〈検証〉IFRS適用レポート
~IFRS導入企業65社の回答から何が読み解けるか?~
【第2回】
「原則主義への対応」
―IFRS会計方針書の作成方法―
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
CFOサービスユニット シニアマネージャー 公認会計士
窪田 俊夫
海外子会社の増加、事業の多角化、ビジネスのグローバル展開等に起因して、親会社によるグループコントロールが効きにくくなってきており、グループを統一的に管理可能な「言語」としてのツール整備の課題感が高まっている。この課題を克服するための一契機として、IFRS任意適用を選択する企業が増えている。
金融庁より2015年4月15日に公表されたIFRS適用レポート(以下、適用レポート)によると、IFRS移行時の課題として最も多くの企業が挙げたのが「特定の会計基準への対応」であった。これは主に、IFRS導入を目指すうえで必要不可欠となるIFRS会計方針書を作成する際の課題である。このIFRS会計方針書が、IFRS適用後においてグループ共通言語の役割を果たすことになる。
本稿において、IFRS会計方針書について以下6点を解説する。
1 IFRS会計方針書の全体像
2 会計基準の差異分析
3 目的の明確化
4 整備内容
5 作成プロセス・整備部署
6 展開・メンテナンス
なお、当該記事は執筆者の私見であり、執筆者が所属する組織の公式見解ではない旨、ご了承いただきたい。
1 IFRS会計方針書の全体像
IFRS会計方針書をグループ各社に正しく理解し運用してもらうためには、単に会計方針を記載した会計方針書を作成するだけでは不十分である。
一般的に、図表1に示すように会計方針書のほかに、実際のビジネスケースに即した適用の判断基準、具体的な会計処理方法や仕訳例を記載した「グループ会計方針適用ガイド」、グループ各社が連結パッケージにどのように自社の財務情報を入力すべきかを解説した「連結パッケージ入力マニュアル」、グループ各社がグループ会計方針に即した処理を行ったか確認するための「IFRS会計方針適用チェックリスト」等を作成する。
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