土地の取得に係る不動産取得税の特例、認定住宅に係る特例など期限を迎える特例措置が目白押しである。   〇課題とされる住宅ローン控除制度 とりわけ住宅ローン控除制度は減税規模が大きく、また国民生活に直結するものであることから、令和4年度税制改正の議論において大きな課題の1つとなるものと見られる。国土交通省、環境省、復興庁が、2050年カーボンニュートラルの実現等を図る観点も含め、所要の措置を講じるよう要望している。 現行の住宅ローン減税制度は、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たすときにおいて、その住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として一律の控除率(1%)を乗じて計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分(10年間)の所得税額から控除するものである。 なお、令和元年度税制改正では、需要変動の平準化の観点から、消費税率引上げ後の購入にメリットが出るよう、消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン税額控除の控除期間を10年間から13年間へと3年延長することとされ、その際、消費税率2%引上げの負担に着目し、延長する3年間で消費税率引上げ分にあたる「建物購入価格の2%」の範囲で更なる減税を行う仕組みとされ、この特例措置が令和3年度税制改正で令和4年末までの入居分(注文住宅は令和2年10月から令和3年9月末まで、分譲住宅などは令和2年12月から令和3年11月末までに契約することが必要)まで延長されたところである。 しかし、令和3年度与党税制改正大綱では、 とされており、控除率に焦点が当てられている。 控除率については、平成13年度税制改正により、住宅ローンの年末残高をベースに控除税額を計算する新住宅ローン減税制度の創設時に1%と設定されて以後、平成16年度税制改正で居住開始後の年数に応じて控除率を低減させる方式に変更されたことはあったが、リーマンショックによる景気の急激な落ち込みを背景に、平成21年度税制改正で、10年間一律の控除率が適用される制度が復活し、現在に至るまで1%が基本であることが続いてきた。長年にわたり定着してきた制度だけに、その見直しが注目される。 (了)

#No. 436(掲載号)
#小畑 良晴
2021/09/16
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