法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例75】「医療法人の理事長に対する貸付金に係る利率の水準」
法人としては、当該貸付金につき得も損もしていないため、銀行融資に係る金利と同等の金利で貸し付けることに何の問題もないと考えておりますが、税法上はどのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。
租税争訟レポート 【第79回】「法人税等の更正処分及び加算税の賦課決定処分の取消請求事件~事前確定届出給与/届出額より減額した給与の支給(第1審:東京地方裁判所令和6年2月21日判決、控訴審:東京高等裁判所令和6年10月2日判決)」
本件は,各種土木工事の設計、施工及び管理等を目的とする内国法人である原告が、原告代表者2人に対して支払った令和元年7月1日から令和2年6月30日までの事業年度(以下「本件事業年度」という)の賞与につき、法人税法34条1項2号イ所定の給与(以下「事前確定届出給与」という)に該当するとして、本件事業年度における原告の法人税に係る所得の金額の計算上、上記賞与の金額を損金の額に算入して法人税の確定申告等をしたところ、処分行政庁から、上記賞与の金額は原告が法34条1項2号イ及び法人税法施行令69条4項1号に基づいて届け出た金額と異なることなどから、上記賞与は事前確定届出給与に当たらず、損金の額に算入されないなどとして、法人税及び地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各処分』という」を受けたため、本件各処分の取消しを求めた事案である。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q94】「外貨建て未収債権を回収した際の為替差益」
私(居住者たる個人)は、保有していた米国法人A社の株式を、その関係会社である米国法人B社に譲渡しました。1年後にB社から譲渡代金(ドル建て)を回収したので、そのまま米国にある銀行口座に預入をしました。ドル建ての譲渡代金を回収し、ドルのまま銀行に預け入れただけなので、為替レートの変動による所得は実現していないものとして取り扱ってよいでしょうか。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第53回】「タックス・シェルターに対する我が国の対応」
我が国でタックス・シェルターが利用され、課税上問題となったことはあるのでしょうか。
《速報解説》 防衛特別法人税の申告書様式は別表1の次葉として取り扱う~国税庁より周知のリーフレットが公表される~
国税庁は5月30日付で下記のリーフレットを公表、令和8年4月1日以後開始事業年度から適用される防衛特別法人税について、使用する申告書の様式など周知を開始した。
《速報解説》 国税庁が基礎控除等の見直しに係るQ&A(全36問)を公表~令和8年分税額表は当初の10万円引上げのみに対応、措法41の16の2の段階的加算は年末調整等での対応が必要~
国税庁は5月30日付で「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A」を公表。令和7年度税制改正で見直された基礎控除等の見直しに係る源泉徴収及び年末調整の実務について、全23問のQ&Aで解説を行っている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第49回】「事業所得と給与所得の区分と契約「解釈(創造)」による否認論」-りんご生産組合事件・最判平成13年7月13日訟月48巻7号1831頁の意義-
今回は、所得税法上の事業所得(27条1項)と給与所得(28条1項)の区分が直接の争点となったりんご生産組合事件を取り上げ、国税不服審判所平成8年9月25日裁決・裁決事例集52集56頁(以下「平成8年裁決」という)、盛岡地判平成11年4月16日判タ1026号157頁(以下「平成11年盛岡地判」という)、仙台高判平成11年10月27日訟月46巻9号3700頁(以下「平成11年仙台高判」という)及び最判平成13年7月13日訟月48巻7号1831頁(以下「平成13年最判」という)の各判断の整理ないし比較検討を通じて、特に「組合課税構造の特殊性」(以下でこの概念を用いる場合それは高橋祐介「判批」税法学548号(2002年)111頁、116頁からの引用であることをお断りしておく)の捉え方に着目しながら、平成13年最判の意義を明らかにすることにする。
〈令和7年度税制改正〉新リース会計基準に伴うリース取引に係る所要の措置 【後編】
本稿の【前編】では、新リース会計基準の概要と、法人税・地方税・消費税に係る改正の概要について確認した。
今回の【後編】では、実務上の影響として、短期リースや少額リースの取扱い、オペレーティング・リース取引にかかる経過措置、外形標準課税の計算における注意点などを解説する。
仕入税額控除制度における用途区分の再検討-ADW事件最高裁判決から考える- 【第4回】
他方、検証の結果、課税対応を維持することが難しい(共通対応と判断される可能性が相応にある)と判断した課税仕入れについては、共通対応に区分を見直すとともに、必要に応じ、次の①又は②の対応について検討することが考えられる。