酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第125回】「消費税法判例解析講座(その2)」
前述のとおり、消費税法58条は、「事業者・・・は、政令で定めるところにより、帳簿を備え付けてこれにその行つた資産の譲渡等又は課税仕入れ・・・に関する事項を記録し、かつ、当該帳簿を保存しなければならない。〔下線筆者〕」と規定している。ここでは、備え付けた帳簿に必要事項を記録することが要求されているように読むことができる。
この規定振りは、所得税法や法人税法といった所得課税法にみられる規定に近接しているように思われる。例えば、所得税法施行規則56条1項の規定は、まず帳簿書類の備付けを規定している。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第32回】「個人事業者が令和5年のみで適格請求書発行事業者をやめる場合の取消届出書の提出期限」
令和5年10月1日より適格請求書発行事業者となった個人事業者ですが、事情により令和5年のみで適格請求書発行事業者をやめたいと思います。手続きを教えてください。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例127(消費税)】 「「課税事業者選択届出書」の提出を失念したため、信託受益権の買取りに係る消費税の還付を受けることができなくなってしまった事例」
令和X年分の消費税につき、「課税事業者選択届出書」の提出を失念したため、信託受益権の買取りに係る消費税の還付を受けることができなくなってしまった。これにより、還付不能額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第124回】「消費税法判例解析講座(その1)」
令和5年10月から消費税法においてインボイス制度がスタートした。同制度を巡っては、喧々諤々の賛否両論が展開されているが、国民の中には誤解に基づくと思われる議論を展開しているように見受けられるものもある。また、租税専門家の中の議論においても、間接税というものが、担税者と納税義務者を分かちえていることの本質論を無視したような議論や、税制改革法を念頭に置いていないような議論も散見されるのである。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第31回】「いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」のインボイス制度における取扱いの変更点」
国外事業者にレンタルサーバー代を支払っています。この国外事業者は登録国外事業者でしたので、レンタルサーバー代につき令和5年9月まで仕入税額控除を受けてきました。令和5年10月以降、インボイス制度下での注意点を教えてください。
租税争訟レポート 【第69回】「税理士損害賠償請求事件~賠償額制限条項適用の有無(福岡地方裁判所令和5年6月21日判決)」
本件は、原告代表者が100%出資して平成27年2月16日に設立した、国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする資本金300万円の株式会社である原告が、税理士である被告に消費税及び法人税の申告に関する事務処理を委任し、被告の指導・助言に従って4事業年度にわたり消費税の申告をしたところ、①課税事業者を選択した方が原告に有利であったのに免税事業者としたこと及び②本則課税のままであった方が原告に有利であったのに簡易課税事業者を選択したことにより、納付する必要のない消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)を納めることになり、消費税等の還付を受けることができたのにこれを受けられなかったなどと主張して、被告に対し、民法415条の債務不履行又は同法709条の不法行為に基づき、損害賠償金合計605万3,951円及びこれに対する令和元年6月19日(催告日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第30回】「勘定科目別に確認するインボイス制度準備のチェックポイント」
インボイス制度開始まで1ヶ月を切りました。準備に漏れがないか確認したいのですが、どうすればよいでしょうか。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第29回】「少額特例の適用を受ける課税仕入れの経理処理」
令和5年度の税制改正において、経過措置として、少額特例(一定規模以下の事業者は1万円未満の課税仕入れについて、一定期間、適格請求書の保存を要しないとする制度。インボイスQ&A問108)が設けられました。少額特例を適用すれば、仕入先が免税事業者であっても仕入税額控除できますが、税抜経理方式を適用する場合、仮払消費税等の額はどのような扱いになるのでしょうか。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第28回】「適格請求書等保存方式における売上税額の計算として積上げ計算を行うための要件」
飲食店を経営する個人事業者です。売上税額の計算として積上げ計算を適用したいのですが、自家消費はどうしたらよいのでしょうか。注意点を教えてください。
〈判例評釈〉ムゲン・ADW事件が残したもの~最高裁の判示は、納税者の納得が得られるものか~ 【第5回】
令和2年度税制改正により、消費税法30条10項が改正され、居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額について、仕入税額控除が認められないこととされた。ここでいう、居住用賃貸建物とは、①建物又はその付属設備であること、②「高額特定資産」又は「調整対象自己建設高額資産」(※49)に該当すること、及び③住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であることとされる。なお、居住用賃貸建物に該当するか否かは、課税仕入れを行った日の状況により判定する。