〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第17回】「別表13(4) 収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」
本稿では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
前回、前々回は法人税法上の圧縮記帳を採り上げたが、今回は租税特別措置法上の圧縮記帳の中から、実務で比較的採用するケースの多い、「別表13(4) 収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」を採り上げる。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例52(消費税)】 「特定期間における給与等支払額の合計額が1,000万円以下であったにもかかわらず、課税事業者と誤認し消費税の申告及び納付をしてしまった事例」
平成X8年3月期の消費税につき、特定期間の課税売上高は1,000万円を超えていたが、給与等の支払額が1,000万円以下であったため、免税事業者となれたにもかかわらず、課税事業者と誤認してしまい、「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を提出して消費税の申告及び納付をしてしまった。これにより、納付税額につき損害が発生し、賠償請求を受けた。
日本の企業税制 【第45回】「「収益認識に関する会計基準」の策定が税務へ与える影響」
企業会計基準委員会(ASBJ)は、本稿公開日(7月20日)にも「収益認識に関する会計基準(案)」等を公表する予定と思われる(意見募集期間は3ヶ月)。平成27年3月に収益認識に関する包括的な会計基準の策定に着手して以来、2年を超える検討を経て、まとめられたものである。
〈平成29年度改正対応〉所得拡大促進税制の実務 【第2回】「雇用形態別の留意点」
所得拡大促進税制の計算基礎となる「雇用者給与等支給増加額」は、「国内雇用者」に対して支払われる給与等(雇用者給与等支給額)に基づき算出される。
一方、本税制の適用要件のひとつを構成する「平均給与等支給額」は、「継続雇用者」に対して支払われる給与等(継続雇用者給与等支給額)に基づき算出される。
用語が類似しているが、「継続雇用者」はあくまでも適用要件の判定にのみ用いられる概念であって、本税制は「国内雇用者」に対する給与等について適用されるという点は間違えないように押さえておきたい。
平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第3回】「中小企業経営強化税制②・固定資産税の特例措置」
中小企業経営強化税制の適用対象となる「生産性向上設備」(A類型)と「収益力強化設備」(B類型)を合わせて「経営力向上設備等」というのであるが、この経営力向上設備等については、原則として経営力向上計画の認定後に取得することとなっている。
しかし、例外として設備取得後に経営力向上計画を申請することも認められている。この場合には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があるので注意しなければならない。なお、計画変更により設備を追加取得する場合も同様である。
相続税の実務問答 【第13回】「換価分割の成立による相続財産の譲渡」
長らく闘病生活を続けていた母が今年の2月に亡くなりました。母の遺産は、母が居住していた建物とその敷地のみであり、相続人は私と2人の弟です。私たち兄弟は、既にそれぞれ自宅を所有していますので、遺産である土地及び建物は売却し、売却代金を3分の1ずつ分けることとしたいと考えています。
弟たちは遠方に住んでいますので、売却の手続きは私が進めなければなりません。そのため、この土地建物の名義を便宜的に私の単独名義にしたうえで、売却をしたいと思います。譲渡代金もいったん私の銀行口座に振り込まれた後、譲渡費用相当額を控除して、弟たちと均等に分けるつもりです。課税上、注意しなければならない点はありませんか。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第3回】「「相続空き家の特例」を受けられない家屋①(区分所有登記がされている建物の場合)」-相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-
Xは、昨年7月に死亡した父親のマンション(昭和56年5月31日以前に建築)を相続により取得した後、耐震リフォームをして、本年12月に4,300万円で売却しました。
相続の開始の直前まで父親が1人で住んでいたマンションですが、相続の時から譲渡の時まで空き家の状態となっていました。
この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用を受けることができるでしょうか。
平成29年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第4回】「所得拡大促進税制の見直し他」
連結納税では、連結グループ全体を一つの法人とみなして所得拡大促進税制が適用されるが、平成29年4月1日以後に開始する連結親法人事業年度から、単体納税と同様に次のような改正が行われている(平成29年所法等改正法附則1、81)。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第27回】「収益事業」~不動産貸付業に係る収益事業から生じた所得に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人である財団法人X(法人税法2条6号の公益法人等に該当する)に対して行われた公社への局舎提供に係る賃貸借料収入が不動産貸付業に係る収益事業から生じた所得に該当することを理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁平成22年4月22日判決(税資260号順号11426。以下「本判決」という)を取り上げる。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第54回】「国会審議から租税法条文を読み解く(その3)」
損失拡大未然防止説の更なる問題点を国会審議から導き出してみたい。
昭和52年11月2日付け第82回国会衆議院・建設委員会において、大蔵省主税局総務課長の梅澤節男説明員(当時。後に第20代国税庁長官)は次のように説明している。
