公開日: 2019/08/16 (掲載号:No.331)
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政府税調における連結納税制度の見直しについて~改正の方向性とその影響~ 【後編】

筆者: 足立 好幸

政府税調における連結納税制度の見直しについて

~改正の方向性とその影響~

【後編】

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸

 

(3) グループ調整計算
~事務負担の軽減を図る観点からの簡素化~

[改正の方向性]

第4回専門家会合では、グループ調整計算の見直しについて、各個別制度ごとに、調整計算をやめることによる事務負担の軽減効果と、企業経営の実態や制度趣旨・目的、濫用可能性等を勘案した調整計算の必要性等を比較衡量の上、見直しの内容を検討することが提起され、次に掲げる所得調整と税額調整の制度について、グループ調整計算(全体計算)を廃止し、単体法人と同様の個社計算に変更するという方向性が示された。

また、それに伴い、単体法人の取扱いと整合性を確保するため、単体法人のグループ法人税制の取扱いについても、見直しが検討されることが示された。

〈所得調整〉

  • 受取配当等の益金不算入制度
  • 外国子会社の受取配当等の益金不算入制度
  • 寄附金の損金不算入制度
  • 貸倒引当金の損金不算入制度
  • 過大支払利子税制の損金不算入制度

〈税額調整〉

  • 所得税額控除
  • 外国税額控除
  • 留保金課税
  • 研究開発税制
  • 設備投資促進税制(法人税額基準額の計算に係る部分)

ただし、定額控除限度額(中小法人の軽減税率対象所得、収用等の場合の定額控除限度額、過大支払利子税制の適用免除基準、交際費の損金算入限度額)については、グループ調整計算を継続する必要があることが示された。また、中小法人特例について、個別申告方式に対応し、親法人だけではなく子法人の資本金の額等も勘案し、連結グループ内の全ての法人の判定を行うことも検討されている。

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政府税調における連結納税制度の見直しについて

~改正の方向性とその影響~

【後編】

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸

 

(3) グループ調整計算
~事務負担の軽減を図る観点からの簡素化~

[改正の方向性]

第4回専門家会合では、グループ調整計算の見直しについて、各個別制度ごとに、調整計算をやめることによる事務負担の軽減効果と、企業経営の実態や制度趣旨・目的、濫用可能性等を勘案した調整計算の必要性等を比較衡量の上、見直しの内容を検討することが提起され、次に掲げる所得調整と税額調整の制度について、グループ調整計算(全体計算)を廃止し、単体法人と同様の個社計算に変更するという方向性が示された。

また、それに伴い、単体法人の取扱いと整合性を確保するため、単体法人のグループ法人税制の取扱いについても、見直しが検討されることが示された。

〈所得調整〉

  • 受取配当等の益金不算入制度
  • 外国子会社の受取配当等の益金不算入制度
  • 寄附金の損金不算入制度
  • 貸倒引当金の損金不算入制度
  • 過大支払利子税制の損金不算入制度

〈税額調整〉

  • 所得税額控除
  • 外国税額控除
  • 留保金課税
  • 研究開発税制
  • 設備投資促進税制(法人税額基準額の計算に係る部分)

ただし、定額控除限度額(中小法人の軽減税率対象所得、収用等の場合の定額控除限度額、過大支払利子税制の適用免除基準、交際費の損金算入限度額)については、グループ調整計算を継続する必要があることが示された。また、中小法人特例について、個別申告方式に対応し、親法人だけではなく子法人の資本金の額等も勘案し、連結グループ内の全ての法人の判定を行うことも検討されている。

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連載目次

政府税調における連結納税制度の見直しについて~改正の方向性とその影響~

【前編】

はじめに

1 検討に当たっての視点

2 連結納税制度の見直しの方向性と実務上のポイント

(1) 個別申告方式への移行~事務負担の軽減を図る観点からの簡素化~

・改正の方向性

・実務上のポイント

(2) 時価評価課税及び欠損金の利用制限等の見直し~組織再編税制との整合性の観点~

・改正の方向性

・実務上のポイント

【後編】

(3) グループ調整計算~事務負担の軽減を図る観点からの簡素化~

・改正の方向性

・実務上のポイント

(4) 新制度の適用関係~移行スケジュールと経過措置のイメージ~

・改正の方向性

・実務上のポイント

(5) その他の論点

(6) 今回の専門家会合で方向性が示されなかった事項について

3 連結納税の実務への影響~上記2のポイント踏まえて~

(1) 既に連結納税を採用している会社への影響

① 事務負担がどれくらい軽減されるのか?

② 税効果会計はどうなるのか?

③ 連結納税システムはどう変わるのか?

④ 連結納税から単体納税に移行する連結グループはどれくらいありそうか?

(2) まだ連結納税を採用していない企業への影響

① 新制度適用後は、連結納税を採用する企業は増えそうか?

② 連結納税を開始、加入、離脱するなら改正前か? 改正後か?

③ 準備期間に連結納税を開始して、その後、取りやめるのもよいのか?

4 おわりに

筆者紹介

足立 好幸

(あだち・よしゆき)

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト

グループ通算制度・連結納税制度・組織再編税制を専門にグループ企業の税制最適化、企業グループ税制に係る業務を行う。

著書に、『令和6年10月改訂 プロフェッショナル グループ通算制度』『グループ通算制度への移行・採用の有利・不利とシミュレーション』『グループ法人税制Q&A』『M&A・組織再編のスキーム選択』(以上、清文社)、『グループ通算制度の実務Q&A』『グループ通算制度の税効果会計』『早わかり 連結納税制度の見直しQ&A-グループ通算制度の創設で何が変わる?』『ケーススタディでわかる連結納税申告書の作り方』『連結納税の組織再編税制ケーススタディ』『連結納税の清算課税ケーススタディ』『連結納税の欠損金Q&A』『連結納税導入プロジェクト』(以上、中央経済社)など多数。
 

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