〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第5回】「コンピュータがウィルスに感染して個人情報が漏えいした場合」
-Question-
会社が支給した従業員のコンピュータがウィルスメールに引っかかってしまい、個人データが漏えいしてしまいました。この場合、自社は個人情報保護法の義務違反になるでしょうか。
空き家をめぐる法律問題 【事例5】「空き家の相続放棄に関する問題」
約1ヶ月前に、実家で生活していた私の父が死亡しました。父の相続財産には、老朽化した実家がある程度で、他に価値のある財産はありません。実家は地方ということもあり、買手が付く見込みも低そうです。
私は都心で生活しており、実家の管理等の負担も避けたいので、実家を相続することをためらっています。相続放棄をすれば、実家を相続しなくて済むと思うのですが、この他に相続放棄をするに当たってどのようなことに留意するべきでしょうか。なお、父の相続人は私だけです。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第6回】「遺留分制度の見直し」
現行民法では、遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生じるとされているため、例えば相続財産に不動産がある場合、不動産の共有持分が遺留分となる。しかしこのような結論は、共有関係の解消をめぐって新たな紛争を生じさせること、事業承継を困難にさせるといった問題が指摘されていた。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編- 【第3回】「業務関連主要契約の調査」
買収者は、「買収後に自らが企図する経済的効果を実現できるか」という観点から、対象会社が買収後も買収前と同様に事業を維持できるか否かに関心を持つことが多い。
「業務関連主要契約」項目においては、かかる関心事に応えるべく、個々の契約を精査していくこととなる。他方、通常、対象会社は、事業活動のために多数の契約を締結しているため、時間・コストとの兼ね合いから、いかなる範囲の契約をいかなる深度で精査すべきか、判断に悩む場合も少なくないと思われる。
そこで、本稿では、「業務関連主要契約」における一般的な精査対象資料及び調査手続を概観したうえで、調査資料の範囲・深度の特定・限定について一案を紹介することとしたい。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第5回】「遺言制度の見直し」
債権法改正により、売買等有償契約の担保責任について法定責任説の考え方が否定されて契約責任説的な規定が置かれることとなった。すなわち、特定物・不特定物を問わず、売主には、当事者の意思すなわち契約内容に適合する物を引き渡す義務があり、契約内容に適合しない物であった場合には、買主は売主に対し追完請求等をすることができることとされた(債権法改正により平成32年4月1日に施行される民法(以下、「改正民法」という)条文562条・563条・565条等)。
税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第11回】「他の専門家の成果物を前提として業務を行う場合」
Aは税理士Yに対し、父親(既に死亡している)の養親であるBの相続税の申告の相談をした。その際、YはAの要望により、Bの遺産である不動産の相続登記申請手続に必要な事項全般について依頼することを前提に、Aに対して司法書士Zを紹介した。結局、Aはその紹介に基づいて、Yを介して、Zに対して同不動産の相続登記申請手続に必要な事項全般を依頼することとなった。
Aは、自らが収集した戸籍謄本などの関係書類をZに手渡し、相続関係図の作成を依頼し、Zはその依頼に基づいて相続関係図を作成した。しかしその際、実は、Aは父親(既に死亡)とBとの養子縁組前に出生しているので、民法887条2項但書に基づき、父親を代襲して相続人となることはできず、Bの相続人は、Bの実子であるXのみだったのだが、Zは誤ってXとAの2名が相続人であるとする相続関係図を作成し、それをYに交付した。
〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第4回】「従業員が取引先情報の入ったスマートフォンを紛失してしまった場合」
-Question-
従業員が、取引先の担当者の氏名と電話番号が保存されたスマートフォンを紛失してしまいました。会社が責任を問われるでしょうか。
空き家をめぐる法律問題 【事例4】「空き家の管理に関する行政上の責任」
父は、祖父から相続した老朽化した建物を所有していますが、空き家の状態になっています。今後、私は、その建物を相続する可能性があります。最近、空き家を適切に管理していないと、行政によって建物を取り壊されることがあると聞いたのですが、父の相続に備えて、知っておくべき行政上のルールにはどのようなものがあるのでしょうか。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第4回】「遺産分割等の見直し」
共同相続人の相続分の算定においては、相続人に対する贈与の目的財産を相続財産とみなし、相続人が贈与・遺贈を受けて取得した財産は特別受益として、贈与・遺贈を受けた相続人の相続分の額から特別受益分を控除することとされている(民法903条1項)。
こうした計算(持ち戻し計算)をすれば、贈与・遺贈の額が相続人の法定相続分を超えていない限り、贈与・遺贈を受けた相続人と他の相続人の最終的な取得額は変わらない。