空き家をめぐる法律問題 【事例4】「空き家の管理に関する行政上の責任」
父は、祖父から相続した老朽化した建物を所有していますが、空き家の状態になっています。今後、私は、その建物を相続する可能性があります。最近、空き家を適切に管理していないと、行政によって建物を取り壊されることがあると聞いたのですが、父の相続に備えて、知っておくべき行政上のルールにはどのようなものがあるのでしょうか。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第4回】「遺産分割等の見直し」
共同相続人の相続分の算定においては、相続人に対する贈与の目的財産を相続財産とみなし、相続人が贈与・遺贈を受けて取得した財産は特別受益として、贈与・遺贈を受けた相続人の相続分の額から特別受益分を控除することとされている(民法903条1項)。
こうした計算(持ち戻し計算)をすれば、贈与・遺贈の額が相続人の法定相続分を超えていない限り、贈与・遺贈を受けた相続人と他の相続人の最終的な取得額は変わらない。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第3回】「配偶者短期居住権」
配偶者短期居住権は、配偶者が、①居住建物の遺産分割をすべき場合は、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始時の時から6ヶ月を経過する日のいずれか遅い日までの間、②前記①以外の場合(遺贈により建物を取得した者がいる場合など)は、居住建物取得者が配偶者短期居住権の消滅を申し入れた日から6ヶ月を経過する日までの間、居住建物のうち配偶者が従前使用していた部分を、無償で使用することができる権利である(法案1037条)。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編- 【第2回】「株式及び株主の調査」
法務デューデリジェンスの調査項目として、「株式・株主」が含まれることが一般的である。
特に株式譲渡形式によるM&Aの場合、「株式の有効性」(譲渡対象株式が有効に発行され存続しているか)及び「譲渡対象株式の帰属」(売主が真に譲渡対象株式の株主であるか)は、M&A取引そのものの大前提となる。
そのうえ、この点については財務デューデリジェンスやビジネス・デューデリジェンスでも当然には調査対象とならないから、法務デューデリジェンスにおいてこれらを調査・確認しておく意義は一般にいって大きい。
税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第10回】「顧問契約の解除に関するトラブル」
B顧客は些細なことで声を荒げたり、発言内容が日によって二転三転することが続いたため、A税理士は本顧問契約第5条第2項に基づき、B顧客との顧問契約を即時解除すると通知したところ、B顧客からは、決算時期なので業務を継続せよと要求された。
〔Q①〕 A税理士はそれを拒むことができるか。
〔Q②〕 さらに、A税理士としては、本顧問契約第5条第2項ただし書に基づき、B顧客に対し、残存期間に相当する顧問報酬額を請求することができるか。
〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第3回】「事務所内に保管していた電子媒体が盗まれ個人情報が流出した場合」
-Question-
事務所の鍵が壊され、机の上に出していた顧客の銀行口座の情報が入ったUSBメモリが盗まれて、情報が流出してしまいました。責任を問われるでしょうか。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第2回】「配偶者居住権(長期居住権)」
高齢化社会の進展により、相続開始時に被相続人の配偶者(以下、単に「配偶者」という)が高齢であることも多いが、その後も配偶者が長期間生活を継続することも多い。そのような場合に、配偶者に住み慣れた自宅建物に居住させるとともに、建物以外の財産を渡す必要性が存在する。
しかし現行法の下では、被相続人が建物を所有していた場合、相続開始後、配偶者が建物所有権を取得するか、建物所有権を取得した相続人と配偶者との間で契約(賃貸借・使用貸借等)が成立しなければ、配偶者は建物を利用できない。前者の場合は建物評価が高額となって配偶者がその他の遺産を取得できない恐れが、後者の場合は契約が成立しない恐れがある。
空き家をめぐる法律問題 【事例3】「地震が発生した場合の空き家の管理責任」
私は、父と同居していますが、父は、祖父から相続した建物を別に所有しています。父はその空き家を物置として利用していますが、高齢ということもあり、空き家に行くことはありません。ただ、私は、父に頼まれて、年に数回、換気や整理をしています。
空き家は、旧耐震基準のもとで建築された建物であり、屋根や壁面も老朽化しています。
地震が発生して、空き家の外壁などが崩れて、通行人等にケガを負わせた場合、私や父はどのような責任を負うことになるのでしょうか。
改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第1回】「「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」における改正内容の全体像」
被相続人の配偶者(以下、単に「配偶者」という)は、被相続人と同居していたような場合、被相続人死亡後も住み慣れた家に住み続けたいと思うのが通常である。こうした配偶者を保護する必要性が存在することから、配偶者短期居住権及び配偶者居住権に関する条文が新設された。今回の法案における大きな改正点である。
今から学ぶ[改正民法(債権法)]Q&A 【第1回】「消滅時効(その1)」
2017年5月26日、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立した。民法のうち、債権関係に関する規定(契約等)について約120年ぶりに大幅な改正を行うものであり、2020年4月1日から一部の規定を除き施行される。
今回の改正は、企業取引や市民生活に大きな影響を与えるものであり、本Web情報誌の中心的読者である、公認会計士、税理士、企業の実務担当者にとっても改正法の知識を習得することは不可欠といえる。
本連載では、主要な改正項目について、できるだけ簡潔に、かつ、分かりやすく解説する。【第1回】は消滅時効についてである。
