事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第8回】「事業承継税制適用中に資金調達をした場合の資産保有型会社の該当性」-平成31年度税制改正-
私Aは製造業を営む非上場会社Zの代表取締役です。Z社株式についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(以下、「特例措置」という)を活用して、息子BにZ社株式を贈与することを検討しています。
特例措置の適用により株式を贈与した後、対象会社が資産保有型会社・資産運用型会社(以下、「資産保有型会社等」という)に該当すると納税猶予が取り消されると聞きました
当社の直近期の資産状況は下記のとおりです。
《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第4回】「相続・事業承継を複眼的に捉える視点」
相続・事業承継というテーマはCFP®試験科目でも1つのテーマとして捉えられています。この「相続」と「事業承継」がどのように関わり、税理士としてどのように対処すべきか、私見ではありますが、複眼的な視点をご紹介したいと思います。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例76(贈与税)】 「「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除」を適用して申告したが、申告期限までの担保提供を失念したため、納税猶予が認められなかった事例」
平成X9年分の贈与税申告において、「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除」を適用して申告したが、申告期限までの担保提供を失念したため、納税猶予が認められなかった。
これにより、納税猶予が受けられた贈与税額につき損害が発生したとして賠償請求を受けたものである。
相続税の実務問答 【第37回】「遺留分減殺請求に対し価額弁償が行われた場合の相続税の課税価格の計算」
母が平成29年11月に亡くなりました。相続人は、私(甲)と妹(乙)及び弟(丙)の3人です。母の遺産は、母が亡くなるまで住んでいたM市の建物及びその敷地と身の回りの品だけでしたが、遺言によりすべての財産が私に遺贈されました。
そのため、妹と弟から遺留分の減殺請求が申し立てられていましたが、本年6月に「甲、乙及び丙は現在のM市の建物及び敷地の価額が1億5,000万円であることを確認し、甲は、乙及び丙それぞれに対し、価額弁償金として遺留分(各6分の1)に相当する金額2,500万円を支払う」との合意が成立しました。
私は、この合意に基づき、妹と弟に2,500万円ずつ支払いましたので、相続税の更正の請求をしたいと考えていますが、妹と弟に支払った価額弁償金5,000万円を債務として相続税の課税価格を計算することができますか。
なお、相続開始時のM市の建物及び敷地の価額(相続税評価額)は、1億2,000万円でした。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第7回】「配偶者が筆頭株主の場合」
私Tは、電気機器の設計・製造を営むS社を経営しています。S社は私の義父が創業した会社で、婿である私が経営を引き継いで20年になります。私も来年60歳になりますので、後継者である長男Aへの事業承継を意識し始めたところなのですが、経営の承継だけでなく、妻Uの所有するS社株式についてもAに承継する方法を考えるようにとメインバンクからアドバイスを受けました。
S社の株式は、創業者の一人娘であるUが相続し、相続から20年が経過した現在も大半の株式を保有しています。Uは経営には関与しておらず、S社の取締役にも就いていません。
当社は業績が非常に好調なこともあって、Uの所有するS社株式の株価が非常に高額になっています。株価が高い会社にとって事業承継税制は非常に有効な対策であると顧問税理士から説明を受けたのですが、同時に、筆頭株主であるUが代表取締役でなければ事業承継税制は使えないとの説明も受けました。実際、UはS社の経営に関与しておらず、取締役にも就任していません。
Uが株式の大半を保有している現状のままでは、事業承継税制を使ってAに株式を贈与することはできないのでしょうか。
また、どのような対応をとれば、事業承継税制を使ってAに株式を贈与することが可能となるでしょうか。
《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第3回】「税理士が「本当に」認識すべきは問題解決ツールとしての民事信託」
税理士は「民事信託」について聞かれたとき、「課税関係」だけを答えればよいだろうか。筆者は、税理士としては課税関係よりも、民事信託で何ができるのか、つまり、どんな問題解決が可能なのかを知ることが何よりも先決と考える。
そこで今回は、問題解決ツールとしての民事信託の機能のうち「財産管理機能」を取り上げ、各場面に連動する課税関係についてフォーカスしたい。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第30回】「被相続人が外国籍である場合の相続人・相続分の根拠法」
私は税理士ですが、このたび被相続人が外国籍である人の相続税の申告業務を依頼されました。未分割遺産の相続税の計算や、相続税の総額を計算する際には、法定相続人・相続分の情報が必要となりますが、この場合の「相続人・相続分」とは、日本の民法に基づくものですか、それとも被相続人の本国法に基づくものでしょうか。
「教育資金」及び「結婚・子育て資金」の一括贈与非課税措置に係る平成31年度税制改正のポイント【後編】
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(以下、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置)は、平成27年度税制改正において、平成31年3月31日までの時限措置として創設された。そして、教育資金の一括贈与の非課税措置と同じく平成31年度税制改正で、格差の固定化につながらないよう一部見直しのうえ、適用期限が2年延長された。
相続税の実務問答 【第36回】「遺留分減殺請求を受けた場合の更正の請求」
私は、平成25年2月15日に亡くなった叔父から、叔父が所有していた財産のうち主要な財産であったS市の土地・建物、T市の土地及び銀行預金の遺贈を受けましたので、期限内に相続税の申告及び納付を済ませました。
ところが、今年の2月4日になって、突然、叔父の唯一の相続人で長らく音信不通であった長男甲から遺留分の減殺請求を受けました。甲は、最近まで私が叔父の財産の遺贈を受けていたことを知らなかったようです。
その後、2人で協議を行い、私が遺贈により取得した財産のうち、T市の土地と銀行預金の一部を甲に引き渡すことになり、3月18日にその旨を記載した覚書を作成し、この覚書に基づき、4月22日にT市の土地を甲の名義とする所有権移転登記が完了しました。
この結果、私が、叔父から取得した財産が減ったことになりますので、既に納付した相続税は納め過ぎだったことになりますが、この納め過ぎとなった相続税の還付を受けることができるのでしょうか。還付を受けられるとすれば、どのような手続きが必要でしょうか。