組織再編税制における不確定概念
【第8回】
「適格合併における繰越欠損金の利用②」
公認会計士 佐藤 信祐
前回(第7回目)においては、支配関係が生じてから5年経過するまで待つ場合、みなし共同事業要件を形式的に充足させる場合についてそれぞれ解説を行った。
第8回目の本稿においては、さらに発展させた論点として、繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併、繰越欠損金飛ばしスキームについてそれぞれ解説を行う。
1 繰越欠損金を利用するための企業買収と適格合併
『平成13年版改正税法のすべて』(大蔵財務協会)244頁では、包括的租税回避防止規定が適用される具体例として、「繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う」ものが挙げられている。
しかし、支配関係が生じてから合併事業年度開始の日まで5年を経過していない場合には、繰越欠損金の引継制限が課されており(法法57③)、それ以外の場合において、包括的租税回避防止規定を適用することは行き過ぎであると思われる。
さらに、平成18年度税制改正において、「欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法法57の2)」が導入されたことにより、「繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う」ことは難しくなってきている。
したがって、繰越欠損金や含み損のある会社を買収し、その繰越欠損金や含み損を利用するために、適格合併を行ったものとして、包括的租税回避防止規定が適用されることは稀であると考えられる。
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