改正法案からみた民法(相続法制)のポイント 【第1回】「「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」における改正内容の全体像」
被相続人の配偶者(以下、単に「配偶者」という)は、被相続人と同居していたような場合、被相続人死亡後も住み慣れた家に住み続けたいと思うのが通常である。こうした配偶者を保護する必要性が存在することから、配偶者短期居住権及び配偶者居住権に関する条文が新設された。今回の法案における大きな改正点である。
今から学ぶ[改正民法(債権法)]Q&A 【第1回】「消滅時効(その1)」
2017年5月26日、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立した。民法のうち、債権関係に関する規定(契約等)について約120年ぶりに大幅な改正を行うものであり、2020年4月1日から一部の規定を除き施行される。
今回の改正は、企業取引や市民生活に大きな影響を与えるものであり、本Web情報誌の中心的読者である、公認会計士、税理士、企業の実務担当者にとっても改正法の知識を習得することは不可欠といえる。
本連載では、主要な改正項目について、できるだけ簡潔に、かつ、分かりやすく解説する。【第1回】は消滅時効についてである。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編- 【第1回】「会社組織の調査」
本連載は、既に連載されている「M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務」の各論・法務編であり、並行して連載されている「M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編-」の姉妹編にあたる。
したがって、読者諸賢は、本連載を、法務デューデリジェンスに関する独立の読み物として読んでいただいてもよいが、本誌No.259、No.261、No.264及びNo.266に掲載されている「M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-共通編-」と合わせて読み、あるいは〔財務・税務編〕と並行して読み進めていただくことで、総合的・有機的にデューデリジェンスを理解することができる。
空き家をめぐる法律問題 【事例2】「空き家で火災が起きた場合の法的責任」
私は、現在、実家を離れて生活していますが、過去に相続した実家は昭和の頃に建築された木造瓦葺の家屋で、現在は空き家の状態になっております。
ある日、地元の消防団から連絡があり、実家が火事になっており、隣家に延焼しているとの連絡を受けました。無事消火できたものの、隣家にも延焼してしまいました。調査の結果、実家の居室からタバコとライターが発見され、火災の原因は、タバコの火の不始末と考えられるとのことでした。
近所の方に聞いた話によれば、実家の雨戸の一部が外れており、割れた窓ガラスから近所の不良少年たちが頻繁に出入りしていたとのことでした。隣家の方からは、空き家の管理を適切に行っていなかったことが原因だと責められています。
私は、実家に火災保険をかけていませんが、隣家の方に対してどのような責任を負うのでしょうか。
税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第9回】「顧問税理士の交代に伴うトラブルを回避する委任条項案」
このたびある会社から、以前に顧問契約を締結していた税理士との契約を打ち切ったとして、新たに私(税理士)と顧問契約を締結してほしいとの話があった。
私は、その会社と顧問契約を締結しようと思っているが、このように顧問税理士の交代の際に注意すべき点はあるか。
〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第2回】「情報漏えいしないための体制整備の義務」
-Question-
個人データの漏えい等を防ぐために、社内にどのような体制を整備しておく必要がありますか。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第11回】「非鉄金属メーカーにおける不適合品の出荷と「非公式の内規」」
2018年3月28日、非鉄金属メーカーであるMマテリアルは、子会社の不正についての特別調査委員会の「最終報告書」を公表した。
本件における不正とは、顧客が求めた品質基準を満たさないのに、基準を満たしているかのように検査データをごまかし、不適合品を出荷していた、というものであった。
〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第1回】「転職した従業員が自社の情報を持ち出した場合」
-Question-
転職した従業員が、①自社の顧客リストを持ち出した場合と、②自社の事業計画を持ち出した場合で、会社が問われる責任は変わりますか?
税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第8回】「顧問先の取締役を兼任する場合の善管注意義務の範囲」
Y税理士は、法人成りの前からAの顧問税理士であったが、法人成りの際、改めて有限会社B及び株式会社Cとの間で税務顧問契約を締結し、両社の顧問税理士に就任した。
AのY税理士に対する信頼は厚く、平成22年頃、AはY税理士に対し、有限会社B及び株式会社Cの取締役への就任を打診した。Y税理士は、当初は多忙であることを理由に断っていたが、Aから「実際の業務をお願いするわけではなく、税務面のみならず経営面でも大所高所からのアドバイスが欲しいので、名義だけ使わせるという程度の気持ちで就任してほしい」と懇願され、結局、平成23年4月に有限会社Bの、平成25年4月に株式会社Cの取締役に就任した。
空き家をめぐる法律問題 【事例1】「立木の侵入や擁壁の崩壊等した場合の法的責任」
近年、空き家に関する議論は、空き家の取壊し関するものから有効活用に関するものまで、広がりを見せている。
もっとも、ひと言に「空き家」と言っても、
① 建物自体の管理が放棄されており、周囲に危険を及ぼすおそれがあるもの
② 周囲に危険を及ぼすおそれは低いが、適切な管理が行われていないもの
③ 有効活用できる状態のもの
など様々な空き家がある。
