欠損金の繰越控除制度に関する平成27年度税制改正事項 【第1回】「控除限度額と繰越期間の見直し」
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、平成27年度税制改正により、次のように段階的に引き下げられることとなった。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第25回】「裁決例⑤」
今回、紹介する事件は、飲食業を営む前賃借人からその各店舗を転借する際に支払った対価は営業権の対価ではなく、繰延資産の対価であるとした事件である。
本事件のように、営業権(現行法上の資産調整勘定)に大雑把に入れるのではなく、厳密に各資産に配分する必要があるという意味で、実務において参考になり得る事件であると考えられる。なお、類似の事件として、昭和63年6月21日裁決(店舗を開設するに当たり、前の賃借人に支払った本件金員は、繰延資産たる「資産を賃借するために支出する費用」に該当するものであり、その償却期間は、店舗が設置されている建造物の耐用年数を基に見積もるべきであるとした事例)が存在する。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第10回】「「違法支出金」をどう考えるか」
税務会計を専攻する多くの学者が「違法支出金は必要経費(損金)に算入できない」としている論文が多く、税務の第一線でもこのような執行をしている例を見受けますが、この処理は正しいのでしょうか。
最近の国税不服審判所の裁決例(平成25年6月6日、非公開裁決、情報公開法第9条第1項により情報公開事例)で考えてみることにしましょう。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第41回】「法人税基本通達改正の歴史⑩」
平成10年度税制改正においては、債権償却特別勘定が廃止され、個別評価金銭債権に対する貸倒引当金として、法人税法52条、法人税法施行令96条として整備されることになった。
法人税基本通達もこれを受けて改正し、個別評価金銭債権に対する貸倒引当金について、法人税基本通達11-2-2から11-2-13に定められることになった。
これだけでなく、平成10年度法人税基本通達の改正は、法人税基本通達9-4-1、9-4-2の見直しも行われている。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第24回】「裁決例④」
今回、紹介する事件は、請求人が事業を承継した欠損会社から有償取得した営業権を原処分庁が寄附金として認定したのに対し、営業又は開発費的な繰延資産に当たるとして、原処分を取り消した事件である。
このような争いについては、実務でも生じ得る事例であり、昭和46年8月13日裁決とかなり古い事件ではあるものの、実務において参考になり得る事件であると考えられる。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第40回】「法人税基本通達改正の歴史⑨」
平成4年度において、「認定による債権償却特別勘定の設定に関する運用上の留意点について(平成4年9月18日課法2-4、査調4-4)」が公表された。このころからバブル崩壊による影響が出始めており、金融システム全体の安定性が脅かされる危険性が出てきたため、官民ともにあらゆる対応をし始めてきている。
本稿においては、平成4年度に公表された同個別通達についての解説を行う。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第23回】「裁決例③」
本件は、審査請求人(以下、「請求人」という)が、その資本の100%を有する米国子会社の昭和54年3月7日の700,000USドルの増資に当たり、同社に対する長期貸付金1,420,000USドルのうち700,000USドルをもって増資払込金に振替充当する取引を行い、同日を含む事業年度である昭和54年3月期において、当該700,000USドルに相当する額である169,645千円を子会社株式勘定の金額88,200千円に追加計上した後に、その評価損として180,491千円を損金経理し、法人税確定申告書において加算留保を行った。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第9回】「税制改正とその問題点」
このうち、減価償却(定額法に限定)や事業税(損金不算入)についてはドイツの2000年改正でも行われたものです。わが国の政府税調では「定率法は節税効果や所得操作の可能性がある」等不合理な発言をしていますが、「定率法も定額法も理論的ですが、税率引下げの財源として定額法に限定します」と言った方が正直です。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例24(法人税)】 「収用換地等の場合の所得の特別控除の適用が受けられたにもかかわらず、その適用をせずに申告してしまった事例」
東京都より立ち退きによる移転補償金20,000万円を収受したが、移転補償金は収用換地等の場合の所得の特別控除(以下「収用等の特別控除」という)の適用が受けられないと判断し、その適用をせずに申告をした。しかし、その内容は特別控除の適用がある借家人補償金であった。これにより法人税額等につき過大納付が発生し、賠償請求を受けた。
