理由付記の不備をめぐる事例研究
【第27回】
「収益事業」
~不動産貸付業に係る収益事業から生じた所得に該当すると判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人である財団法人X(法人税法2条6号の公益法人等に該当する)に対して行われた公社への局舎提供に係る賃貸借料収入が不動産貸付業に係る収益事業から生じた所得に該当することを理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁平成22年4月22日判決(税資260号順号11426。以下「本判決」という)を取り上げる。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(不動産賃貸料収入の計上漏れ 〇〇〇円)
貴法人は、B公社に対して貸し付けているD局舎の賃貸料収入を収益事業以外の収益としていますが、当該賃貸料収入は、貴法人が所有する建物を、その用途に従ってB公社に利用させることの対価であり、また、法人税法施行令第5条第1項第5号のイないしルに掲げられた収益事業とされない不動産貸付業には該当しませんので、収益事業とされる不動産貸付業に係る収益となります。
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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