〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第77回】「法人が負担した取締役の損害賠償金と役員給与」
私は中小企業の役員です。このたび、取引先から、より関係性を強固にするため、「当社の役員にも就任してほしい」といわれています。ただし、取引先の経営に関しては口を出さないことを期待されているようで、名目上の役員にとどまるようでした。
この場合において、私は何か責任があるのでしょうか?
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第11回】
2025年11月21日、高市政権下の経済対策(「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~、以下、「令和7年経済対策」)が閣議決定された。令和7年経済対策は、日本の目指すべき方向を、「責任ある積極財政」の下で「危機管理投資」と「成長投資」を進め、官民連携を強化し、戦略的な国内投資の拡大を通じて国力の増大を図ることとした。
令和7年経済対策は3本の柱(第1の柱:生活の安全保障・物価高への対応、第2の柱:危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現、第3の柱:防衛力と外交力の強化)を経済対策の基本的枠組みとする。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例81】「外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外国為替換算差損の損金性」
さて、今般、その際に行った外貨建社債の円換算により生じた損失の損金計上につき、現在受けている国税局の税務調査で問題となっております。すなわち、当該外貨建社債については、外国為替の売買相場が著しく変動したため、わが社は期末換算差損につき損金算入を行ったのですが、調査官は、当該外貨建社債については、デリバティブ取引により繰延ヘッジ処理がされており、為替変動のリスクがヘッジされていることから、損金算入は認められないと主張しております。損失が生じているのに損金算入されないという主張は理解できないのですが、税法上どう考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第10回】
防衛特別法人税における通算法人の取扱いについては、法人税において規定されている通算法人の取扱いに対応する規定のほかに、防衛特別法人税の計算についてのみ設けられた通算法人の取扱いの規定がある。
法人税において規定されている通算法人の取扱いに対応する規定には、①通算子法人の課税事業年度、②仮決算をした場合の法人税の中間申告書の提出、③災害等による中間申告書・確定申告書の提出期限の延長、④清算中の内国法人の確定申告、⑤電子情報処理組織による申告の特例、⑥通算法人の連帯納付責任、⑦青色申告の取消し、⑧通算税効果額の取扱い、⑨電子情報処理組織による申請等、がある。
防衛特別法人税の計算についてのみ設けられた通算法人の取扱いの規定には、⑩基礎控除額の計算と、⑪通算法人に係る外国税額控除額の計算がある。本号では、⑤から⑪について解説する。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第23回】「学会が賃上げ促進税制を適用する際の留意点」
本学会は、法人税法上の収益事業があるため、給与を収益事業と非収益事業に区分経理しています。このように給与の一部(収益事業に区分経理される給与)だけが法人税の計算上、損金算入される状況において、賃上げ促進税制を適用する際には、どのような点に留意すればよいでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第76回】「不相当に高額な部分の判断につき加重平均法を採用した事例」
役員給与の額が不相当に高額な部分であるかどうかの判断については、同業類似法人の支給額が重要だと考えています。しかし、実際に役員給与の額について否認される場合、必ず同業類似法人の情報によることになるのでしょうか。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第9回】
法人税では、仮装経理に基づく過大申告について内国法人が修正経理を受け入れ、過大申告をした事業年度の更正が行われた場合、減額された法人税額は原則として還付されず(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、5 年繰越控除が行われる(法法135、70)。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例80】「毛皮製品の輸入及び販売業を営む株式会社に対する推計課税の是非」
私は昨年地元の銀行を退職し、その後すぐに近畿地方のとある県の人口第二の都市に本社を置き、アパレル製品の輸入及び販売業を営むX株式会社(資本金2,000万円の3月決算法人)に再就職し、現在総務部長を務めております。
わが社の社長は、私がかつて勤めていた銀行の大口取引先であった中堅建設業の創業者であり、地方財界の有力者でもあるY氏の次男で、長男が建設業を継いだため、残った次男である社長は自分の趣味であるファッションとかかわる仕事がしたいということで、X社を立ち上げて今年で10年目を迎えたところです。
社長は甘やかされて育った二世特有の、変なプライドの高さが妙に鼻につくのですが、私には未だ自宅の住宅ローンと大学に通う娘の学費負担があるため、面従腹背の心持ちで日々勤務に当たっております。
さて、社長の相手以外は特に問題がなかった総務部長としての私の職務に、突然新たな難題が飛び込んできました。それは、先週から税務署の調査官が国税局の実査官を引き連れてわが社に税務調査のためやってきて、驚くべき事実が明らかになったためです。
調査官の言うところによれば、社長がわが社以外にもう一社(Z株式会社)を設立し、そこを通じてわが社の扱う製品の一部を販売しているようなのですが、わが社とZ社間の取引に関しては簡単な帳簿書類が作成されているのみで、売上や仕入れに関してそれを裏付けるような証憑が保存されていないなど、所得に関する直接的な情報が判然としないため、特にZ社の所得がどの程度であるのか分からないという事実でした。
そのため、まずはZ社の青色申告を取り消して、その後推計課税を行うしかない、と宣告されたわけです。
私のこれまでの経験上、青色申告の取り消しなどというのは、脱税するような悪質な企業に限られ、わが社やZ社のような優良企業には無縁だと考えており、ましてやその後推計課税を行うなどというのはあり得ないことで、調査官の主張は極端であると憤慨しているのですが、どのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。
〔令和7年度税制改正における〕中小法人等の軽減税率の特例に伴う法人税率の見直し及び防衛特別法人税の創設
本項では、令和7年度税制改正のうち、法人税率に関する改正、具体的には、「中小法人等の軽減税率の特例」及び「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち法人税に関する部分」について解説する。
