法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例70】「使用人に対する決算賞与の損金算入時期」
さて、そのようなわが社に最近税務調査が入り、新たな頭痛の種となっております。国税局の調査官によれば、従業員に対する決算賞与につき、政令に定める要件を満たしていないとして、損金算入が認められなかったのです。決算期末までに人事部が賞与の支給を全従業員に通知しており、債務が確定しているにもかかわらず、損金算入を認めないのは不当だと思うのですが、税法上どのように考えるのが正当なのでしょうか、教えてください。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第48回】「使用料に係る源泉地の判定」
特許権等の使用料の源泉地国判定において使用地主義を採用した上で、当該特許を使用した製品の製造行為と販売行為が異なる国で行われる場合、どのように判断するのでしょうか。
決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第10回】「株価予想に影響する予想EPSの誤り」
決算短信の中で、投資家が最も関心を寄せる情報は業績予想ではないでしょうか。その企業が今後儲かるのかどうかということは、投資に際して当然気になるものです。
次期の業績予想は、決算短信のサマリー情報に記載されています。今回は、業績予想で誤った数値を公表してしまった事例を取り上げます。誤った項目は、次期の1株当たり当期純利益(Earnings Per Share、略してEPSと呼ばれる)の数値です。
次期の予想EPSというのは、今後の株価を予想するのに利用される財務指標の1つです。その意味で非常に重要な箇所での間違いになります。どのような間違いだったのか、早速、訂正事例を見ていきましょう。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第56回】「M&Aのステップごとに異なる対象企業の見方・見られ方」
本稿では、中小M&Aの手続きや仕組みではなく、相手に対する視点を通した中小M&Aの捉え方や心構えなどをご紹介しています。ある判断材料が与えられてその材料の範囲で相手を見るわけですから、相手への視点は当然、ステップを経て判断材料が変化するにしたがって変わるはずです。
日本の企業税制 【第134回】「令和7年度税制改正大綱がまとまる」
12月20日、与党(自由民主党・公明党)の「令和7年度税制改正大綱」が公表された。
今回の税制改正プロセスにおいては、従来の自由民主党と公明党の両党による与党税制協議の枠組みに加えて、与党と国民民主党との3党間での税制協議も併行して行われた。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第45回】「所得税法における無効所得の取扱いと債務免除益の無効基因喪失の意義」-錯誤無効債務免除源泉徴収事件・最判平成30年9月25日民集72巻4号317頁-
今回は、最判平成30年9月25日民集72巻4号317頁(以下「平成30年最判」という)を取り上げて、所得税法における無効所得の取扱いについて検討することにする。
令和6年分 確定申告実務の留意点 【第1回】「令和6年分の申告に適用される改正事項」
今回から3回シリーズで、令和6年分の確定申告に係る実務上の留意点を解説する。
第1回(本稿)と第2回は、「令和6年分における特別税額控除」(以下、「定額減税」という)を取り上げる。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例141(消費税)】 「「課税事業者選択届出書」を提出したため、「2割特例」の適用が受けられず、修正申告となってしまった事例」
令和6年3月期の消費税につき、適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」という)を機に免税事業者から適格請求書発行事業者(以下「インボイス発行事業者」という)として課税事業者になったことから、「適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置」(以下「2割特例」という)を適用して申告したが、令和5年3月に「適格請求書発行事業者の登録申請書」と同時に提出する必要のない令和5年4月からの「課税事業者選択届出書」を提出したため、「2割特例」の適用が受けられず、修正申告となってしまった。これにより、当初申告と修正申告との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第44回】「宗教法人が有する動物の遺骨の保管と供養をしていたロッカーの一部に係る土地と供養塔等に係る固定資産税は課税か非課税かで争われた事例」
しかし、固定資産税の非課税で争われた事例においても、法人税における収益事業課税の論理が判断に影響を及ぼす場合もある。今回は、宗教法人が有する動物の遺骨の保管と供養をしていたロッカーの一部に係る土地と供養塔等に係る固定資産税が課税か非課税かで争われた事例について検討する。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第58回】
【第57回】のとおり、法令用語辞典では、証券とは、「財産法上の権利義務に関する記載のされた紙片」であるとされている。他方、同書は、紙片が発行されない証券の存在も認めている。すなわち、外国為替及び外国貿易法6条1項11号において「『証券』とは、券面が発行されていると否とを問わず、公債、社債、株式、出資の持分、公債又は株式に関する権利を与える証書、債券、国庫証券、抵当証券、利潤証券、利札、配当金受領証、利札引換券その他これらに類する証券又は証書として政令で定めるものをいう」とされていることも併記している(大森政輔ほか編『法令用語辞典〔第11次改訂版〕』407頁(学陽書房、2023))。