パワーハラスメントの実態と対策 【第3回】「判例と法的解釈」
2007年に判決が出た「日研化学事件」では、上司の叱責・暴言が原因で被害者が自殺した。
被害者は上司から「存在が目障りだ。いるだけでみんなが迷惑している」「おまえは会社を食い物にしている給料泥棒」などの暴言を繰り返し受けていた。
裁判では、これらの行為は、「過度に厳しく、キャリアを否定し人格・存在自体を否定するものだ」と判断され、労災認定までも行われた。
パワーハラスメントの実態と対策 【第2回】「パワハラ行為の線引き」
前回話した通り、パワーハラスメント(パワハラ)は、会社にとって大きな問題となっている。
しかし、その性質上、どの行為がパワハラにあたるのか、指導・叱責との境界はどこなのか、その判断はとても難しく、ケースバイケースで考えるほかない。そのため、対策も立てづらく、扱いづらい問題となっている。
そもそも「パワハラ」とはどのような行為をいうのか、上記で述べた通り、その判断はなかなか難しいが、以下では4つの判断基準に分けて考察してみる。
パワーハラスメントの実態と対策 【第1回】「職場で起きるハラスメント」
ここ数年、各方面から「ハラスメント」という言葉をよく耳にするようになった。
職場においては、「セクシャルハラスメント」「パワーハラスメント」「モラルハラスメント」「ジェンダーハラスメント」「アルコールハラスメント」など、多くのハラスメント行為が問題視されており、裁判にまで発展するケースも数多く報告されている。
21世紀職業財団が行った調査では、約5割の会社で「何らかのハラスメント行為が発生している」という結果が出ており、現在もなお増加傾向にあると言われている。また、その責任も、加害者だけではなく会社に対しても追及され、両者に対して損害賠償を命ずる判例も数多くある。
内定・採用に関する「よくある質問」 【第2回】「採用内定者の研修に賃金の支払いは必要か」
使用者が内定者に対して、入社前に課題を与えたり、参加を義務づける研修を行うことがある。
これらの研修は、社会人として必要な社会常識の習得や、入社後に業務で必要となる知識を事前に習得させることを目的にする場合や、会社等の雰囲気やカラ―を理解し、会社等の一員として早く溶け込んでもらうことを目的にする場合など様々であろう。
さらに、使用者側が内定辞退防止を目的として、このような研修を実施するケースも多くあるであろう。
内定・採用に関する「よくある質問」 【第1回】「履歴書等の虚偽記載による採用取消しは認められるのか」
新規学卒者については「学校を卒業」するという条件や入社日の到来という始期が付いていることから、最高裁(大日本印刷事件 昭和54年7月20日 最高裁二小判決)では採用内定について、就労の「始期付解約権留保付労働契約」が成立したものとその判断を示している。
一般的には、会社が採用選考の結果、学生に対して、内定通知書と誓約書等を交付し、学生が会社に誓約書等を提出した段階等で採用内定となると解されている。
派遣労働者と派遣先の労働契約の成否と実務対応~マツダ防府工場事件一審判決~
平成11年以降の労働者派遣法の相次ぐ改正によって、製造業の労働者派遣の解禁を含む大幅な規制緩和が行われ、製造業分野で労働者派遣の切替えが進むなど労働者派遣の利用が加速した。
こうした状況のなか、派遣先企業(以下「派遣先」)が、派遣労働者から、労働契約が成立していることの確認を求めて提訴されるケースが目立つようになった。
経営サイドから見た『ブラック企業』とリスク対策
自ら経営する会社をブラック企業と認める経営者はいないだろう。
しかし、ブラック企業かどうかは、経営者自身が判断するものではなく、企業で働く労働者や世間が判断するものである。
では、ブラック企業と呼ばれないためにはどうすればよいのだろうか。
退職金制度の作り方 【第4回】「退職金制度の課題」
退職金制度をこれから新たに設けようとする場合は、仕組みをどうするか、原資をどうやって積み立てておくかを考えていけばよいが、既にある制度を変えようとすると、相当の労力がかかる。
では、退職金制度の課題をどう捉え、今後どのように考えていくべきなのか。
退職金制度の作り方 【第3回】「退職金の積み立て方法」
退職金は一度に多額の資金を必要とするため、企業は支払いに備え積立てを行うのが通常である。
退職金制度について相談を受けると、制度の種類と退職金の積立方法が混在しているケースがよくある。
そこで今回は、退職金を支給するための原資を積み立てる方法についてお伝えしたい。
活力ある会社を作る「社内ルール」の作り方 【第9回】「良心が発揮されるルールへの進化」
このシリーズもついに最終回となった。
前回は、企業文化を体現した就業規則の作成について、プロジェクト方式で従業員を巻き込む方法を紹介した。
今回は、さらに踏み込んで、就業規則の作成を通して、労使が一枚岩となり、お互いの良心を発揮できるようにする取組みを紹介したい。
なお、この方法は私のオリジナルではなく、仲間の社労士が取り組んでいるものであることを最初にお断りしておく。
しかし、大変意義のある取組みと思うので、シェアしておきたい。