〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第6回】「社会福祉法人(後編)」
法人税計算では、会計同様、資本金の額がないことに加え、税務上の拠出資本を表す資本金等の額が存在しないことになる。税務上の純資産額は、利益積立金額のみになる。所得計算は、株式会社のようにすべての所得に課税されるのではなく、34業種の収益事業にのみ課税される点は、一般社団法人・一般財団法人と同じである(【第1回】・【第2回】参照)。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第5回】「社会福祉法人(中編)」
社会福祉法人は、過去に何度か会計基準の変遷があった。かつては、収支計算だけで損益計算の思想がなかったことから、企業会計における損益計算書に相当する事業活動計算書が組み込まれた平成12年度が、一番大きな改正であろう。
そして、その後、会計処理基準の一本化と、当時既に公益法人会計基準等で導入されていた最新の企業会計手法である時価会計等の導入を目的として、社会福祉法人会計基準の大幅な改正が行われている。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第4回】「社会福祉法人(前編)」
社会福祉法人は、「社会福祉法」の規定に基づき設立された、母子生活支援施設、老人ホームやデイサービス等の社会福祉事業を行うことを目的とした法人である。社会福祉法人は、社会福祉事業を行うほか、これに支障がない範囲で公益事業および収益事業を行うことができる(社会福祉法26条1項)。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第25回】「養親の離婚と養子の相続権」
【問題①】
A女は婚姻後にBを出産したものの離婚、その後、C男と再婚した。婚姻後、C男はA女の連れ子Bとの間で養子縁組を行ったが、数年後、A女とC男は離婚した。当該離婚によりBは当然にC男の相続権を喪失するか。
【問題②】
【問題①】において、C男がBとの間で養子縁組を行った後に、Bに一定の財産を遺贈する旨の遺言を作成したものの、その後、A女と離婚し、Bとも離縁すれば、当該遺言も当然に効力を喪失するのか。遺贈ではなく、Bに一定の財産を相続させるとの遺言の場合はどうか。
【問題③】
【問題②】において、Bへの遺贈等を回避するための確実な方法は何か。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第3回】「NPO法人」
特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という)は、「特定非営利活動促進法」(以下、「NPO法」という)の規定に基づき設立された、特定非営利活動を行うことを目的とした社団法人である。
特定非営利活動とは、NPO法2条1項に定める医療または福祉の増進を図る活動、社会教育の推進を図る活動等、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とするものをいう(NPO法2条1項)。
会社法施行後10年経過に関する「役員変更登記」の実務 【第2回】「役員任期の確認方法と任期計算のポイント」
前回は役員の任期管理を怠る不利益について、3つのステージに分けて確認した。今回は役員任期の確認方法や事例を使った任期計算など、自社で行う役員改選の登記のポイントについて確認したい。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第24回】「離縁と財産分与・慰謝料」
【問題①】
離縁に伴う慰謝料はどのような場合に請求できるか。慰謝料算定に当たってはどのような事情が考慮されるのか。
【問題②】
離縁によって養子が養親の財産を相続しないこととなった場合、相続期待権が侵害されたとして養親に対して慰謝料請求は可能か。
【問題③】
離縁に当たり財産分与が認められないとして、他にいかなる方法にて実質的な財産分与を行う方法があるのか。
会社法施行後10年経過に関する「役員変更登記」の実務 【第1回】「役員の任期管理を放置した場合のリスク」
平成18年5月1日に会社法(平成17年法律86号)が施行され、株式会社の役員(取締役、会計参与、監査役をいう。以下、同じ)の任期を、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名等委員会設置会社を除く)は、定款の定めによって最長で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができるようになった(会社法332条2項・336条2項)。つまり、役員の任期を伸長してから役員の顔ぶれに変わりがなく、その他の登記事項に変更がなければ、最長でも約10年間、登記手続をする必要がないこととなる。
そして本年(平成28年)5月に会社法施行から10年を迎えるため、会社法施行後に役員の任期を最長の期間に伸長した株式会社であっても、役員の任期が満了し、役員の改選及びその登記手続を行う必要が生じることになる。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第2回】「一般財団法人」
一般財団法人は、一般社団法人と同じく「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(以下、「一般法人法」という)の規定に基づき設立された、構成員に対して剰余金または残余財産を分配しないという性質を有する非営利の財団法人である。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第1回】「一般社団法人」
日本には、株式会社以外にも一般社団法人、医療法人、NPO法人のように多様な法人が存在する。社会ニーズの多様化や株式会社の数の減少等もあり、本ウェブサイトの中心的読者である税理士、公認会計士等の専門家にとっても、顧客への提案や新たな顧客の獲得のためにも、これら株式会社以外の法人の制度への正しい理解は欠かせないといえる。