〈令和5年度税制改正で創設された〉パーシャルスピンオフ税制のポイント 【第2回】「適用要件」
前回は、パーシャルスピンオフ税制創設の背景と制度概要について取り上げた。
【第2回】では、パーシャルスピンオフ税制の適用要件について確認する。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例57】「法人の支出に係る事業関連性と寄附金の損金性」
私は、九州地方の政令指定都市において、主として健康食品の製造・販売を行う株式会社X(資本金1億3,000万円で3月決算)に勤務し、現在総務部長を務めている者です。わが社の創業者Aは若い頃相当苦労したようで、地元宮崎県内の高校を卒業後福岡市に出て様々なアルバイトを経験し、その資金を元手にまずはゲームソフトの会社を立ち上げ、そこそこ成功したとのことです。しかし、従業員の巨額横領にあい当該ゲームソフトの会社は廃業を余儀なくされ、A自身も多額の借金を抱えることになったようです。その後、旅行先の韓国で出会った健康食品にほれ込み、その輸入販売を手掛けて再び会社経営を軌道に乗せ、現在に至っております。
〈令和5年度税制改正で創設された〉パーシャルスピンオフ税制のポイント 【第1回】「創設の背景と制度の概要」
令和5年度税制改正により、親会社に持分を一部残す株式分配(パーシャルスピンオフ)についても、一定の要件を満たせば、適格株式分配とする特例措置(パーシャルスピンオフ税制)が創設された。
本連載では、この新たな制度であるパーシャルスピンオフ税制を3回にわたって解説する。【第1回】は、まずパーシャルスピンオフ税制の創設の背景と制度の概要について確認する。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第54回】「役員給与の損金不算入と同族会社の行為計算否認規定」
当社は、勤務実態のない代表者の家族に役員報酬を支給しています。法人税法には同族会社の行為計算否認という規定があるようですが、これが適用されてしまう可能性はありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第57回】「適格株式交換(完全支配関係)」
前回は組織再編税制における「株式交換」に関する基本的な考え方を解説しました。今回からは数回にわたり適格株式交換に該当する場合の要件について整理していきます。
今回は「完全支配関係がある場合」の適格株式交換の要件について確認します。
なお、完全支配関係の定義については、本連載の【第2回】を参照してください。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例56】「有価証券評価損の誤計上に対する減額更正に係る嘆願書の効力」
私は、中部地方の政令指定都市に隣接する市において、主として光学医療機器の製造・販売を行う株式会社X(資本金30億円で3月決算)に勤務し、現在経理部長を務めている者です。医療機器は、分野によって異なりますが、海外の製品が強い分野があったり、逆にわが国のメーカーが強い分野があったりと様々な状況といえますが、わが社が扱う光学医療機器(医用光学機械)は、比較的わが国のメーカーが強い分野ではないかと思われます。そのため、わが社もこれまで順調に利益を計上し内部留保を積み上げてきましたが、その再投資先として同業ないし隣接する分野の他社の株式(いずれも上場企業)を購入してきたという経営トップの意思決定は、結果としてみれば、あまり適切ではなかったように思われます。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第53回】「役員退職年金の過大判定」
当社は、役員の退職に際し、自社が運用する年金形式にて支給することを検討しています。
法人税法において、過大な役員退職給与は損金不算入となることは知っていますが、このような役員退職年金についてもその対象となるのでしょうか。
基礎から身につく組織再編税制 【第56回】「株式交換の概要」
前回までは「株式分配」について解説してきましたが、今回からは組織再編税制における「株式交換」について解説していきます。まずは「株式交換」に関する基本的な考え方を解説します。
〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第12回】「支配関係が生じてから5年を経過するまで待つ行為」
支配関係発生日から合併事業年度開始の日までの期間が5年未満である場合において、みなし共同事業要件を満たさないときは、繰越欠損金の引継制限・使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金不算入が課される(法法57③④、62の7①)。
そのため、支配関係発生日から合併事業年度開始の日までの期間が5年を経過するまで待ってから適格合併を行うといった事案が考えられる。なぜなら、繰越欠損金は9年間又は10年間の繰越しが認められていることから(法法57①)、最後の4年間又は5年間の時間差を利用して、繰越欠損金を利用することができるからである。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第90回】「ユニバーサルミュージック事件」~最判令和4年4月21日(民集76巻4号480頁)~
X社は、フランス法人A社が直接的又は間接的に全ての株式・出資を保有する法人から成る企業グループに属している合同会社であり、グループ会社であるオランダ法人C社により設立された。その後、C社は、Xに追加の出資を行い、また、同日、グループ会社であるフランス法人D社は、X社に対し、無担保で866億円を貸し付けた。他方、グループ会社であるオランダ法人E社は、グループ法人である日本法人F社の全ての株式を保有していたのであるが、X社は、上記の出資金・借入金を原資として、同日、E社から、F社の全株式を取得した。さらに、後日、X社は、F社を吸収合併した。
