解説一覧
税務・会計分野に関する各種制度や実務論点を体系的に解説した記事をまとめたカテゴリです。法人税・所得税・消費税・相続税などの主要税目に加え、財務会計・管理会計・監査分野の解説や実務対応のポイントまで幅広く掲載しています。条文の趣旨や通達、判例・裁決事例を踏まえながら、制度の背景と実務上の留意点を整理し、専門職や企業担当者が実務判断に活用できる内容を提供しています。分野別の詳細カテゴリもあわせてご参照ください。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例90】「卸売業者が負担した増仕切価格と仲卸業者等への実際の販売価格との差額についての損金性」
私は、中国地方のとある県の県内第二の都市に本社を置き、中国・四国地区にて青果物及びその加工品等を扱っている株式会社X(資本金8,000万円で3月決算)において、経理部長を務めております。
現在、わが業界における税制に関する最大の関心事は、消費税にかかる食料品減税の行方です。2026年の総選挙において、物価高・インフレ対策で急遽争点となった消費税減税ですが、中でも飲食料品を「消費税の対象としない」という公約が有権者に受け、与党自民党・日本維新の会が圧勝したのは記憶に新しいところです。その後紆余曲折があり、どうやら飲食料品への消費税はゼロ税率ではなく1%にして2年間限定で減税し、その後は元の税率8%に戻して給付付き税額控除に移行するという方向で落ち着きそうな情勢です。しかしながら、このようなやり方が物価高・インフレ対策に効くのか大いに疑問であるばかりでなく、外食産業への悪影響や、一度下がった税率を本当に元に戻せるのか、代替財源は本当に確保できるのかといった課題や懸念が山積しており、世界の中で日本がさらに地盤沈下していくのではないかとハラハラするばかりです。
さて、そのような中、先週から税務調査を受けており、法人税に関してとある問題がクローズアップされております。当社は委託を受けて青果物及びその加工品等を仲卸業者に販売していますが、委託者には実際の販売価格よりも高い価格(増仕切価格)から委託手数料を控除した金額を支払っており、当社の経理上は、実際の販売価格を売上原価に算入するのみでなく、増仕切価格と実際の販売価格との差額を「売上雑損」として損金に算入しています。しかし、税務署の調査官は、当該売上雑損から増仕切価格に対する委託手数料と実販売価格に対する委託手数料との差額を控除した金額が「寄附金の額」に該当するものとして、損金性を一部否認しています。調査官の言うロジックがよくわからないのですが、どのように解すべきなのでしょうか、教えてください。
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租税争訟レポート 【第87回】「法人税「貸倒損失と債務免除益」(東京地方裁判所令和5年10月31日判決)」
■■■■■■■■■■■を目的とする株式会社である原告は、原告代表者(以下「本件代表者」という)の子で原告の従業員であった乙の提案により、C社から建物解体業務を受注し、これを外注するという事業(以下「本件解体事業」という)を行うようになり、その後、乙が代表取締役を務めるB社において本件解体事業を引き継ぐことになったが、原告及びB社が行っていた本件解体事業は、実体のない取引であることが判明した。
B社は、これを契機として解散決議がされて清算株式会社となり、原告のB社に対する貸付け等に係る金銭債権(以下「本件金銭債権」という)6億1,504万9,280円について債務免除を受けるなどした上で、その清算を結了した。
本件は、原告が、債務免除を行った金銭債権の額を貸倒損失として損金の額に算入するなどして、平成28年3月期から平成31年3月期の各事業年度の法人税及び平成28年3月課税事業年度から平成31年3月課税事業年度の地方法人税の申告をしたところ、東松山税務署長から、金銭債権の額は貸倒損失として損金の額に算入することはできず、また、平成28年3月期に実体のない本件解体事業により原告が被った損害に係る損害賠償請求権をその益金の額に算入すべきであるなどとして、本件各事業年度の法人税に係る各更正処分並びに重加算税及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに本件各課税事業年度の地方法人税に係る各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を受けたため、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第99回】
「データを適切に損益計算ソフトに取り込むことができない場合」がある。
例えば、損益計算ソフトが新たにリリースされた又はマイナーなブロックチェーン、取引所、サービス又はプロトコル(規格や技術仕様)に対応していないことがある。
これは、各ブロックチェーンやサービスが独自のルールと仕様に基づいて設計されており、トランザクション構造やデータ出力形式が相互に統一されていないため、損益計算ソフト側の対応を困難にさせていることに起因する。
また、一部のブロックチェーンはAPIやデータ提供の仕組みを備えているが、その仕様は統一されておらず、外部ソフトウェアがトランザクションデータを一貫性のある形式で自動取得・自動分類できるような標準化が十分に進んでいないという事情もある。
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〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第13回】「「収益性の低下に基づく簿価切下げの方法」とは何か」
重要な会計方針の開示に際して、棚卸資産の評価基準及び評価方法において、例えば、「総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)」と記載している事例がある。
この「収益性の低下に基づく簿価切下げの方法」とは何であろうか。
今回は、「収益性の低下に基づく簿価切下げの方法」について取り上げる。
なお、本稿では、「企業会計原則」などからの引用に際しても、「たな卸資産」の表記を「棚卸資産」と表記している箇所があることをお断りしておく。
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谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第61回】「馬券払戻金の一時所得・雑所得該当性の判断枠組み」-大阪事件・最判平成27年3月10日刑集69巻2号434頁に対する札幌事件・東京地判平成27年5月14日訟月62巻4号628頁の「面従腹背」-
譲渡所得課税に関する判例の検討は前回で一先ず擱くとして、今回は、一時所得と雑所得の区分(以下では「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」と「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」の区分に限る)に関する判例を取り上げて検討することにする。一時所得と雑所得の区分については、近年、馬券購入方法の多様化や通信手段・IT技術等の飛躍的発展等に伴い馬券払戻金の所得区分が争われるようになり注目を集めてきた(そのような事件を以下では「競馬事件」という)。
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〈Q&A〉非上場株式の承継実務 【第1回】「親族内事業承継の進め方」
顧問先の社長から、自社株式の承継について相談を受けた。親族内承継を前提とする場合、株式の承継はどのような手順で進めればよいか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例162(消費税)】 「一般財団法人であり、特定収入割合が90%を超えていたことから、高額特定資産を取得しても2割特例が有利であったが、原則課税有利と思い込み、原則課税で申告したため、その後の2年間も2割特例が適用できなくなってしまった事例」
一般財団法人の令和6年3月期の消費税につき、高額特定資産を取得したため、原則課税有利と思い込み、原則課税で申告を行った。ところが、特定収入割合が90%を超えていたことから、課税仕入れ等の税額調整により「適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置」(以下「2割特例」という。)が有利であった。これにより、課税事業者として拘束される期間中、2割特例の適用ができなくなってしまった。これにより、有利な2割特例と不利な原則課税との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けた。
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固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第64回】「コインパーキングの運営のために土地を賃貸している個人は、駐車場を自己の計算と危険において独立して反復継続的に行っている者とは評価し難いから、駐車場業ではなく不動産貸付業を営んでいると判断され、個人事業税の賦課決定処分が取り消された事例」
事業税は、事業を課税対象とする税金である。事業を行うのは個人、法人に関係なく課税対象となるが、法人事業税は、稼いだ利益について非課税所得を除いた部分を課税標準として課することになるが、個人事業税の場合は、法令で定めた事業に限定され、その事業を3つの種類に分類し、それぞれの税率を乗じて税額を算定する。
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グループ企業の税務Q&A 【第9回】「譲渡損益を繰り延べている通算法人が通算グループ内の他の法人との間で合併を行った場合」
P社を通算親法人とするグループ通算制度を適用しており、当社(A社)は通算子法人に該当します。当社は過年度に同じく通算子法人のB社に譲渡損益調整資産を譲渡して、譲渡損益を繰り延べていました。当期に当社を被合併法人、C社(通算子法人)を合併法人とする適格合併を行う場合、繰り延べていた譲渡損益はどのように処理することになるのでしょうか。
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〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第105回】「IHI事件 -取引単位営業利益法(TNMM)に準ずる方法と同等の方法による課税処分が取り消された事例-(地判令5.12.7、高判令6.12.11)(その2)」~租税特別措置法66条の4第1項等~
わが国のTNMMの原型は、米国におけるCPM(利益比準法:Comparable Profit Method)である。CPMは、法人単位(又は事業セグメント単位)の営業利益指標で比較・検討することから、TNMMとの違いは、概ね、取引単位か、法人単位か、ということになる(※17)。米国で考案・導入されたCPMは、課税執行面での課題を克服するため、情報の入手可能性に配慮し、効率的、かつ、訴訟に耐えうる算定方法を模索した結果とされている(※18)。したがって、TNMMにも同様の効果を期待できよう。しかしながら、CPMは、もともと米国内の法人を比較対象とし、国内のインバウンド取引に適用されてきた経緯がある。その導入期においては、米国に進出する日系企業に対する移転価格課税に適用されてきたことから、もともとはインバウンド取引に対する移転価格課税を想定した手法である。本件のようなアウトバウンド取引については、検証対象法人及び比較対象法人が国外にあることから、情報の入手可能性という課題が再現することになる。また、TNMMがアウトバウンド取引に適用される場合、課税処分を行う課税庁の立場からは、立証が困難なケースが想定される。
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