公開日: 2013/05/09 (掲載号:No.18)
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会計リレーエッセイ 【第5回】「IFRS財務諸表は投資家にとって有用か?」

筆者: Warren McGregor

会計リレーエッセイ

【第5回】

「IFRS財務諸表は投資家にとって有用か?」

 

前IASB理事 Warren McGregor

 

はじめに

本稿は、企業経営者及びそのアドバイザーによって指摘されているIFRS財務諸表に対する批判を評価するものである。

 

投資家はIFRS財務諸表を読むことはない

企業経営者が、投資家やアナリストがIFRS財務諸表を読んでいないと主張するのを聞くことは、まれなことではない。

その証拠として、彼らは、財務諸表に関する投資家やアナリストからの質問をほとんど受けたことがないという事実を指摘している。

真剣な投資家やアナリストがIFRS財務諸表に興味を示さないということはほとんどあり得ないことを考えると、この主張は、IFRS財務諸表それ自体の主要な欠陥というよりも、おそらく、通常は年次報告期間末から数ヶ月後である財務報告の公表のタイミングによって、より影響を受けたものであろう。

投資家やアナリストが、利益情報リリースや投資家説明会など、よりタイムリーに提供される情報に焦点を当てていることは事実であるが、このようなコミュニケーションには、年次IFRS財務諸表と整合的な財務情報が含まれている。

逸話的な証拠によると、投資家やアナリストは、年次財務諸表を、利益情報リリースの内容を確認し、興味のある特定事項に関する詳細を入手し、そして、財務諸表の数字が監査されているという安心を得るために利用している。

しかし、投資家がIFRS財務諸表に興味がないという主張に抗弁することが難しい、より根本的な理由がある。

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【第5回】

「IFRS財務諸表は投資家にとって有用か?」

 

前IASB理事 Warren McGregor

 

はじめに

本稿は、企業経営者及びそのアドバイザーによって指摘されているIFRS財務諸表に対する批判を評価するものである。

 

投資家はIFRS財務諸表を読むことはない

企業経営者が、投資家やアナリストがIFRS財務諸表を読んでいないと主張するのを聞くことは、まれなことではない。

その証拠として、彼らは、財務諸表に関する投資家やアナリストからの質問をほとんど受けたことがないという事実を指摘している。

真剣な投資家やアナリストがIFRS財務諸表に興味を示さないということはほとんどあり得ないことを考えると、この主張は、IFRS財務諸表それ自体の主要な欠陥というよりも、おそらく、通常は年次報告期間末から数ヶ月後である財務報告の公表のタイミングによって、より影響を受けたものであろう。

投資家やアナリストが、利益情報リリースや投資家説明会など、よりタイムリーに提供される情報に焦点を当てていることは事実であるが、このようなコミュニケーションには、年次IFRS財務諸表と整合的な財務情報が含まれている。

逸話的な証拠によると、投資家やアナリストは、年次財務諸表を、利益情報リリースの内容を確認し、興味のある特定事項に関する詳細を入手し、そして、財務諸表の数字が監査されているという安心を得るために利用している。

しかし、投資家がIFRS財務諸表に興味がないという主張に抗弁することが難しい、より根本的な理由がある。

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連載目次

「会計リレーエッセイ」(全12回)

筆者紹介

Warren McGregor

(ウォーレン・マクレガー)

1950年、オーストラリア生まれ。

2001年から2011年まで、IASB理事。
保険会計やリース会計に関する専門家。

IASB理事の前は、オーストラリア会計リサーチ財団の最高責任者(Chief Executive Officer)、IASC(国際会計基準委員会)のオーストラリア代表を務める。来日経験も多く、日本の関係者との交流も深い。

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