法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例83】「グループ企業の国内統括会社に支払った経営指導料の寄付金該当性」
私は、欧州に本社がある外資系の製薬会社の日本法人X(資本金30億円で12月決算)において、経営企画部長を務めております。ご承知の通り製薬業界、中でも新薬の開発に注力している業界のトップ企業は、いずれも多額の研究開発投資を行っています。
一般に、新薬の販売に至るまでには、「探索研究→前臨床試験→臨床試験→承認審査」という段階を経る必要があります。このような各段階を経て新薬の販売に至るまでには、9年から16年に及ぶ研究開発期間と数百億円から1千億円を越える莫大な研究開発費用がかかります。しかも、研究開発の対象となった新薬候補のほとんどが、上記プロセスのかなり早い段階において開発が断念されるという現実があります。このことから、製薬業界に属する数ある企業の中でも、新薬の研究開発部門は非常に難易度が高い業務であり、そこから多額の富が生み出されるという構図があります。
わが社は製薬業界といえども外資系ということもあり、日系企業と比較すれば、日本国内における研究開発投資は、グローバルな企業規模と比較するとそれほど大きいというわけでもありません。しかし、市場としては高齢化が進み需要が大きいため、グローバルな観点から言っても重要地域の一つですので、販売やマーケティング活動にはかなり力を入れています。そのため、日本事業を統括するわが社の傘下に、研究開発部門、製造部門、販売部門の各子会社群があり、わが社が持株会社兼事業統括会社として、欧州本社の全世界的な事業戦略を実現すべく、傘下企業のマネージメントや人事、総務、法務、会計、税務等を支援する機能を担っております。そのような業務の対価として、傘下企業から経営指導料を受けていますが、最近受けている国税局のグループ企業に対する同時調査で、その算定根拠について厳しいやり取りが続いております。
特に販売部門を担う子会社Yに対する経営指導料の料率(年間売上高の1%)が他の部門を担う子会社各社よりかなり高いことが問題視されており、その料率の差額部分は販売部門を担う子会社Yからわが社への「経済的利益の贈与」に当たるとして、子会社Yに対して寄付金課税を行う旨主張しております。わが社の子会社Yに対する経営指導の内容は、欧州本社からもたらされる顧客リストの紹介も含まれており、それがYの売上に増加に寄与する部分が大きいことから、他の子会社よりも料率が高いのは当然であり、「経済的利益の贈与」に当たることなど全くないと考えておりますが、税法上どのように考えるのが妥当でしょうか、教えてください。
グループ企業の税務Q&A 【第1回】「グループ通算制度を適用していて譲渡損益調整資産が通算子法人株式の場合」
P社を通算親法人とするグループ通算制度を適用しており、当社(A社)は通算子法人に該当します。当社はC社(通算子法人)株式を同じく通算子法人で兄弟会社にあたるB社に対して譲渡しました。この場合に譲渡損益の繰延べはどのように処理することになるのでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例154(法人税)】 「中小企業者の適用除外事業者に該当していたにもかかわらず、これに気付かず、中小企業者の特例を適用して申告したため、税務調査で否認されてしまった事例」
X4年3月期の法人税につき、中小企業者の適用除外事業者に該当するため、中小企業向けの各租税特別措置の適用を受けることができないにもかかわらず、原則と中小企業者の特例の双方の適用を満たしていた「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下「賃上げ促進税制」という。)は、中小企業者の特例を適用し、税率は、中小企業者等の法人税率の特例(以下「法人税率の特例」という。)を適用して申告してしまった。これを税務調査で指摘され、結果として「賃上げ促進税制」及び「法人税率の特例」を否認されてしまった。これにより、原則による「賃上げ促進税制」の適用が受けられた場合と修正申告との差額につき過大納付が発生し賠償請求を受けた。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第78回】「合併無効判決の確定と役員退職給与」
当社は子会社を吸収合併しました。その際、子会社の役員のうち退職者に対して役員退職給与を支給し、損金の額に算入しています。しかし、役員の一部が吸収合併無効の訴えを提起しました。
仮にこの訴えが認められた場合、支給したことで損金の額に算入済みの役員退職給与はそのままでいいのでしょうか。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例82】「食品運搬用コンテナの減価償却資産該当性と損金経理」
しかし、いくら自社の経営状況が厳しいと言っても、誰かが助けてくれるわけではなく、当然のことながら自助努力によるしか道は開けないことから、社員一丸になって販路開拓やコスト削減につながるようなあらゆる手段を講じているところです。そのような中、先週から税務署の税務調査を受けているところですが、その際に一点、気になる指摘をされ戸惑っております。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例153(法人税)】 「「賃上げ促進税制」の適用に当たり「雇用者給与等支給額」及び「比較雇用者給与等支給額」の欄に誤って「継続雇用者給与等支給額」及び「継続雇用者比較給与等支給額」を記載してしまったため、結果として限度額まで特別控除が受けられなくなってしまった事例」
令和X年3月期及び令和Y年3月期の2期分の法人税につき、「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下「賃上げ促進税制」という。)の適用を受けるに当たり、別表六の「雇用者給与等支給額」及び「比較雇用者給与等支給額」の欄に誤って「継続雇用者給与等支給額」及び「継続雇用者比較給与等支給額」を記載してしまった。これが国税局からの問い合わせにより発覚し、当初申告で誤記載した「雇用者給与等支給増加額」が更正の請求の上限となってしまい、更正の請求が受けられず、限度額まで特別控除が受けられなくなってしまった。これにより、限度額まで特別控除が受けられた場合との差額につき過大納付が発生し賠償請求を受けた。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第77回】「法人が負担した取締役の損害賠償金と役員給与」
私は中小企業の役員です。このたび、取引先から、より関係性を強固にするため、「当社の役員にも就任してほしい」といわれています。ただし、取引先の経営に関しては口を出さないことを期待されているようで、名目上の役員にとどまるようでした。
この場合において、私は何か責任があるのでしょうか?
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第11回】
2025年11月21日、高市政権下の経済対策(「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~、以下、「令和7年経済対策」)が閣議決定された。令和7年経済対策は、日本の目指すべき方向を、「責任ある積極財政」の下で「危機管理投資」と「成長投資」を進め、官民連携を強化し、戦略的な国内投資の拡大を通じて国力の増大を図ることとした。
令和7年経済対策は3本の柱(第1の柱:生活の安全保障・物価高への対応、第2の柱:危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現、第3の柱:防衛力と外交力の強化)を経済対策の基本的枠組みとする。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例81】「外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外国為替換算差損の損金性」
さて、今般、その際に行った外貨建社債の円換算により生じた損失の損金計上につき、現在受けている国税局の税務調査で問題となっております。すなわち、当該外貨建社債については、外国為替の売買相場が著しく変動したため、わが社は期末換算差損につき損金算入を行ったのですが、調査官は、当該外貨建社債については、デリバティブ取引により繰延ヘッジ処理がされており、為替変動のリスクがヘッジされていることから、損金算入は認められないと主張しております。損失が生じているのに損金算入されないという主張は理解できないのですが、税法上どう考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。
