税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第22回】「相続税の財産評価における鑑定評価の位置付け」~財産評価基本通達による無道路地補正だけでは不十分とされた特別の事情~
前回は、納税者と課税庁の間で評価額をめぐり争いとなった事例のなかで鑑定評価の結果が活用された数少ないケースとして、東京地方裁判所令和元年8月27日判決を掲げました。今回もこのような事例を紹介し、参考に資したいと思います。
〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第22回】「法務と税務にまたがる契約の類型別ポイント」
契約において、法務、税務、それぞれにまたがる問題があると思いますが、それぞれの観点で問題が異なることがあるのでしょうか。また、契約書の表現によって、課税関係や法的効力に影響があるのでしょうか。
対面が難しい時代の相続実務 【第6回】「想定される場面(その4)」-遺産分割調停における対応-
先日来、先生にご相談し、アドバイスをいただいている遺産分割協議の件です。
何度か相続人全員で話し合う機会を持ち、私なりに工夫して各人の考えを丁寧に聞いて進めてきたつもりですが、一部の相続人がずっと昔の出来事を持ち出して感情的になっており、なかなか話し合いが前に進みません。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第21回】「評価方法の選定に影響を与える「特別の事情」とは何か」~鑑定評価額が採用されたレアケース~
前回は、財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます)による評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、相続財産の評価に当たっては、評価通達の定める評価方法によって評価を行うのが相当である旨、税務上取り扱われていることを述べました。すなわち、相続税の財産評価に用いる時価は評価通達により算定した評価額が原則であり、例外的に(すなわち特別の事情のある場合に限り)他の合理的な方法(鑑定評価等)による評価額が許容されるということです。
〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第21回】「令和3年民法改正(不動産登記法)の影響」
①令和3年民法改正(不動産登記法)(以下「令和3年改正」といいます)の概要を教えてください。
②令和3年改正による改正事項で、契約実務に影響するものはありますか。
③令和3年改正による改正事項で、他に税理士業務に影響するものはありますか。
対面が難しい時代の相続実務 【第5回】「想定される場面(その3)」-遺産分割協議における対応-
私の古くからの顧問先の社長であるAさんが亡くなられたとの一報が、ご家族から寄せられました。
Aさんは、自社の株式のほとんどを所有していることもあり、生前から、自分にもしものことがあっても会社の事業に支障が生じないよう準備しておきたいと常々おっしゃっていました。
しかし、今回、突然の脳梗塞によって昏睡状態となり、そのまま病院で亡くなられたため、結局のところ遺言書は作成されないままであったとのことです。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第20回】「相続税の財産評価における鑑定評価の位置付け」~「特別の事情」という大きな壁~
ご承知のとおり、相続税の財産評価には全国一律の財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます)が適用され、画一的な評価が行われています。その理由としていくつかの点があげられていますが、特に租税平等主義という観点からみた場合、評価通達に定められた評価方法が合理的なものである限り、これが形式的にすべての納税者に適用されることにより租税負担の公平を実現できるという考え方が前面に登場してきます。
〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第20回】「電子的な受取証書の提供」
民法486条2項の新設により可能となった「電子的な受取証書の提供の請求」とはどういった内容のものでしょうか。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第19回】「税務で「ゼロ評価」される土地に鑑定ではなぜ価値がつくのか」
今回は、税務の規定と鑑定評価の扱いが大きく異なる例として、ある土地が使用貸借によって人に貸し付けられている場合の借地人の権利(=使用借権)の評価について述べていきます。なお、不動産鑑定評価基準では、借地借家法の適用される借地権(=地上権及び土地の賃借権)に関しては詳しい評価規定を置いていますが、使用借権(=借地借家法の適用されない土地利用権)に関しては何らの規定を置いていません。