〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第96回】「電子取引における印紙税の注意点①」
印紙税の課税文書となる請負契約を結ぶにあたり、打合せ時に書面で仮契約を結んでおいて、後日、電子契約にて本契約を結ぼうと考えています。
電子契約には印紙税がかからないと聞きました。この場合、本契約を電子契約で結ぶため、事前に書面で作成した仮契約書には収入印紙の貼付は必要ないのでしょうか。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第21回】「米国LPSは我が国租税法上の法人に該当するか」
米国LPSのような外国事業体は我が国租税法上どのように取り扱われるのでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第47回】「法人の事業の用に供されていた宅地等の範囲(特定同族会社事業用宅地等の特例の適否)」
被相続人である甲の相続発生に伴い、甲の所有していたA土地及びB土地を長男乙が取得した場合には、乙が適用できる小規模宅地等に係る特定同族会社事業用宅地等の特例の適用面積は何㎡でしょうか。
租税争訟レポート 【第62回】「更正の請求に係る事実関係の立証責任(第1審:東京地方裁判所令和2年1月30日判決、控訴審:東京高等裁判所令和2年12月2日判決)」
本件は、福岡市内において診療所を経営することを目的として設立された医療法人社団である原告が、処分行政庁に対して、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度の法人税に係る更正の請求並びに平成23年4月1日から平成24年3月31日まで及び同年4月1日から平成25年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)に係る各更正の請求をしたのに対し、処分行政庁から平成29年7月20日付けでいずれについても更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、これらの各通知処分の取消しを求める事案である。
これからの国際税務 【第32回】「2つの柱の合意実施についてのスケジュール遅延」
コロナ・パンデミック後の経済復興課題に加えて、ロシアのウクライナ侵攻が及ぼす経済課題も議題としてインドネシア・バリで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議(7月15~16日)においては、2つの柱から成る新しい国際課税の合意についての実施計画も議論された。同会議の議長を務めたインドネシア財務大臣・中央銀行総裁による議長総括(注1)では、第2の柱の実施計画は予定通り(2022年中の法改正、2023年からの施行)とするが、第2の柱と同時実施とされていた第1の柱の実施計画については、1年遅らせることが確認された。昨年10月の予定と比較した繰延べの具体的状況は、議長総括で確認されるところによれば、以下のとおりである。
(注1) G20 Joint Press Release(No.24/191/DKom, No.SP-107/KLI/2022)
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第16回】「課税要件事実の認定に関する実質主義」-未経過固定資産税等相当額清算金の性質決定に関する裁判例の検討-
前回扱った財産評価も、税法における事実認定であることは前回Ⅳ(おわりに)でも述べたが、税法における事実認定には、ほかに、事実状態・事実行為の確認、法律行為・契約の解釈、公正妥当な会計処理(法税22条4項)の結果の確認も含まれる。これらにおいて認定されるべき課税要件事実とは、課税要件に包摂されるべき事実をいい、それは、課税要件を組成する法律要件要素(課税要件要素 [Steuertatbestandsmerkmal])に高められ抽象化された類型的事実(法律事実)ではなく、法律事実に該当する個々の具体的事実(税法の適用・税法的評価を受ける前のいわゆる「ナマの事実」)を意味する事実的概念である(以上については拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【56】参照)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例112(贈与税)】 「新築マンションの購入につき、贈与年の翌年3月15日までに引渡しを受けていないとして住宅取得資金贈与の非課税特例の適用が受けられなくなってしまった事例」
令和X年分の贈与税につき、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下「住宅取得資金贈与の非課税特例」という)の適用をして申告したが、所轄税務署より、「購入した新築マンションについて贈与年の翌年3月15日までに引渡しを受けておらず、要件を満たしていない」との指摘を受け、暦年課税で修正申告することになってしまった。これにより、修正申告となった贈与税額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第46回】「被相続人以外の者が建物を所有している場合の特定同族会社事業用宅地等の特例の適否」
被相続人である甲の相続発生に伴い、甲の所有していた土地建物を長男乙が取得した場合には、乙が適用できる特定同族会社事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の適用面積は何㎡でしょうか。
乙は甲と生計を一にしていた者に該当し、A社(相続開始の直前において100%の株式を乙が保有しています)の代表取締役として飲食店を経営しています。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第19回】「固定資産税の課税標準である土地の価格は収益還元法に基づくか否かで争われた事例」
固定資産税の課税標準となるものは、土地の場合は、賦課期日における価格で土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳に登録されたものとするとされている(地法349①)。
固定資産の価格は、固定資産評価基準によって決定しなければならないとされている(地法403①)。つまり、「固定資産評価基準は、一種の委任立法であり、補充立法である」(※1)。
(※1) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年)794頁。