税務判例を読むための税法の学び方【98】
〔第9章〕代表的な税務判例を読む
(その26:「政令委任と租税法律主義③」)
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
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④ 木更津木材事件
(この事案は、かつて別件で紹介している。)
- 第一審 千葉地裁平成7年2月22日(行集46巻10・11号1057頁、税務訴訟資料208号358頁、判例時報1553号64頁、判例タイムズ894号131頁)
- 控訴審 東京高裁平成7年11月28日(行集46巻10・11号1046頁)
法律による政省令への委任が租税法律主義に違反しているとされた具体的な事例を提供するものとして、重要な先例的意義を有する(佐藤英明「課税要件法定主義一政令への委任の限界」租税判例百選第4版(別冊ジュリスト178号)10頁(ただしこれは控訴審の評釈である))とされる裁判例である。
原告は、通常税率による登録免許税を納付して所有権移転登記を受けたが、これは協同組合の組合員への土地譲渡であり、かかる登記については租税特別措置法(平成4年法律14号による改正前のもの。以下「措置法」という)78条の3第1項に規定する中小企業者が集団化等のため取得する土地又は建物の所有権の移転登記についての軽減税率の特例の適用が可能であった。登記後にこの軽減規定を知り登記官に対して差額について還付請求したところ、同施行規則により登記申請書に添付すべきとされる知事証明書を添付していなかったことを理由に還付を拒否された。そこで原告は知事証明書を提出したうえで、登録免許税法31条2項に基づき所轄税務署長に還付通知をするように請求したが、登記官は過誤納付の事実は認められないため税務署長への還付通知はできない旨の通知をした。そこで原告がこの通知の取消と国に対する不当利得の返還を求めたものである。
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