〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第24回】「国内不動産譲渡における売主の非居住者該当性確認義務とは」
国内の土地等を取得した際、譲渡の相手方が非居住者の場合には、購入対価から10%の源泉徴収が必要と伺いましたが、譲渡人の居住地が不明な場合、源泉徴収義務は免除されないのでしょうか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第3回】「グラクソ事件(最判平21.10.29)(その3)」~租税特別措置法66条の6、日星租税条約7条1項、ウィーン条約法条約32条~
本判決には涌井裁判官の補足意見が出されている。これは、P社における事業所得の大部分が株式譲渡益から構成されている点に触れたもの上で「仮に本件における上告人の日星租税条約違反の主張に理由があるとされた場合においても、それによって本件課税処分が違法とされるのは、そのうち子会社に留保された未処分の『企業の利得』(事業所得)に対応する部分だけであって」という涌井裁判官の補足意見は、事業所得の中に株式の譲渡収益が含まれている場合、7条1項の事業所得の問題ではなく、日星租税条約第13条の譲渡収益(以下、単に「13条」)の問題であることを指摘している(※9)。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第2回】「グラクソ事件(最判平21.10.29)(その2)」~租税特別措置法66条の6、日星租税条約7条1項、ウィーン条約法条約32条~
本最高裁判決においては、もう1つ重要な判示がなされた。本件において、OECDモデル条約コメンタリー(以下、単に「コメンタリー」)が、「ウィーン条約32条にいう『解釈の補足的な手段』として参照されるべき資料」と判示されたのだ。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第1回】「グラクソ事件(最判平21.10.29)(その1)」~租税特別措置法66条の6、日星租税条約7条1項、ウィーン条約法条約32条~
本件は、英国における移転価格課税を回避するためにグループ内で行った資金捻出スキームが、日本での租税特別措置法66条の6に規定するタックス・ヘイブン対策税制(以下「CFC税制」)の適用へと発展した事案である。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第23回】「OECDモデル条約コメンタリーは、租税条約を解釈するための規範となるか」
租税条約の解釈に際し、OECDモデル条約コメンタリーはどのように取り扱われるのでしょうか。
これからの国際税務 【第33回】「グローバルミニマム税の国内立法化の動向」
軽課税国に所在する子会社等の税負担が、国際的に合意された最低税率(15%)に達するまで、親会社の所在する国において課税する所得合算ルールを中核とする「グローバルミニマム税」については、2021年10月のG20/OECDでの合意を受けて、国内法立法のガイダンスとなるモデルルール(2021年12月)及びその内容を解説をするモデルルールコメンタリー(2022年3月)がOECD/IFにより公表され、現在は、執行面のルール等に関する「実施枠組み」の策定作業が行われている状況にある。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第22回】「匿名組合分配金はどのように取り扱われるのか」
その構成員が外国の事業体である我が国匿名組合の収益分配金は、我が国課税上どのように取り扱われるのでしょうか。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第78回】「デンソー事件」~最判平成29年10月24日(民集71巻8号1522頁)~
内国法人X社は、ASEAN地域でのグループ会社の事業の統括をさせるため、シンガポールにおいてA社(X社の100%子会社)を設立した。A社は、ASEAN地域の統括業務を行ってグループ会社から対価を得ていた。また、当該グループ会社の株式を保有して持株に関する業務を行い、他方、配当収入を得ていた。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第21回】「米国LPSは我が国租税法上の法人に該当するか」
米国LPSのような外国事業体は我が国租税法上どのように取り扱われるのでしょうか。
これからの国際税務 【第32回】「2つの柱の合意実施についてのスケジュール遅延」
コロナ・パンデミック後の経済復興課題に加えて、ロシアのウクライナ侵攻が及ぼす経済課題も議題としてインドネシア・バリで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議(7月15~16日)においては、2つの柱から成る新しい国際課税の合意についての実施計画も議論された。同会議の議長を務めたインドネシア財務大臣・中央銀行総裁による議長総括(注1)では、第2の柱の実施計画は予定通り(2022年中の法改正、2023年からの施行)とするが、第2の柱と同時実施とされていた第1の柱の実施計画については、1年遅らせることが確認された。昨年10月の予定と比較した繰延べの具体的状況は、議長総括で確認されるところによれば、以下のとおりである。
(注1) G20 Joint Press Release(No.24/191/DKom, No.SP-107/KLI/2022)
