《税務必敗法》 【第9回】「設立1期目を7ヶ月以下にすることを忘れた」
X会計事務所の税理士甲は、飲食店を営む個人事業者Aとは約5年間、税務顧問契約を締結している。
×1年1月、Aから「×1年度から法人成りしたい。インボイス登録は行わず、2期間は消費税を免税にしたい。決算月は3月で、できるだけ早く設立したい。」という依頼を受けた。
そこで、甲は「それでは、×1年6月中に設立手続を行い、×1年7月1日から新会社をスタートさせましょう。」と回答した。その後、Aは日本国内において、×1年7月1日を事業開始日とする資本金500万円の株式会社Bを設立した。また、インボイス登録は行わなかった。
しかし、翌×2年2月に、甲が別の顧問先の消費税の確定申告にあたり、税理士会による業務チェックリストを使ってチェックをしていたところ「特定期間における課税売上高を確認したか。」という項目を見て株式会社Bを思い出した。
調べたところ、株式会社Bの特定期間(×1年7月1日から同年12月31日)の課税売上高及び給与支払額は、ともに1,000万円を超えていたことが分かった。そのため、株式会社Bの×2年度は課税事業者となり、消費税の納税義務が生じることがわかった。
租税争訟レポート 【第83回】「内縁関係の認定と扶養義務者の範囲」(第1審:静岡地方裁判所令和6年3月14日判決、控訴審:東京高等裁判所令和6年12月12日判決)
本件は、原告が、沼津税務署長から、原告名義の普通預金口座に入金された金員のうち、甲が原資を出捐した金員について、原告が甲から贈与により取得した財産であるとして、平成30年12月19日付けで、平成24年分から平成同29年分までの各年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を受けたため、本件各金員の一部は原告が取得したものではなく、その余の本件各金員は、甲から内縁関係にある原告に対する生活費又は両者の実子及び原告の連れ子の教育費等の婚姻費用分担義務の履行として受領したものであって、贈与により取得した財産ではなく、そうでなくとも、扶養義務者相互間における生活費又は教育費に充てるためにした贈与に係る贈与税の非課税財産を定めた相続税法21条の3第1項2号の規定が適用されると主張して、国を相手に、本件各処分の取消しを求める事案である。
〔実務で差がつく!〕相続時精算課税制度Q&A 【第5回】「相続時精算課税と相続税の2割加算(その1)」
祖父Aは孫Cと令和4年8月に普通養子縁組を行った。
その後、令和5年2月に祖父Aから孫Cへ土地1,000万円を贈与し、孫Cは相続時精算課税制度を選択した。
令和6年1月に祖父Aの子である父B(孫Cの父)に先に相続が発生し、その後令和7年2月に祖父Aに相続が発生した。
この場合、祖父Aに係る相続税で孫Cが相続時精算課税制度により贈与された財産は相続税の2割加算の対象になるのか。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q102】「公社債に投資する投資信託の分類」
私(居住者たる個人)は、公社債に投資をする公募の投資信託をNISA口座で購入しました。税務上、公社債投資信託に該当するとNISA口座では保有できないと聞きましたが、主要な投資資産が公社債である投資信託であってもNISA口座で保有することができるのでしょうか。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第61回】「基準所得金額計算上の配当控除規定における当初申告要件の是非」
会社単位の外国子会社合算税制の適用があるとして更正処分を受けたとき、合算対象の外国関係会社がその子会社から配当等を受けていた場合には、その基準所得金額の計算において、控除明細書の添付という当初申告要件を満たしていないことから、当該配当等の額の控除は認められないでしょうか。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第102回】「消費税等の免税事業者が作成する受取書の取扱い」
当社は物品販売業を行っている者です。消費税及び地方消費税の免税事業者となっていますが、売上代金を現金で受領した際の領収書について、消費税及び地方消費税の額(以下「消費税額等」という。)に相当する金額を区分記載して交付しております。
この場合の記載金額は消費税等を含めない金額で判断してよろしいですか。含めない金額で判断すると、領収書である第17号文書の場合、5万円未満は非課税なので、収入印紙の貼付が必要なくなります。
計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第49回】「損失を利益と表示してしまった例」
損益計算書の税引前当期純損益について、その年度は赤字であったにもかかわらず、「税引前当期純利益」と表示してしまったというミスです。
連結会計を学ぶ(改) 【第14回】「未実現損益の消去」
親会社と子会社で取引が行われる場合(連結会社相互間の取引高)、それは企業集団としては内部取引であることから、連結損益計算書の作成に際して、相殺消去する必要がある(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)35項)。
連結グループ(企業集団)の外部に、連結会社相互間の取引の対象となった棚卸資産などが売却されていない場合には、当該売却による利益は未実現ということになる。
今回は、未実現損益の消去に関する会計処理について解説する。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第55回】「「譲渡所得課税の趣旨」法理と「趣旨内競い合い」の遅れ挽回」-土地譲渡代金割賦弁済事件・最判昭和47年12月26日民集26巻10号2083頁-
本連載の方針(第1回Ⅰ参照)に従い拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)の叙述の順に、今回からは、譲渡所得課税に関する判例をいくつか取り上げ検討することにする。まず、譲渡所得課税の趣旨に関する最高裁の考え方からみておこう。
最判昭和43年10月31日訟月14巻12号1442頁(以下「昭和43年最判」という)は譲渡所得課税の趣旨について次のとおり判示した(下線筆者)。
