社外取締役と〇〇 【第6回】「社外取締役とM&A」
合併、会社分割、株式交換又は事業譲渡等、M&Aの手法は多岐にわたるが、一定規模以上の取引については、買収会社・被買収会社のいずれにおいても、会社法上、株主総会による承認が求められ、株主の意思を反映する機会が確保されている。
しかし、第三者割当、公開買付等、株主総会の前置が必須ではない手法によるM&Aや、被買収会社における支配株主による買収等、株主総会が必ずしも一般株主の意見を反映した状態とならない場合においては、被買収会社における一般株主の利益を正当に保護する存在として、社外取締役の役割が特に重要となる。
以下、実務において社外取締役の主体的な関与が求められるM&Aの主な類型毎に、その関与の形態及び留意点について概説する。
今から学ぶ[改正民法(債権法)]Q&A 【第15回】「連帯債務」
当社では、与信管理上、必要な場合には連帯債務者を相手方に要求する場合があります。債権法改正では、連帯債務についてはどのような点が改正されたのでしょうか。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第9回】「汚染土地の評価手法は原価法が現実的」~鑑定評価と相続税・固定資産税の相違点~
巷では土壌汚染の問題がよく取り上げられていますが、税理士の皆様も汚染物質を含んだ土地の価値はどれだけ下がるかとか、相続税や固定資産税にどのような影響があるかと考えたことがあることでしょう。
しかし、正直なところ、不動産鑑定士でも自分一人の知識や経験だけで価格への影響を的確に判断するのは難しく、相続税や固定資産税においても納税者はこのような土地にかかる税額を少しでも減額してほしいと願うのではないでしょうか。
そこで今回は、現時点で適用されている鑑定評価の考え方や手法を説明するとともに、相続税や固定資産税の評価における取扱いにも言及してみたいと思います。
〈Q&A〉消費税転嫁対策特措法・下請法のポイント 【第6回】「消費税転嫁対策特措法・下請法が禁止する「減額」とその典型例」
第6回は、消費税転嫁対策特措法と下請法のそれぞれが規制する「減額」について解説する。
下請法が禁止する「減額」については、第2回で見たように、勧告・指導件数が特に増えている違反類型の1つであり、平成30年度の勧告事例7件中6件が、また、平成29年度の勧告事例9件のすべてが「減額」に関するものである。このように下請代金の減額は、圧倒的に勧告・公表のリスクが高い違反類型であるため、企業においては下請代金の減額を絶対に行わないよう最大限の注意を払わなければならない。
また、消費税転嫁対策特措法が禁止する「減額」についても、第5回で見た買いたたき事例ほどではないものの、勧告・公表がなされた事例もあり、企業として十分な注意を払わなければならないことはいうまでもない。
そこで以下、まずは下請代金の減額について、基本的な考え方及び問題となる典型例を確認した上、消費税転嫁対策特措法の減額の規制についての考え方及び典型例を下請代金減額の場合と対比しながら述べることとしたい。
〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第9回】「電子契約書の法的効力」
電子契約の導入を考えています。ただ、電子契約の場合、契約相手と紛争になった際に、紙の契約書と同じように、電子契約を証拠として使えるのでしょうか。裁判となったときに、電子契約書の場合、紙の契約書と比較して、証拠としての価値が下がってしまったり、その他面倒なことにならないか不安です。
また、ベンダーを選定するに際し、考慮すべきこととしては、どのようなものがあるでしょうか。
空き家をめぐる法律問題 【事例26】「空き家と祭祀承継財産を承継する際の留意点」
Aは、地方で生活していた父親が他界したため相続処理を進めようと考えています。
父親には、空き家となった実家の建物の他に特に財産はありません。実家の中には仏壇等があり、従来は父親が管理をしていましたが、実家の近くに居住する親戚(相続人ではない)から今後は親戚家族において管理するといった話も聞いています。
Aが空き家の中にある仏壇や仏具等を引き取るにあたって、どのようなことに留意するべきでしょうか。
社外取締役と〇〇 【第5回】「社外取締役と善管注意義務」
取締役は、会社との間で委任関係に立ち、その職務を遂行する際に、善良な管理者としての注意義務(いわゆる善管注意義務)を負う(会社法330条、民法644条)。また、取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のために忠実にその職務を行う義務(いわゆる忠実義務)を負う(会社法355条)。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第8回】「ニーズが多いのは継続賃料の評価」~鑑定評価における「賃料」の捉え方~
前回は、鑑定評価の方式や手法について、不動産鑑定評価基準の考え方に沿って解説しました。そこでは主に価格の捉え方を費用面、市場面、収益面からアプローチしましたが、賃料についても同じことがいえます。
ただし、価格を捉える際にはそれが所有権(民法にいう「物権」)という物差しから見ているのに対し、賃料を捉える際には賃借権(民法にいう「債権」)という物差しによる点に大きな相違があります。
また、所有権の場合、(貸地や貸家は別として)所有者自らその物件を使用するのが基本であるのに対し、賃借権の場合は他人の物を使用することが基本となっています。
そのため、同じ不動産を対象とするにしても、価格を捉える場合と賃料を捉える場合とでは、そこに介在する人間的な要素も含めて異質なものがあると理解してよいでしょう。
そこで今回は、価格の三面性というよりも、賃貸借特有の性格に基づいて賃料の種類を分類し、不動産鑑定士が賃料の鑑定評価を依頼されるとすればどのような内容のものが中心となっているのかを述べてみます。
改正相続法に対応した実務と留意点 【第14回】「総合的な事例の検討②」
被相続人Aは、2025年4月1日に死亡した。Aの相続人として妻B、子Cと子Dがいる。
Aの相続財産として甲不動産(1,000万円)があり、Aは生前、「Dに甲不動産を相続させる」という遺言を作成していた。
Aは2015年4月1日から建物をXから賃借し、妻Bとともに居住していた。Cは、賃貸借契約から生じる一切の債務について保証人となっていた。賃貸借契約は2年契約であり、更新が繰り返されていた。
Aは度々賃料を滞納しており、相続開始時には滞納賃料は200万円となっていた。
Xとしては、B、C、Dに対し、滞納賃料の支払を求めたいと考えている。Xとしては、どのような点に注意すべきであろうか。
〈Q&A〉消費税転嫁対策特措法・下請法のポイント 【第5回】「消費税転嫁対策特措法が禁止する「買いたたき」とその典型例」
第5回は、第4回で解説した下請法上の「買いたたき」に続き、消費税転嫁対策特別措置法(以下「消費税転嫁対策特措法」という)上の「買いたたき」について述べる。
これまで、公取委が消費税転嫁対策特措法に違反するとして勧告・社名公表に踏み切った事例のほとんどは、「買いたたき」が行われた事例である。すなわち、「買いたたき」は、消費税転嫁対策特措法が禁止する5つの消費税転嫁拒否等の行為(第1回参照)の中でも、圧倒的に重要な違反類型であるといって間違いない。