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〈小説〉『資産課税第三部門にて。』 【第24話】「相続放棄と第二次納税義務」

〈小説〉 『資産課税第三部門にて。』 【第24話】 「相続放棄と第二次納税義務」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「統括官・・・この判決、少し納税者に酷な気がするんですけど・・・どう思われますか?」 谷垣調査官は立ち話のなか、ふと思い出して最高裁平成21.12.10判決の判決文を見せた。 「何が酷だって?」 田中統括官は、谷垣調査官の差し出した判決文を手に取る。 「第二次納税義務か・・・」 田中統括官は判決文を見つめる。 「この判決文の中で、原告は、将来、近所に住んでいるお父さんの世話をするために相続財産を法定持分よりも多く相続したと書かれています。このような遺産分割協議は、当然、必要かつ合理的な理由といえませんか?」 そう言って、谷垣調査官は判決文に書かれている箇所を指さす。 「お父さんは、81歳の高齢で、近所に住む原告に将来の面倒をみてもらうために、多くの財産を原告に相続させた。・・・もちろん、お父さんの滞納に係る国税の徴収を免れることも考慮されていると思いますが・・・しかし・・・お父さんの生活状況を考慮して遺産の分割が決められたというのであれば、この分割は民法に基づいてされたもので・・・この適法な遺産分割が、国税徴収法39条によって、実質的に否認することができるものなのか、とても疑問です・・・」 谷垣調査官は不満そうに言う。 「遺産の分割の基準については、民法906条に規定しているだろう?」 田中統括官は小六法をめくって条文を谷垣調査官に見せる。 谷垣調査官は、条文を覗きながら頷く。 「・・・そして、お父さんの生活の状況を考慮して、将来世話をする原告に財産の多くを相続させた・・・ということなのだけど・・・それに対して、第二次納税義務を原告に負わせている・・・」 谷垣調査官は、少し口をとがらせている。 「・・・僕の父も高齢で・・・しかも、少し認知症の症状が出ているのです。その世話を姉夫婦がしてくれているので・・・僕は、父の財産について、すべて姉が相続してもいいと思っているのです・・・」 独身の谷垣調査官は、自分の家族のことを話す。 「なるほど・・・そうか・・・」 田中統括官は、腕を組みながら考え込む。 「遺産分割協議は、当然、民法で規定しているように、その家族の生活の状況などを考慮して行われるのだから・・・そこに国税徴収法39条の第二次納税義務がしゃしゃり出ると、その家族の生活設計が壊れてしまいますよね。」 谷垣調査官の声のトーンが高くなる。 「谷垣君の意見はよく分かるよ。・・・じゃあこのケースで、遺産分割協議ではなく、相続放棄をした場合には・・・どうなると思う?」 田中統括官はニヤッと笑って質問する。 「相続放棄・・・ですか?・・・それは・・・相続放棄は身分行為だから・・・国税徴収法39条の適用はない・・・ということになると思いますが・・・」 谷垣調査官は自信のない返事をする。 「最高裁昭和49.9.20判決は、国税徴収法39条ではないけれど、民法424条の詐害行為取消権行使の対象に相続放棄はならないと、はっきり言っている。」 谷垣調査官は黙って判決文を読んでいる。 「そして逆に、遺産分割協議は詐害行為取消権行使の対象になる・・・という最高裁平成11.6.11判決がある・・・」 田中統括官は、言葉を続ける。 「・・・私が思うに、相続放棄と遺産分割協議は、実質的にそれほど相違はないのだから、詐害行為取消権行使の対象になるか否かの判断がこの2つの判決で異なることに、とても違和感を覚えるんだよ・・・」 田中統括官は困った表情になる。 「ということは・・・田中統括官もこの最高裁平成21.12.10判決に反対、ということですか?」 谷垣調査官の問に、田中統括官は苦笑いしながら頸を振った。 (つづく)

#No. 234(掲載号)
#八ッ尾 順一
2017/09/07

《速報解説》 日税連、法定相続情報証明制度の手続きを税理士が代理する際の「委任状のヒナ型」を公表~税理士資格の証明書類が必要な点に注意~

 《速報解説》 日税連、法定相続情報証明制度の手続きを税理士が代理する際の 「委任状のヒナ型」を公表 ~税理士資格の証明書類が必要な点に注意~   Profession Journal 編集部   平成29年5月29日に各種相続手続きに利用することができる「法定相続情報証明制度」がスタートした。本制度の手続きは相続人等からの委任により、親族、又は定められた資格者が代理して行うことができる。これに伴い、日本税理士会連合会は、この手続きを税理士が代理する場合の委任状のヒナ型を、同年8月31日付けで同会のHP(会員専用)に公表した。   相続人の負担を軽減する法定相続情報証明制度 本制度施行以前は、相続手続が必要となる都度、相続人の範囲を証明するために、戸籍書類一式を各窓口に提出する必要があり、手続きを行う上で相続人の大きな負担となっていた。 しかし、本制度により、相続人が といった手続きを行うことで、戸籍謄本等の代わりとなる「法定相続情報一覧図の写し」を無料で必要な通数だけ交付が受けられるようなった。そのため、各種相続手続きで戸籍書類一式を出し直す必要がなくなり、相続人の負担の軽減が可能となっている。 なお、本制度についてはすでに本誌で解説記事を掲載しているので、下記を参照されたい。   本制度の手続きの資格者代理人 本制度の手続きは相続人本人以外に代理人として、親族、又は次の資格者が行うことができる。 上記のうち実際に代理人となるのは弁護士、司法書士が中心になると思われるが、税理士への相談も増加していることから、今回、日税連では「法定相続情報証明制度における委任状について(会員専用)」をHP上に公表し、その中で「法定相続情報証明制度における手続きを税理士が代理する場合の委任状のヒナ型」を掲載したと考えられる。   税理士(又は税理士法人)であることを証明する書面が必要 また、上記のヒナ型とともに委任状の記載要領、記載例も掲載されており、記載要領には受任者が「税理士の場合」と「税理士法人の場合」に分けて解説されている。 なお、資格者代理人が代理する場合には資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等を委任状とともに提出する必要があり、記載要領にも注意事項としてあげられているが、税理士(又は税理士法人)は委任状とともに下記の書面を用意しなければならない点に留意されたい。 (了)

#No. 233(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/09/05

《速報解説》 国税庁、29年度改正による法人税申告期限の「延長の特例の申請書」記載例を公表~定時株主総会の招集時期による2事例を紹介、申請に当たっての留意点も~

《速報解説》 国税庁、29年度改正による法人税申告期限の 「延長の特例の申請書」記載例を公表 ~定時株主総会の招集時期による2事例を紹介、申請に当たっての留意点も~   公認会計士・税理士 石川 理一   企業と株主・投資家との充実した対話の促進という観点から株主総会招集日を柔軟に設定することが可能となるよう、平成29年度税制改正では、法人税法においても確定申告書の提出期限の延長の特例に関する改正がなされた。 本改正の趣旨、概要については下記拙稿を参照されたい。 当該改正に対応して、このたび国税庁から「確定申告書の提出期限の延長の特例(法人税法第75条の2第1項第1号)の適用を受ける場合の申請書の記載例」(以下、資料という)が公表された。 確定申告書提出期限延長特例を適用するための条件について、改正前は「会計監査人の監査を受けなければならないこと等の理由により決算が確定しない」場合であったところ、定款等の定めと実際の定時株主総会の招集時期にフォーカスして改正されているのは下記拙稿のとおりである。 資料では以下の2つの事例を挙げて、各事例の申請書の記載例が紹介されている。 また、「申請に当たっての留意点」が記載されており、当該留意点の1つに、「定時株主総会を招集する期間が複数の月に及ぶなど定款の定めからは延長する月数が特定できないとき」に、申請書に添付すべき定時株主総会の招集時期が確認できる書類を以下のように例示している。 ・株主総会における定款変更議案の「提案の理由」として事業年度終了の日の翌日から3月を経過する日後の特定の月に定時株主総会を招集することが記載された「株主総会参考書類」 ・事業年度終了の日の翌日から3月を経過する日後の特定の月に定時株主総会を招集することが「集中日を回避した株主総会の設定」欄に記載された「コーポレートガバナンス報告書」 ・その他、招集時期の変更を決議した取締役会の議事録など変更後の定時株主総会の招集月が明らかとなる書類 なお、申請書は、本制度の適用を受けようとする事業年度の終了の日までに提出する必要がある。そのため、定款等の変更はそれ以前に行う必要があることに留意されたい。 (了)

#No. 233(掲載号)
#石川 理一
2017/09/05

プロフェッションジャーナル No.233が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年8月31日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.233を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/08/31

これからの国際税務 【第3回】「ガイダンス文書からみた帰属主義適用の精緻化」

これからの国際税務 【第3回】 「ガイダンス文書からみた帰属主義適用の精緻化」   早稲田大學大学院会計研究科 教授 青山 慶二   1 帰属主義適用ガイダンスの必要性 前回紹介したように、恒久的施設(PE)の実態が関連者間取引の複雑化や取引のデジタル化の下で変質すると、事業所得の算定方法であるPEへの帰属主義の適用も不安定にならざるを得ない。 「PEが存在する場合は、外国法人の所得のうちPEに帰属する所得を源泉地国は課税できる」とするOECDモデル条約の帰属主義の適用ガイダンスについて、更新が求められる所以である。 支店、営業所、工場など業務内容が営業、販売、製造等に明確に区分できるいわゆる「物理的PE」については、OECDは帰属主義の適用事例を長期間にわたり集積してきた。これらのPEでは、通常、業務内容をカバーする収支のネットベース会計データに依存することができた。すなわち、当該データに基づき帰属主義適用のための機能・リスク分析が行えたのである。 一方、コミッショネア(本人のための契約役務提供者)形態の拡大により注目されることとなった「代理人PE(機能的PE)」においては、会計データはコミッショネアの契約上の権利義務の範囲内のもの、すなわち役務収益とそのためのコストのみであり、帰属主義が頼りとする「PEが現実に果たす機能・引き受けるリスク」の分析をサポートするデータは不十分な場合が多い。 BEPS最終報告で新たにPE認定対象となった関連者間のコミッショネア取極については、帰属主義がどのように適用されるべきかを事例ベースで検討するガイダンス文書が、目下パブリックコメントに付されている。 以下では、その概要を紹介し、新しい帰属主義の適用ガイダンスの課題をコメントする。   2 BEPSプロジェクトにおける検討事例の概要 ガイダンス文書では、販売関連会社がコミッショネアの場合で、在庫リスクや顧客の与信リスクの支配管理状況が異なる3つの場合を設定している。 すなわち、消費者向け商品の製造・販売業者(本人法人)が、消費地国に現地コミッショネアを有していて、このコミッショネアが販売に関する役務提供を行う関連法人という設定(下図参照)である。   3 帰属主義の適用順序 (1) 移転価格と帰属主義 コミッショネア取極では、代理人機能にかかる帰属所得の算定(モデル条約7条)の前に、取極上約定され支払われる役務提供対価の独立企業原則に基づく検証(モデル条約9条)が行われるべきことが、まず確認されている。 第1段階で対価の独立企業間価格を確認し、次の段階で当該修正対価を前提としたPE帰属利得の算定を行うという2段階方式である。 移転価格課税と代理人PE課税の関係については、前者の検証が適正に行われれば、後者の検証は不要と主張する「シングルエンティティ・アプローチ」を取らないことをOECDは再確認した(ダブルエンティティ・アプローチに基づく代理人PEの帰属所得認定は、従来コメンタリーベースでOECDモデル条約が言及)。 (2) 計算過程 契約どおり本人法人が在庫・クレジットの両リスクを支配・管理している事例1では、あらゆるリスク管理機能に伴う損益は本人に帰属すると判断されるので、現地コミッショネアに契約通りの役務提供対価が独立企業間フィーで支払われる限り、本人のため重要な人的機能を果たしているとは言えないコミッショネアの活動を通じたPE帰属所得は存在しないと結論付けている(契約書どおりの所得認定)。 これに対して事例2及び事例3のコミッショネアでは、いずれも本人法人のため重要な人的機能を分担しているので、独立企業対価の算定後に、さらにPE帰属利得の検証が求められることになる。 例えば事例2では、在庫・クレジットリスクの管理に伴い本人法人に発生する超過利得うちのコミッショネアの果たす機能・引き受けるリスクに相当する部分が、9条での適正対価の算定で反映されていない範囲内で、PE帰属所得として計算されることになる(契約書ベースを離れた所得認定)。 なお、ガイダンス文書の計算数値を見ると、従来一般的に指摘されてきたとおり、仮に代理人PEが認定されたとしても、その機能に応じ帰属主義の適用によりPEに帰属する売買収益は、取引の全体利得の中でさほど大きなものとは認定されていない。   4 今後の課題 BEPS最終報告に基づくPE概念の拡大は、途上国がその拡大を活用しつつPE帰属所得の計算にあたってはOECD基準の帰属主義を超えて源泉地国帰属所得を算出するのではないかとの懸念を引き起こした。今回のガイダンス文書は、これに対して一定の安心材料を提供したものと評価できよう。 ただし、計算結果については、事例1のようにPE帰属所得が算定されない場合は、そもそもPE認定をすること自体が不適切ではないかとの指摘や、9条と7条はいずれも独立企業原則に沿った機能・リスク分析を行う点で手法に共通性があり、統一的適用によりシングルエンティティ・アプローチでの解決を工夫することも可能ではないかとの批判も提出されている。 (了)

#No. 233(掲載号)
#青山 慶二
2017/08/31

法人税における当初申告要件等と平成29年度税制改正【第1回】

法人税における当初申告要件等と 平成29年度税制改正 【第1回】   税理士 谷口 勝司     1 当初申告要件等の概要-平成23年12月改正- 当初申告要件等については、平成23年12月に抜本的な改正が行われ、その基本的な枠組みや考え方等はこの平成23年12月改正に基づいている。 そこでまず、平成23年12月改正の内容等を紹介するとともに、平成29年度税制改正前の取扱いを説明したい。 (1) 法人税法 平成23年12月改正前の法人税法では、確定申告書等(確定申告書及び仮決算をした場合の中間申告書をいう。以下同じ)にその適用を受けるべき金額など一定の事項を記載した場合又は一定の書類を添付した場合に限り適用し、確定申告書等において制度の適用を受けていない場合には、修正申告や更正の請求によって新たに制度の適用を受けることができないという「当初申告要件」が設けられている制度があった。 これらの制度のうち次の①②のいずれにも該当しないものについては、平成23年12月改正において当初申告要件が廃止され、更正の請求範囲が拡大(請求期間も5年に延長)された。 当初申告要件が廃止された代表的な制度としては、受取配当等の益金不算入、所得税額控除、外国税額控除等が挙げられる(注1)(注2)。 (注1) 平成23年12月改正では、次の(イ)~(ヲ)の12の制度について廃止され、また、その後の税制改正により、(ワ)~(ヨ)といった制度についても当初申告要件は設けられていない。 (イ) 受取配当等の益金不算入(法23⑦) (ロ) 外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法23の2③) (ハ) 国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法37⑨) (ニ) 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法59④) (ホ) 協同組合等の事業分量配当等の損金算入(法60の2) (ヘ) 所得税額控除(法68③) (ト) 外国税額控除(法69⑩⑪) (チ) 公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例(令73の2②) (リ) 引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例(令113②⑥) (ヌ) 特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限の5倍要件の判定の特例(令113の2⑭) (ル) 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例(令123の8③五) (ヲ) 特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例(令123の9②⑧) (ワ) 青色申告書を提出した事業年度の欠損金繰越しにおける更生手続や再生手続開始の決定等があった場合の特例(法57⑫) (カ) 青色申告書を提出しなかった事業年度の災害損失金の繰越し(法58②⑤⑦) (ヨ) 適格合併等による欠損金の引継ぎにおける譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例(令112⑥三ロ) (注2) 前記①②のいずれかに該当する制度については、当初申告要件は存続されていることに留意する必要がある。代表的なものとして、国庫補助金等、保険差益、交換等の圧縮記帳、貸倒引当金・返品調整引当金などがある。 上記により当初申告要件が廃止された制度であっても、課税当局側での制度の適用要件確認のため、確定申告書等、修正申告書(注3)又は更正請求書に、所要の事項の記載をした書類又は所要の書類の添付が必要とされた。 (注3) 修正申告時に新たに制度の適用を受けることにより課税標準又は税額が減少する一方、他項目の所得加算等により最終的には課税標準又は税額が増加する場合があることから、ここに修正申告書が掲げられている。 しかし、当初申告である確定申告書で制度の適用を受けていない場合であっても、その後、修正申告書や更正請求書に記載・添付等をすることによって新たに制度の適用を受けることができるという点で、改正前までの記載・添付等とはその意味合いは異なるものであり、平成23年12月改正はそれまでの取扱いを大きく変更するものであった。 また、当初申告要件が設けられている制度の中には、その制度の適用を受ける金額(控除等の金額)について、確定申告書等に記載された金額を限度とするという「適用額の制限」が設けられている制度があった。 例えば、平成23年12月改正前の所得税額控除では、控除をされるべき金額は確定申告書に控除を受けるべき金額として記載された金額を限度とする、と規定されていたことから(平23.12改正前の法68③)、確定申告書に記載した控除金額がいわば絶対的な上限額として取り扱われていた。 このため、確定申告後に控除漏れの所得税額が判明したとしても、確定申告書等に記載された金額を超えて控除金額を増額させることは一切できなかったが、この点についても平成23年12月で改正(見直し)が行われた。 すなわち、所得税額控除、受取配当等の益金不算入といった制度については、確定申告書等だけでなく、修正申告書又は更正請求書に添付された書類に適用を受ける金額として記載された金額を限度とする、と改正され、修正申告書や更正請求書に記載・添付等をすることによって適用額(控除等の金額)を増額させることができるようになった(注4)。 (注4) 平成23年12月改正で「適用額の制限」の見直しが行われたのは、次の制度である。 (イ) 受取配当等の益金不算入(法23⑦) (ロ) 外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法23の2③) (ハ) 国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法37⑨) (ニ) 所得税額控除(法68③) (ホ) 外国税額控除(法69⑩⑪) なお、適用額(控除等の金額)の記載を一切不要としなかったのは、課税当局側に金額の立証責任が転換しないようにするためと趣旨説明がされている(財務省HP「平成24年度税制改正の解説」163頁参照)。 以上のとおり、平成23年12月の法人税法の改正は、それまで厳格に取り扱われていた当初申告要件や適用額の制限について、多くの制度についてこれを緩和するという大きな改正であった。 なお、その後の税制改正においても、平成23年12月改正の枠組みや考え方等は維持されている。 (2) 租税特別措置法 平成23年12月では、租税特別措置法(以下「措置法」という)についても改正が行われた。 平成23年12月改正前の試験研究費の特別税額控除制度や中小企業者等が機械等を取得した場合の特別税額控除制度等については、確定申告書等にその控除を受ける金額の申告の記載があり、かつ、その控除を受ける金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り適用することとされていた。 このため、確定申告書等において制度の適用を受けていない場合には、修正申告や更正の請求によって新たに制度の適用を受けることはできないこととされていた。これを「措置法における当初申告要件」という。 また、措置法における当初申告要件が設けられている制度の中には、その適用額(控除等の金額)について、確定申告書等に記載された事項を基礎として計算する場合に控除を受けることができる正当額を限度とするものがあった。例えば試験研究費の特別税額控除により控除される金額は、試験研究費の額や法人税額など確定申告書等に記載された全ての事項を基礎として計算された税額控除額(正当額)が適用限度額とされていた。 このため、確定申告書等に記載されたこれらの金額(例えば試験研究費の額や法人税額)が変動する場合であっても、修正申告や更正の請求によって、確定申告書等に記載された金額を是正して適用額(控除等の金額)を増加させることはできなかった。これを「措置法における適用額の制限」という。 平成23年12月改正では、措置法における適用額の制限の見直しが行われ、控除を受けることができる正当額を計算するに当たって基礎とする事項が、確定申告書等に記載された全ての事項から、確定申告書等に添付された書類に記載された特定の事項(試験研究費の額、資産の取得価額等)と改正された。換言すれば、確定申告書等に記載された試験研究費の額(又は資産の取得価額等)だけを基礎として(固定して)適用額(控除等の金額)を計算することになった。 このため、確定申告書等に記載された特定の事項以外の事項として記載された金額(例えば法人税額)に変動がある場合には、修正申告や更正の請求によってその金額を是正して適用額(控除等の金額)を増額できることとなった。 他方、措置法における当初申告要件は、確定申告書等に添付される書類に特定の事項(試験研究費の額、資産の取得価額等)を記載する必要があることされ、法人税法における当初申告要件とは異なり、引き続き存続することとされた。 当初申告要件の存続理由としては、措置法における特別税額控除制度等は、元々、研究開発促進、投資促進といった政策目的によるインセンティブ措置であることが考慮されたものと考えられる。 *  *  * 以上のとおり、平成23年12月では、法人税法、措置法のいずれも改正されたが、両者では異なる改正内容であったことに留意しておきたい。 (了)

#No. 233(掲載号)
#谷口 勝司
2017/08/31

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第2回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第2回】   公認会計士 佐藤 信祐   《第1章》 平成13年度税制改正前の議論 1 平成13年度税制改正前の状況 平成12年10月に政府税制調査会法人課税小委員会から「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」が公表された。この報告書では、同年5月に、会社分割法制を創設する商法改正が行われていることがきっかけであったと記載されている。 組織再編税制が導入される前の合併に対する税制には、明確なものが存在せず、実務上の解釈により対応していたように思われる。そして、現物出資に対する税制も圧縮記帳のみが認められており、基本的には時価取引であったと思われる。 実際に、第7回法人課税小委員会(平成12年6月2日)に提出された資料を見てみると、以下のように記載されている。 このような平成13年度税制改正前の状況は、現行法人税基本通達にもその痕跡が見受けられる。具体的には、同通達12の2-1-1(注1)では「適格合併又は適格分割に係る被合併法人又は分割法人に繰越欠損金がある場合において、合併法人又は分割承継法人がその繰越欠損金の全部又は一部に相当する金額を営業権として受け入れているときであっても、当該営業権については移転がなかったことになるのであるから留意する」とされている。 すなわち、「被合併法人において過去に損失が生じたことなどにより合併時に欠損金(利益積立金のマイナス)がある場合には、合併により受入資産の評価益を計上しても、その欠損金の額に達するまでの金額について課税が行われないことになる。」ことを懸念した通達であると言えよう。 これは、当時の商法において、時価以下主義による資産の受入れが可能であったことが原因である(※1)。現行企業結合会計では考えられない処理ではあるが、同通達が制定された平成14年2月15日では、このような会計処理が行われる可能性があったということが言える。 (※1) 現行税法であっても、事業譲渡を行った後に、事業譲渡法人を清算した場合には、法人税法59条3項に規定する欠損金額(「特例欠損金」「期限切れ欠損金」と称される)の範囲内であれば、含み益に対する課税がされないが、時価以下主義ではなく、時価取引であることから、同項の制度趣旨に反していない限り、問題視されるべきものではないと考えられる。 また、現物出資の制度も、会社を設立する場合の圧縮記帳のみが認められており、企業が組織再編成を円滑に行うための阻害要因になっていたことは容易に想像ができる。会社分割法制が導入されたことからも、租税法上も、適格組織再編成の制度を導入していく必要があったということが言える。なお、現行地方税法73条の7第2号の2、同施行令37条の14の2に定められている不動産取得税の特例(※2)では、類似の制度が残されており、会社分割の制度が整備された現在では、使いにくい内容となっている。 (※2) 被現物出資法人の設立時に、次に掲げる要件が充足される場合に不動産取得税が課されないこととされている。 ① 現物出資法人が、被現物法人の発行済株式総数の100分の90以上を所有していること。 ② 被現物出資法人が、現物出資法人の事業の一部の譲渡を受け、当該譲渡に係る事業を継続して行うことを目的としていること。 ③ 被現物出資法人の取締役の1人以上が、現物出資法人の取締役又は監査役であること。 このように、企業が組織再編成を円滑に行えるようにする必要がある一方で、法人課税小委員会の指摘からは、圧縮記帳のような恩典として組織再編税制を位置づけるのではなく、あるべき制度として位置づけようとしていたことが読み取れる。そのため、かつてないほどの詳細な税制が設けられることになり、組織再編税制が難解税制のひとつとして挙げられるようになったと言える。 *   *   * 次回では、「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」の内容について触れていきたい。 (了)

#No. 233(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/08/31

平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第8回】「[設備種別]適用税制の選択ポイント④(建物附属設備)」

平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第8回】 「[設備種別]適用税制の選択ポイント④(建物附属設備)」   アースタックス税理士法人 代表社員  税理士 島添 浩  シニアマネジャー 税理士 小嶋 敏夫 壽命 正晃 發知 諭志   【第5回】から【第10回】にわたっては、青色申告法人(連結法人を除く)における設備種別の適用税制(中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制)の選択ポイント及び具体的な申告実務上の留意事項を確認する。 なお、各税制の概要や適用手続き等については、【第1回】から【第3回】までを参照願いたい。 それでは今回【第8回】は、建物附属設備について紹介する。   1 選択ポイント 中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制の主なポイントは下記のとおりである。 【建物附属設備における適用税制一覧表】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (※) 上記税制以外に、【第4回】で確認した「地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制)」が平成29年7月31日から適用開始されている。  承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業計画に従って、特定地域経済牽引事業施設等の新設又は増設をするような場合には、当該税制の検討も要する。 建物附属設備においては、中小企業投資促進税制は対象外となるため、商業・サービス業・農林水産業活性化税制と中小企業経営強化税制の選択となる。 商業・サービス業・農林水産業活性化税制及び中小企業経営強化税制は、原則として建物附属設備を取得する前に一定の手続きを要するため、事前準備を行う必要があるが、商業・サービス業・農林水産業活性化税制より手続きが複雑な中小企業経営強化税制が特別償却、税額控除ともに有利な制度になっている。 なお、これらの税制については、事業の用に供されたことのないもの(つまり、新品)を取得することが要件となっている。新品の建物附属設備については、建物建設時や大規模改修時に付随して取得するケースが考えられることから、建設計画段階等でこれらの税制を検討する必要がある。 さらに、建物竣工等に伴い、建物、建物附属設備及び器具備品等を同時に取得することになるが、これらの資産種類を明確に区分しなければ、適切にこれらの税制の適用を受けることが難しくなるため、資産種類の区分別の根拠資料(工事明細書、工事完了報告書等)の準備等も必要と思われる。   2 具体例(特別償却準備金、税額控除) 今回は、以下の2点について確認する。 - 前 提 - 倉庫業を営む青色申告法人である内国法人甲社(資本金3,000万円、発行済株式の総数1,000株、従業員の数30人、大規模法人に株式を所有されていない)は、当期(平成29年4月1日から平成30年3月31日)において、空調設備(冷暖房・通風・ボイラー設備/その他)を取得し、事業の用に供した。 なお、償却方法については、税務上の法定償却方法である定額法を採用している。 また、翌期の事業年度は、平成30年4月1日から平成31年3月31日までである。 【建物附属設備(空調設備)の詳細】 取得価額:30,000,000円 法定耐用年数:15年(定額法償却率:0.067) 取得日:平成30年2月16日 事業供用日:平成30年3月1日 普通償却費:167,500円 普通償却限度額:167,500円 (1) 当期に特別償却準備金を選択し、翌期に特別償却準備金を取り崩す場合 ① 中小企業投資促進税制 建物附属設備については、適用できない。 ② 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 (イ) 当期末において剰余金の処分により特別償却準備金9,000,000円を積み立てている。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (ロ) 翌期末において特別償却準備金1,285,714円を取り崩している。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 ③ 中小企業経営強化税制 (イ) 当期末において剰余金の処分により特別償却準備金29,832,500円を積み立てている。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (ロ) 翌期末において特別償却準備金4,261,785円を取り崩している。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (2) 当期に税額控除を選択し、翌期に繰越税額控除限度超過額の税額控除を受ける場合 ① 中小企業投資促進税制 建物附属設備については、適用できない。 ② 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 (イ) 当期の調整前法人税額は6,450,000円であるものとする。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (ロ) 翌期の調整前法人税額は6,405,100円であるものとする。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 ③ 中小企業経営強化税制 (イ) 当期の調整前法人税額は6,450,000円であるものとする。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (ロ) 翌期の調整前法人税額は6,405,100円であるものとする。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 ④ 税額控除選択適用時の留意事項 上記具体例において税額控除を選択適用した際は、税額控除限度額が税額基準額(調整前法人税額×20%)を超えるため、当期において税額控除限度額の全部を控除しきれないが、この控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)については、1年間の繰越しが認められている。 よって、商業・サービス業・農林水産業活性化税制の場合の繰越税額控除限度超過額810,000円(2,100,000円-1,290,000円)、中小企業経営強化税制の場合の繰越税額控除限度超過額1,710,000円(3,000,000円-1,290,000円)は、翌期において税額控除をすることができる。 ただし、繰越し可能な期間は1年間であるため、繰越税額控除限度超過額が翌期の税額基準額(調整前法人税額×20%)を超える場合には、その超える部分の金額は控除することができなくなる。本問の場合には、中小企業経営強化税制において428,980円(1,710,000円-1,281,020円)が控除することができなくなる金額である。 このような事態に陥ることがないよう事前の事業計画において、税額控除により控除しきれるかどうかも検討しておく必要がある。   3 中小企業経営強化税制の適用にあたっての固定資産税の特例措置(課税標準の特例)の留意点 「2 具体例」では(注2)において、中小企業経営強化税制の適用を受けるにあたっての事前手続きが、収益力強化設備(つまり、B類型の設備)を前提としている。 【第3回】で確認した通り、B類型としての中小企業経営強化税制による固定資産税の特例措置(課税標準の特例)を受ける場合には、工業会等から生産性向上設備(つまり、A類型の設備)である旨の証明書を入手しなければならないため、注意が必要である。 また、【第7回】で確認した器具備品の固定資産税の特例措置(課税標準の特例)と同じく、地域と業種によって適用を受けることができるか否かが決定されることから、こちらも注意が必要である。 なお、今回の具体例では、空調設備を平成30年2月16日に取得していることから、仮に空調設備が固定資産税(償却資産税)の対象資産である場合には、平成31年度より固定資産税(償却資産税)が賦課されるとともに、固定資産税の特例措置(課税標準の特例)を受けられることに留意する。 *  *  * 次回【第9回】では、車両についての選択ポイント及びその具体例を確認していく。 (了)

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2017/08/31

相続空き家の特例 [一問一答] 【第9回】「母屋と離れ等の複数の建築物がある場合の計算例①(共有相続の場合)」-相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第9回】 「母屋と離れ等の複数の建築物がある場合の計算例① (共有相続の場合)」 -相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q XとYは、昨年1月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得しました。 相続の開始の直前において、父親は一人暮らしをし、父親が所有していたA土地(200㎡)は、用途上不可分の関係にある2以上の建築物(父親が所有していた母屋:140㎡、離れ:40㎡、倉庫:20㎡)のある一団の土地でした。 A土地及びこれらの建築物については、Xが4分の3を、Yが4分の1を共有で相続し、母屋を耐震リフォームした上で、XとYが共に売却しました。 この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用にあたって、XとYのそれぞれにおける被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積はいくらでしょうか。 (1) Xが4分の3を相続(200㎡×3/4=150㎡) (2) Yが4分の1を相続(200㎡×1/4= 50㎡) A 被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積は、Xが105㎡、Yが35㎡となります。 ●○●○解説○●○● 措通35-13(被相続人居住用家屋の敷地等の判定等)の〔設例1〕に基づき計算すると、次のようになります((算式)は【第8回】の解説を参照)。 (1) Xが譲渡した土地(200㎡×3/4=150㎡)のうち、被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積 (2) Yが譲渡した土地(200㎡×1/4=50㎡)のうち、被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積 (了)

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#大久保 昭佳
2017/08/31

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第18回】「別表10(5) 収用換地等及び特定事業の用地買収等の場合の所得の特別控除等に関する明細書」〈その1〉

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第18回】 「別表10(5) 収用換地等及び特定事業の用地買収等の場合の所得の特別控除等に関する明細書」 〈その1〉   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本稿では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 前回は「別表13(4) 収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」を採り上げたが、今回は同じ収用換地等の場合において、圧縮記帳の特例ではなく、譲渡益について特別控除を選択する場合に作成する「別表10(5) 収用換地等及び特定事業の用地買収等の場合の所得の特別控除等に関する明細書」を採り上げる。   Ⅱ 概要 この別表のうち、「Ⅰ 収用換地等の場合の所得の特別控除に関する明細書」の部分は、法人が、措置法第65条の2(収用換地等の場合の所得の特別控除)の規定の適用を受ける場合に記載する。 本制度は、法人の有する資産(棚卸資産を除く)が収用換地等に該当することとなった場合において、代替資産の圧縮記帳等の特例(措置法第64条及び第65条1項1号・2号)の適用に代えて、譲渡益と5,000万円とのいずれか低い金額まで、所得金額の計算上特別に損金の額に算入することができるというものである。 そもそも法人が所有する土地等の資産の譲渡益があった場合には、その収益は課税所得となるのが原則である。しかし、土地収用法等に基づき法人の有する資産が強制的に収用される場合などは、いわゆる公権力による買取りであって、この利益までをも課税対象とすると、企業は退去させられた設備の代替資産の取得が困難となり、事業継続に支障をきたす恐れがでてきてしまう。このため前回解説したように圧縮記帳の特例が認められているが、交付を受けた補償金等についてはその全部又は一部が必ずしも代替資産の取得に充てられるとは限らない。 そこで公共事業の施行を円滑に進めることができるように、代替資産の圧縮記帳等の特例に代えて、一定の要件のもと譲渡益について特別控除の制度が設けられたのである。 特別控除の対象となる譲渡益の計算方法は次のとおり。 ▼ 注意!▼ 「譲渡経費の額」は、譲渡資産に係る斡旋手数料、謝礼、譲渡資産の借地人又は借家人等に対して支払った立退料、資産の取壊し又は除去費用、資産の譲渡に伴って支出する建物等の移設費用などの額の合計額から、譲渡経費に充てるために交付を受けた金額(経費補償金)を控除して算出する。 なお、収用換地等の場合以外でも、特定の事業のために土地等が買い取られた場合には、以下のような特別控除がある。 これらの特別控除については、本別表の「Ⅱ 特定事業の用地買収等の場合の所得の特別控除等に関する明細書」の欄に記載されることになるが、当該記載例は次回解説する。 ▼ 注意!▼ これらの特別控除が同一暦年中に2つ以上適用される場合には、特別控除の合計額は5,000万円が限度とされる。この限度額の計算は、事業年度単位ではなく、あくまで暦年単位で判定することになる。   Ⅲ 「別表10(5)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成29年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 Ⅰ 収用換地等の場合の所得の特別控除に関する明細書 「譲渡資産の明細」 「譲渡経費の額の計算」 「特別控除額の計算」 (了)

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#菊地 康夫
2017/08/31
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