《速報解説》
公認会計士・監査審査会より
平成29年版の「監査事務所検査結果事例集」が公表
~繰延税金資産、固定資産の減損、のれん評価等で問題となった事例を紹介~
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
平成29年7月26日、公認会計士・監査審査会は平成29年版の「監査事務所検査結果事例集」を公表した。
今回の事例集の特徴は次のとおりである。
① 「Ⅰ.根本原因と業務管理態勢」において、監査事務所の規模別に、ガバナンスと不備の根本原因との関係を解説したほか、自ら根本原因の究明に向けた取組をしている大手監査法人の例を紹介
② 「Ⅲ.個別監査業務編」において、約3割の事例について最新のものと入れ替えており、特に「財務諸表監査における不正」については、重要性が一層増していることから、検査事例や留意点などの記載を充実
また、グループ監査に係る改善取組を行った監査法人の例など「評価できる取組」を追加しているとのことである。
「平成29年版 モニタリングレポート」も公表されており、監査法人の状況などについて、会計専門家ではない一般の利用者にもわかりやすく説明がなされている。審査会としては、今後もモニタリングレポートの内容を充実させつつ、最新の状況も伝えられるようにすることを考えている。
事例集は、公認会計士・監査審査会が行う監査事務所の検査で確認された指摘事例等を取りまとめたものであり、基本的に、監査事務所に関する内容である。
本稿では、事例集に記載された事項のうち、一般事業会社における会計処理等においても参考になると考えられるものを紹介する。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 取締役、監査役、投資者等による活用を期待
事例集は、上場会社等の取締役・監査役や投資者等に対する参考情報の提示という観点から、最近の不正会計事案に関するものも含め、審査会検査で確認された指摘事例を記載し、また、監査事務所の改善取組に関する優れた事例にも触れているので、会計監査人の適切な評価のために、是非参考にしていただきたいと考えているとのことである。
Ⅲ 個別業務における「問題となった事例」
事例集は、次のような事例について述べている。
会計上の見積りについては、継続して不備が頻出していると述べている。
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