M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編- 【第5回】「労務分野の調査(前編)」
法務デューデリジェンスにおいては、対象会社における簿外債務の存在や金額を調査・検討することが行われる。労務分野の法務デューデリジェンスも、この簿外債務の存在や金額の調査・検討を行うことを主たる目的の1つとして行われる。
とりわけ、未払残業代や名ばかり管理職問題、正規・非正規の待遇格差などは、あらゆる業態で問題となり得るものであり、特に注意が必要な問題の1つである。以下の「1」では、簿外債務となる代表的な問題、すなわち、未払残業代、名ばかり管理職、定額残業代制度の問題を取り上げ、「2」では、簿外債務を発見した場合の対応策について取り上げる。
〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第6回】「委託先から個人情報が漏えいした場合」
-Question-
封筒の宛先ラベルの印刷を委託した外部業者が情報を流出させた場合、自社(委託元)は責任を問われるでしょうか。また、会社として何をすべきでしょうか。
空き家をめぐる法律問題 【事例6】「相続放棄の熟慮期間に関する問題」
私は、大学進学のために実家を出て以来、東京で生活をしています。父は、母の死亡後、実家で一人暮らしをしていましたが、2年前に亡くなりました。私は、父の生前、唯一の財産である自宅を、実家の近くで自営業を営んでいる兄に相続させたいと聞いておりましたので、兄が実家を相続することに反対せず、遺産分割協議もしていませんでした。
ところが、最近、地元の金融機関から、兄の事業に関する父の保証債務の履行を求められました。私は、父や兄から保証債務があるなどとは聞いていなかったので、今からでも相続放棄をしたいと思っています。
「相続放棄は3ヶ月以内にしないといけない。」と聞いたことがあるのですが、今からでも相続放棄をすることはできるでしょうか。
土地問題をめぐる2018年法改正のポイント 【第2回】「今後の所有者不明土地対策の動向・改正都市再生特措法等の概要」
政府は、2018年6月1日、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議を開催し、「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」(以下「所有者不明土地対策基本方針」という)を公表した。この基本方針は、同月15日の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2018について」においても確認されている。
所有者不明土地対策基本方針は、全8項目から構成されている。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第8回】「家事事件手続法の見直し」
民法改正に伴い、家事事件手続法も重要な点として2点の改正が行われることとなった。
1点目は、預貯金債権の仮分割の仮処分(以下、「仮払仮処分」という)制度(改正家事事件手続法200条3項)の新設である。最高裁平成28年12月19日決定により、預貯金債権が遺産分割の対象とされることとなった。もっとも、生活費・相続債務の弁済・葬儀費用等の支払のために、預貯金債権を行使すべき必要性が存在する場合もあることから、新たに仮払仮処分の制度が設けられることとなった。
土地問題をめぐる2018年法改正のポイント 【第1回】「所有者不明土地の円滑化等に関する特別措置法の仕組み」
近年、所有者不明の土地が様々な場面で問題になっている。所有者不明土地問題研究会の報告によれば、2016年時点の所有者不明の土地面積は、九州の面積を超える約410万ヘクタールに及んでおり、2040年頃には北海道の面積に迫る約720万ヘクタールにまで拡大すると言われている。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第7回】「相続の効力等の見直し及び特別の寄与」
現行法の条文上、遺産分割や遺言により法定相続分と異なる権利の取得があった場合に、第三者との関係でどのような法的効果が生じるかは必ずしも明確ではないが、判例が判断を示している。
すなわち、遺産分割により、相続人が法定相続分を超える権利を取得した場合、法定相続分を超える部分を第三者に対抗するためには対抗要件が必要であるとされている(最判昭和46年1月26日)。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編- 【第4回】「不動産の調査」
大多数の会社は、事務所、店舗、工場等として不動産を用いたり、不動産を賃貸して収益を上げたりして、何らかの形で不動産を利用している。このように、大多数の会社にとって不動産は会社の事業と切っても切り離せない関係にあるため、通常、M&A取引の買主は、対象会社が所有・賃借していた不動産をM&A取引終了後も有効に利用することができるのか強い関心を有している。
税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第12回】「顧問税理士の顧客に対する守秘義務」
税理士は顧客に対して守秘義務を負うとされているが、この守秘義務について、顧問税理士としては、どのような点に留意すべきか。