〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第52回】「二世帯住宅である建物(区分登記なし)に配偶者居住権を設定した場合の特定居住用宅地等の特例の適用」
被相続人である甲(相続開始日:令和4年9月15日)は、下記の土地及び建物を所有していました。土地建物の生前の利用状況は、1階部分は甲と甲の配偶者である乙が居住の用に供し、2階部分は長女である丙家族が居住の用に供しています。区分登記はされていませんが、建物の各階ごとに玄関があります。また、甲は丙から賃料は収受していませんでした。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第21回】「区分所有のマンションのうち事務所用の部分について、居住部分と異なる経年減点補正率を適用して評価額を計算することが違法か否かで争われた事案」
共有の財産の固定資産税は、共有者に連帯納付義務がある。共有財産について、共有持分に応じて、ある共有者が固定資産税を納付したが、他の共有者が納付しなかった場合は、他の共有者持分相当の固定資産税も納付しなければならない(地方税法第10条の2)。しかし、区分所有のマンションの居住者の1人が固定資産税を納付しなかったことにより、全く関係のない他のマンションの居住者が連帯納付義務を負わされることは不合理である。
日本の企業税制 【第107回】「各府省庁の「令和5年度税制改正要望」を概観する」
令和5年度の予算編成に向けた各省庁の概算要求が8月31日、締め切られ、岸田文雄総理が就任して初めてとなる今回の概算要求は、一般会計の総額が110兆円規模となった。
予算要求と併せて、各府省庁から令和5年度税制改正要望も出揃った。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第6回】「国税通則法5条(~7条の2)」-国税の納付義務の承継-
国税通則法は国税の納付義務の承継を、相続の場合(5条)、法人の合併の場合(6条)、法人(人格のない社団等を含む。3条参照)が人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括承継した場合(7条)、信託の受託者の任務終了に伴い新受託者が就任した場合等(7条の2)の私法上の包括承継(民法896条、会社法2条27号・28号、748条、信託法163条等参照)の場合について規定している(ほかに会社更生法232条1項も参照)。
〔令和4年度税制改正における〕賃上げ促進税制の抜本的見直しについて 【第1回】
令和4年度の税制改正によって、従来の「人材確保等促進税制」が「賃上げ促進税制」に抜本改正された。また、従来の「中小企業向け所得拡大促進税制」についても、この「賃上げ促進税制」に統合される形で整理されている。
令和4年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第7回】
ここで、通算内適格合併とは、その通算終了事由が生じた時前に行われた適格合併のうち、その適格合併の直前の時において通算親法人との間に通算完全支配関係がある法人を被合併法人及び合併法人とするもの並びに通算親法人との間に通算完全支配関係がある法人のみを被合併法人とする合併で法人を設立するものをいう。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第42回】「会社の解散に伴う役員退職給与の支給」
取締役と清算人のいずれも法人税法上の役員に該当するとされていますが、会社の解散に伴い、役員が取締役を退任して清算人に就いた場合に支給した役員退職給与は、損金算入が認められるのでしょうか。
基礎から身につく組織再編税制 【第44回】「現物分配の概要」
現物分配とは、法人がその株主に剰余金の配当や自己株式取得に伴うみなし配当など一定の事由(3参照)により、金銭以外の資産の交付をすることをいいます(法法2十二の五の二)。
相続税の実務問答 【第75回】「相続時精算課税適用者が特定贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けていた場合の相続税の課税価格」
私は、令和3年4月に満40歳になったのを機に、父から住宅取得資金3,200万円の贈与を受け、その資金で居住用のマンションを取得し、同年10月にそのマンションに転居しました。
令和4年3月に、相続時精算課税選択届出書を添付したうえで、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例規定を適用し、次のように記載した贈与税の申告書を提出しました。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第51回】「賃貸併用住宅(一部空室あり)に係る配偶者居住権がある場合の小規模宅地等の特例の適用」
被相続人である甲は令和4年9月6日に相続が発生し、甲が所有していた下記の土地建物について、配偶者乙が配偶者居住権を取得し、土地建物の所有権を長男丙が取得しました。相続開始の直前において、乙及び丙は2階で甲と同居しており、小規模宅地等に係る特定居住用宅地等の特例対象者です。なお、1階部分については、被相続人が貸付事業を営んでおり、相続後は、その貸付事業を丙が承継していますので、丙は小規模宅地等に係る貸付事業用宅地等の特例対象者となります。