国際出向社員の人事労務上の留意点(日本から海外編) 【第4回】「海外給与とハイポタックス(みなし税)」
会社の命令で海外に赴任する場合、最も配慮しなければならないことの1つが、赴任中の給与である。
税制も社会保険制度も各国まちまちであるから、仮に、「給与は現地の会社が払うので、その国の制度に従って税金や社会保険料はあなたが負担して支払ってください。」というルールにしてしまうと、赴任者本人は現地でいくら税金が引かれ、いくらの手取りで生活をしなければならないのか分からず、不安を持つのは当然である。
国際出向社員の人事労務上の留意点(日本から海外編) 【第3回】「国際出向社員の各種法律における身分関係③(労働基準法)」
労働基準法は国内法であり、日本にある事業所に対してのみ効力を発する。そのため、原則として海外の事業所に勤務する社員は労働基準法の適用を受けない。したがって、海外赴任者の時間外労働の割増率や有給休暇の付与条件などは、赴任先国のルールに合わせても法的な問題はない。
ただし、例えば、日本で10年間の勤務実績があり、有給休暇も年間20日ほど付与されている社員が、海外赴任先では新入社員だからという理由で10日ほどの有給休暇しか与えられないようでは、感情的な問題やモチベーション低下に繋がってしまうことになる。
会社ができるメンタルヘルス《事前・事後》対策 【第2回】「職場復帰支援」
休職している労働者が円滑に職場復帰するためには、職場復帰プログラム(職場復帰支援についてあらかじめ定めた会社全体のルール)の策定や関連規程の整備等により、休職から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことが必要である。
今回は職場復帰支援について解説したい。
休職している労働者が職場復帰するまでに会社が行うべき支援内容は、次のような手順となる。
会社ができるメンタルヘルス《事前・事後》対策 【第1回】「メンタルヘルス不調者発生時の対応」
平成26年6月、労働安全衛生法改正案の可決により、50人以上の労働者が在籍する会社に対し、労働者のストレスチェックを行うことが義務化された。
近年メンタルヘルス不調を訴える労働者が増加しており、メンタルヘルス対策は法令順守だけでなく、優秀な人材を確保し、競争力を維持するためにも会社規模に関係なく、会社が取り組む大きな課題となっている。
国際出向社員の人事労務上の留意点(日本から海外編) 【第1回】「国際出向社員の各種法律における身分関係①(税務)」
近年、企業規模の大小を問わず、日本企業の海外進出が加速しているのは周知のとおりである。また、大震災後に減ってしまった国内在住のエクスパット(業務命令で海外から日本へ赴任している社員)も徐々に勢いを戻しつつあり、人事の国際化が活発化を増してきている。
そこで本連載では、日本と海外の間を出向している社員の人事労務上の取扱いや留意点について、7月から8月にわたり全8回で、『日本から海外編』、『海外から日本編』として解説していきたい。
IT業界の労務問題と対応策 【第4回】「ローパフォーマーなど問題社員への対策」
昨今、人事労務管理の現場では「モンスター社員」「問題社員」という言葉を耳にする機会が増えてきた。
例えば、次の3つのようなケースが挙げられる。
IT業界の労務問題と対応策 【第3回】「IT業界でありがちな労務トラブル(その2)」
昨今、管理職の処遇については「偽装管理職」として世間で注目されてきたように、法令で定められている管理職の概念に当てはまっているかどうかを労働基準監督署では厳しく判断するようになっている。しかし実際には、「リーダー」・「マネージャー」などの役職が付いたら、役職手当を支給し、残業代を支給しないというのが現実である。
IT業界の労務問題と対応策 【第2回】「IT業界でありがちな労務トラブル(その1)」
IT業界では、エンジニア35歳定年説があったり、3K(キツイ、キビシイ、帰れない)業界といわれたりする。
こういった情報が出るということは、それだけ厳しい労働環境であったり、労務トラブルが発生しやすい業界であるといえる。現に労働裁判でも多くの係争判例があり、過重労働や未払い残業問題が争われている。
では、この業界でありがちな労務トラブルにはどのようなものがあるのかを確認したい。
IT業界の労務問題と対応策 【第1回】「日本のIT業界、拡大の変遷」
本連載では、拡大を続けるIT業界においてどのような労務問題が起きているかを明らかにしたいが、第1回では、まず、日本におけるこの業界の変遷について触れておきたい。
メンタルヘルス不調と労災 【第5回】「メンタル不調者を生まない環境づくり」
現在の認定基準は、過去の判断指針等を被災者側に有利に、かつ、柔軟に改定されているため、労働基準監督署と主治医の認定事実が一致して、評価表の「強」に当たることが明らかな場合は、主治医の意見のみで認定の判断を行うことができるようになっている(過去の判断指針等では、精神科医の専門部会が全件協議することになっていた)。
これは、仮に主治医の意見に問題がある場合でも、そのまま主治医の意見が通ってしまう可能性があることを意味している。