公開日: 2026/10/01 (掲載号:No.688)
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消費税減税大綱に伴い想定される実務への影響と対応 【第1回】「税率1%の対象範囲、事業者への影響及び税率変更に伴う実務上の取扱い」

筆者: 石川 幸恵

消費税減税大綱に伴い想定される
実務への影響と対応
【第1回】
「税率1%の対象範囲、事業者への影響及び
税率変更に伴う実務上の取扱い」

税理士 石川 幸恵

 

-はじめに-

令和8年9月15日に「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」が閣議決定され、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品に係る消費税率が1%へ引き下げられることとなった。実施までの準備期間が短く、事業者においては早めの対応が必要となる。

本連載では、就業者負担軽減支援金の導入に関する論点は割愛したうえで、消費税率の臨時的な引下げに伴う実務上の取扱いや特例について整理する。

【第1回】では、税率1%の対象範囲や事業者への影響、税率変更に伴う実務上の取扱いについて確認する。また、軽減税率の導入時に整理された店内飲食とテイクアウトの区分等について改めて振り返る。

なお、今回の大綱の全体像について知りたい方は、まずは下記を参照いただきたい。

 

1 消費税率の臨時的な引下げの対象範囲

消費税率の臨時的な引下げの対象範囲は、「飲食料品の譲渡」とされている。「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く。)であり(消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)問2)、その範囲は、令和9年3月31日以前において税率8%の対象である飲食料品の範囲と同じである。

【参考】 国税庁ホームページ
「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」(以下「制度概要編」という)
「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(以下「個別事例編」という)

次に判断に迷いやすいものや、今回の臨時的な引下げの影響を考えるうえで押さえておきたいものを整理した。改めて確認されたい。

▷ 1%が適用される取引
●スーパーやコンビニなどでの飲食料品(酒類や医薬品などを除く)の販売
●飲食店でのテイクアウト(制度概要編問2)
●出前・宅配(個別事例編問77)
●有料老人ホーム等で行う食事の提供(個別事例編問80)
●農家や漁業者などによる野菜や果物・水産物の出荷
●食品メーカーによる飲食料品の出荷
●一定の一体資産(個別事例編問84~96)
▷ 10%が適用される取引
●お酒の販売(制度概要編問2)
●医薬品や医薬部外品の販売(制度概要編問2)
●工業用として販売される塩(制度概要編問2)
●飲食店での店内飲食(制度概要編問2)
●フードコートでの飲食(個別事例編問 65)
●ケータリングや出張料理(個別事例編問 75)
●家事代行(個別事例編問 76)
●果物の苗木や種子の販売(個別事例編問 7)
●農業用資材の販売
●一定の一体資産(個別事例編問 84~96)

 

2 テイクアウト、出前、店内飲食の消費税率について

1の表で見たように、飲食店が提供する飲食料品であっても、店内飲食、フードコート、ケータリング等は10%、テイクアウトや出前・宅配には1%の税率が適用される。これらの区分と価格表示について、軽減税率導入時に整理された取扱いを改めて確認しておきたい。

(1) 外食とは?

標準税率10%が適用される外食とは、

イ.飲食店業を営む者がテーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備(飲食設備)のある場所において

ロ.飲食料品を飲食させる役務の提供

をいう(制度概要編問7)。例えば、レストランやフードコートが該当する。

(2) 飲食設備の範囲

飲食設備に該当するかどうかについて、軽減税率Q&Aで整理された主なものを確認しておく。

事例 「飲食設備」を利用させて行う食事の提供に該当するか
社員食堂、カラオケボックス
(個別事例編問49、70)
〇(標準税率10%)
コンビニエンスストアのイートインスペース、スーパーマーケットの休憩スペース
(個別事例編問52、53)
〇(標準税率10%)
屋台のおでん屋やラーメン屋、フードイベント等での飲食料品の提供
(個別事例編問51)
〇(標準税率10%)
公園のベンチのそばで営業する移動販売車
(個別事例編問66)
ベンチの設備設置者と移動販売車の事業者との間で顧客に利用させることを合意している場合は〇(標準税率10%)
誰でもベンチを利用できる場合は×(軽減税率1%)
列車内でのワゴン販売
(個別事例編問69)
×(軽減税率1%)

(3) 軽減税率が適用されるテイクアウトの範囲について

飲食店業等を営む者が飲食料品を持ち帰りのための容器に入れ、又は包装をして行う譲渡は税率1%が適用される(制度概要編問9)。

また、そばの出前、宅配ピザの配達は顧客の指定した場所まで単に飲食料品を届けるだけであるため、税率1%が適用される(個別事例編問77)。

(4) 適用税率の判定時期

「店内飲食」と「テイクアウト」のいずれも行っている飲食店等において、飲食料品を提供する場合に、どちらに該当するかは、事業者が飲食料品の譲渡等を行う時に判断する。判定は、「店内飲食」か「テイクアウト」かについて、顧客に意思確認を行うなどの方法による(制度概要編問9、11)。

(5) 「店内飲食」と「テイクアウト」の価格設定と表示方法について

「店内飲食」と「テイクアウト」では適用税率が異なるが、事業者がどのような価格設定を行うかは任意である。

店内飲食とテイクアウトで異なる税込価格を設定する場合には、それぞれの税込価格を表示する方法のほか、一方の価格のみを表示し「テイクアウト(店内飲食)の場合、税率が異なりますので、別価格となります」等の表示を行う方法も可能である。

一方、テイクアウトの税抜価格を店内飲食より高く設定するなどして、両者の税込価格を同一とすることもできる。この取扱いは、消費税率の臨時的な引下げ後についても、現時点ではこの考え方が変更されることは示されていない。ただし、両者の適用税率の差が大きくなることから、消費者から価格設定について問われた場合には、合理的に説明できるようにしておくことが望ましい。

【参考】 消費者庁ホームページ
「消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について」

 

3 飲食店、農業等、飲食料品の譲渡を行う事業者への影響

消費税率の臨時的な引下げは、単に取引時の税率を変更するのみでなく、事業者の原価や利益、資金繰りなど経営に及ぼす影響にも注意が必要となる。特に、簡易課税事業者・免税事業者である農林漁業者については、売上げから回収できない仕入税額が大きくなることが予想される。また、外食については税率が標準税率で据え置かれる一方、中食・内食には引下げ後の税率が適用されるため、その税率差による影響も考えられる。

こうした影響に対応するため、農林漁業者、食品事業者、外食事業者に対しては、税制上の特例や各種の支援が講じられる。

詳細は【第2回】以降に取り上げる。

 

4 飲食料品の譲渡を行っていない事業者への影響

飲食料品は幅広く、また身近な品物であるため、事業として飲食料品の譲渡を行っていない事業者にも会計処理について準備の必要があり、また、扱っている商品・製品によっては納付税額の増加等、影響が考えられる。

(1) 会計処理への対応

飲食料品の譲渡を行っていない事業者も、贈答品や福利厚生などで飲食料品を経費として購入することは多いため、会計処理上、消費税率1%への対応が必要となる。会計ソフトが対応しているかの確認が必要である。

なお、免税事業者や税込経理処理を行っていて簡易課税を適用している事業者については、仕入れに係る消費税額を区分して会計処理していないため、影響は小さいと考えられる。

(2) 納付税額の増加

飲食料品を原材料として仕入れ、飲食料品以外のものを製造している事業者もある。例えば、飲食料品を原材料とする化粧品や動物飼料を製造する事業者である(個別事例編問4、問21)。この場合、仕入れにかかる消費税額が減少する一方、売上げには10%の税率が適用されるため、納付税額の増加が考えられる。

 

5 インボイスや帳簿の記載内容の変更について

税率1%の適用対象である飲食料品は軽減税率の適用対象であるため、飲食料品の譲渡を行った場合、「軽減税率の対象品目である旨」を記載すればよい。新たに「税率1%の対象品目である旨」という文言を追加する必要はない(飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(以下「消費税率引下げQA」という)問2-1)。

ただし、税率と消費税額の記載は1%への対応が必要である。

また、一般課税の場合の仕入税額控除の要件である帳簿の記載方法に変更はない。

軽減税率の対象品目である旨の帳簿への記載については、軽減税率の適用対象を示す記号(「※」など)等を記載するほか、税率区分欄を設けて、税率や税率コードを記載する方法も認められている。上記の例では税率区分欄に「1%」と記載している。

【参考】 国税庁ホームページ
「消費税のあらまし(令和8年6月)」

 

6 1枚のインボイスに3種類の税率が記載される場合について

飲食料品とそれ以外の商品の卸売りを営む事業者が令和9年3月31日をまたぐ期間の取引をまとめて請求する場合などには、1枚の請求書に、標準税率10%、軽減税率8%、軽減税率1%の3種類が記載される可能性がある。

この場合、消費税率引下げQA問2-2では令和9年3月までの取引と同年4月以後の取引について、請求書を分けて発行する方法(図1)と、同一請求書内で令和9年3月までの取引と同年4月以後の取引を区分して発行する方法(図2)が示されている。

(図1)

(図2)

(※) 図はいずれも、消費税率引下げQA問2-2より抜粋

 

7 返品、貸倒れの取扱いについて

返品や貸倒れが税率変更後に生じた場合であっても、その対象となった販売時の税率に基づいて消費税額を計算する。

したがって、令和9年3月31日以前に販売した飲食料品(税率8%対象)について、同年4月1日以後に商品が返品され、対価の返還等を行った場合には、税率8%に基づき売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を計算する。

令和9年3月31日以前に行った飲食料品の販売に係る売掛金等(税率8%対象)について、同年4月1日以後に貸倒れがあった場合についても同様である。

 

8 適用税率の判定における売上計上基準の取扱い

棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とされている(消基通9-1-1)。

消費税率引下げQA問1-3では、営業時間が午前9時から翌日の午前1時であるスーパーが、日々の売上げを午前1時で締めて集計しているケースを紹介している。

この場合、事業者が継続適用している売上計上基準に従い、令和9年4月1日の午前0時から1時までの商品販売を同年3月31日の売上げとして計上しているときは、この1時間に販売した飲食料品についても、3月31日時点の税率8%を適用することとして差し支えないとしている。
 

(了)

次回は10/8に公開予定です。

消費税減税大綱に伴い想定される
実務への影響と対応
【第1回】
「税率1%の対象範囲、事業者への影響及び
税率変更に伴う実務上の取扱い」

税理士 石川 幸恵

 

-はじめに-

令和8年9月15日に「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」が閣議決定され、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品に係る消費税率が1%へ引き下げられることとなった。実施までの準備期間が短く、事業者においては早めの対応が必要となる。

本連載では、就業者負担軽減支援金の導入に関する論点は割愛したうえで、消費税率の臨時的な引下げに伴う実務上の取扱いや特例について整理する。

【第1回】では、税率1%の対象範囲や事業者への影響、税率変更に伴う実務上の取扱いについて確認する。また、軽減税率の導入時に整理された店内飲食とテイクアウトの区分等について改めて振り返る。

なお、今回の大綱の全体像について知りたい方は、まずは下記を参照いただきたい。

 

1 消費税率の臨時的な引下げの対象範囲

消費税率の臨時的な引下げの対象範囲は、「飲食料品の譲渡」とされている。「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く。)であり(消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)問2)、その範囲は、令和9年3月31日以前において税率8%の対象である飲食料品の範囲と同じである。

【参考】 国税庁ホームページ
「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」(以下「制度概要編」という)
「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(以下「個別事例編」という)

次に判断に迷いやすいものや、今回の臨時的な引下げの影響を考えるうえで押さえておきたいものを整理した。改めて確認されたい。

▷ 1%が適用される取引
●スーパーやコンビニなどでの飲食料品(酒類や医薬品などを除く)の販売
●飲食店でのテイクアウト(制度概要編問2)
●出前・宅配(個別事例編問77)
●有料老人ホーム等で行う食事の提供(個別事例編問80)
●農家や漁業者などによる野菜や果物・水産物の出荷
●食品メーカーによる飲食料品の出荷
●一定の一体資産(個別事例編問84~96)
▷ 10%が適用される取引
●お酒の販売(制度概要編問2)
●医薬品や医薬部外品の販売(制度概要編問2)
●工業用として販売される塩(制度概要編問2)
●飲食店での店内飲食(制度概要編問2)
●フードコートでの飲食(個別事例編問 65)
●ケータリングや出張料理(個別事例編問 75)
●家事代行(個別事例編問 76)
●果物の苗木や種子の販売(個別事例編問 7)
●農業用資材の販売
●一定の一体資産(個別事例編問 84~96)

 

2 テイクアウト、出前、店内飲食の消費税率について

1の表で見たように、飲食店が提供する飲食料品であっても、店内飲食、フードコート、ケータリング等は10%、テイクアウトや出前・宅配には1%の税率が適用される。これらの区分と価格表示について、軽減税率導入時に整理された取扱いを改めて確認しておきたい。

(1) 外食とは?

標準税率10%が適用される外食とは、

イ.飲食店業を営む者がテーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備(飲食設備)のある場所において

ロ.飲食料品を飲食させる役務の提供

をいう(制度概要編問7)。例えば、レストランやフードコートが該当する。

(2) 飲食設備の範囲

飲食設備に該当するかどうかについて、軽減税率Q&Aで整理された主なものを確認しておく。

事例 「飲食設備」を利用させて行う食事の提供に該当するか
社員食堂、カラオケボックス
(個別事例編問49、70)
〇(標準税率10%)
コンビニエンスストアのイートインスペース、スーパーマーケットの休憩スペース
(個別事例編問52、53)
〇(標準税率10%)
屋台のおでん屋やラーメン屋、フードイベント等での飲食料品の提供
(個別事例編問51)
〇(標準税率10%)
公園のベンチのそばで営業する移動販売車
(個別事例編問66)
ベンチの設備設置者と移動販売車の事業者との間で顧客に利用させることを合意している場合は〇(標準税率10%)
誰でもベンチを利用できる場合は×(軽減税率1%)
列車内でのワゴン販売
(個別事例編問69)
×(軽減税率1%)

(3) 軽減税率が適用されるテイクアウトの範囲について

飲食店業等を営む者が飲食料品を持ち帰りのための容器に入れ、又は包装をして行う譲渡は税率1%が適用される(制度概要編問9)。

また、そばの出前、宅配ピザの配達は顧客の指定した場所まで単に飲食料品を届けるだけであるため、税率1%が適用される(個別事例編問77)。

(4) 適用税率の判定時期

「店内飲食」と「テイクアウト」のいずれも行っている飲食店等において、飲食料品を提供する場合に、どちらに該当するかは、事業者が飲食料品の譲渡等を行う時に判断する。判定は、「店内飲食」か「テイクアウト」かについて、顧客に意思確認を行うなどの方法による(制度概要編問9、11)。

(5) 「店内飲食」と「テイクアウト」の価格設定と表示方法について

「店内飲食」と「テイクアウト」では適用税率が異なるが、事業者がどのような価格設定を行うかは任意である。

店内飲食とテイクアウトで異なる税込価格を設定する場合には、それぞれの税込価格を表示する方法のほか、一方の価格のみを表示し「テイクアウト(店内飲食)の場合、税率が異なりますので、別価格となります」等の表示を行う方法も可能である。

一方、テイクアウトの税抜価格を店内飲食より高く設定するなどして、両者の税込価格を同一とすることもできる。この取扱いは、消費税率の臨時的な引下げ後についても、現時点ではこの考え方が変更されることは示されていない。ただし、両者の適用税率の差が大きくなることから、消費者から価格設定について問われた場合には、合理的に説明できるようにしておくことが望ましい。

【参考】 消費者庁ホームページ
「消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について」

 

3 飲食店、農業等、飲食料品の譲渡を行う事業者への影響

消費税率の臨時的な引下げは、単に取引時の税率を変更するのみでなく、事業者の原価や利益、資金繰りなど経営に及ぼす影響にも注意が必要となる。特に、簡易課税事業者・免税事業者である農林漁業者については、売上げから回収できない仕入税額が大きくなることが予想される。また、外食については税率が標準税率で据え置かれる一方、中食・内食には引下げ後の税率が適用されるため、その税率差による影響も考えられる。

こうした影響に対応するため、農林漁業者、食品事業者、外食事業者に対しては、税制上の特例や各種の支援が講じられる。

詳細は【第2回】以降に取り上げる。

 

4 飲食料品の譲渡を行っていない事業者への影響

飲食料品は幅広く、また身近な品物であるため、事業として飲食料品の譲渡を行っていない事業者にも会計処理について準備の必要があり、また、扱っている商品・製品によっては納付税額の増加等、影響が考えられる。

(1) 会計処理への対応

飲食料品の譲渡を行っていない事業者も、贈答品や福利厚生などで飲食料品を経費として購入することは多いため、会計処理上、消費税率1%への対応が必要となる。会計ソフトが対応しているかの確認が必要である。

なお、免税事業者や税込経理処理を行っていて簡易課税を適用している事業者については、仕入れに係る消費税額を区分して会計処理していないため、影響は小さいと考えられる。

(2) 納付税額の増加

飲食料品を原材料として仕入れ、飲食料品以外のものを製造している事業者もある。例えば、飲食料品を原材料とする化粧品や動物飼料を製造する事業者である(個別事例編問4、問21)。この場合、仕入れにかかる消費税額が減少する一方、売上げには10%の税率が適用されるため、納付税額の増加が考えられる。

 

5 インボイスや帳簿の記載内容の変更について

税率1%の適用対象である飲食料品は軽減税率の適用対象であるため、飲食料品の譲渡を行った場合、「軽減税率の対象品目である旨」を記載すればよい。新たに「税率1%の対象品目である旨」という文言を追加する必要はない(飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(以下「消費税率引下げQA」という)問2-1)。

ただし、税率と消費税額の記載は1%への対応が必要である。

また、一般課税の場合の仕入税額控除の要件である帳簿の記載方法に変更はない。

軽減税率の対象品目である旨の帳簿への記載については、軽減税率の適用対象を示す記号(「※」など)等を記載するほか、税率区分欄を設けて、税率や税率コードを記載する方法も認められている。上記の例では税率区分欄に「1%」と記載している。

【参考】 国税庁ホームページ
「消費税のあらまし(令和8年6月)」

 

6 1枚のインボイスに3種類の税率が記載される場合について

飲食料品とそれ以外の商品の卸売りを営む事業者が令和9年3月31日をまたぐ期間の取引をまとめて請求する場合などには、1枚の請求書に、標準税率10%、軽減税率8%、軽減税率1%の3種類が記載される可能性がある。

この場合、消費税率引下げQA問2-2では令和9年3月までの取引と同年4月以後の取引について、請求書を分けて発行する方法(図1)と、同一請求書内で令和9年3月までの取引と同年4月以後の取引を区分して発行する方法(図2)が示されている。

(図1)

(図2)

(※) 図はいずれも、消費税率引下げQA問2-2より抜粋

 

7 返品、貸倒れの取扱いについて

返品や貸倒れが税率変更後に生じた場合であっても、その対象となった販売時の税率に基づいて消費税額を計算する。

したがって、令和9年3月31日以前に販売した飲食料品(税率8%対象)について、同年4月1日以後に商品が返品され、対価の返還等を行った場合には、税率8%に基づき売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を計算する。

令和9年3月31日以前に行った飲食料品の販売に係る売掛金等(税率8%対象)について、同年4月1日以後に貸倒れがあった場合についても同様である。

 

8 適用税率の判定における売上計上基準の取扱い

棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とされている(消基通9-1-1)。

消費税率引下げQA問1-3では、営業時間が午前9時から翌日の午前1時であるスーパーが、日々の売上げを午前1時で締めて集計しているケースを紹介している。

この場合、事業者が継続適用している売上計上基準に従い、令和9年4月1日の午前0時から1時までの商品販売を同年3月31日の売上げとして計上しているときは、この1時間に販売した飲食料品についても、3月31日時点の税率8%を適用することとして差し支えないとしている。
 

(了)

次回は10/8に公開予定です。

連載目次

消費税減税大綱に伴い想定される実務への影響と対応

【第1回】 税率1%の対象範囲、事業者への影響及び税率変更に伴う実務上の取扱い ★無料公開中★

はじめに

1 消費税率の臨時的な引下げの対象範囲

2 テイクアウト、出前、店内飲食の消費税率について

(1) 外食とは?

(2) 飲食設備の範囲

(3) 軽減税率が適用されるテイクアウトの範囲について

(4) 適用税率の判定時期

(5) 「店内飲食」と「テイクアウト」の価格設定と表示方法について

3 飲食店、農業等、飲食料品の譲渡を行う事業者への影響

4 飲食料品の譲渡を行っていない事業者への影響

(1) 会計処理への対応

(2) 納付税額の増加

5 インボイスや帳簿の記載内容の変更について

6 1枚のインボイスに3種類の税率が記載される場合について

7 返品、貸倒れの取扱いについて

8 適用税率の判定における売上計上基準の取扱い

【第2回】 各種特例の確認と注意点 10/8公開予定

1 免税事業者から課税事業者になるための届け出に関する特例、簡易課税から一般課税になるための届け出に関する特例について

(1) 免税事業者から課税事業者になるための届け出に関する特例

(2) 簡易課税から一般課税になるための届け出に関する特例

(3) 届出書の記載の注意

2 1の特例の対象者が「飲食料品の譲渡を行う事業者」に限定されていることについて

3 課税事業者選択の特例を利用した場合の「2年縛り」「3年縛り」「棚卸資産に係る消費税の調整」

(1) 課税事業者選択に係る2年縛り

(2) 3年縛り

(3) 棚卸資産に係る消費税の調整

4 簡易課税制度の計算方法の特例

5 外食事業者が行う取引の消費税率、簡易課税の適用に関する整理

6 二種類以上の事業を営む場合、三種類以上の事業を営む場合の簡易課税の特例制度の取扱い

7 中間申告制度の特例

(1) 特例の概要

(2) 手続き

(3) 中間申告の回数

筆者紹介

石川 幸恵

(いしかわ・ゆきえ)

税理士・第一種情報処理技術者
アスエミヲ 石川幸恵税理士事務所(https://as-emiwo.com)

名古屋大学大学院 生命農学研究科 博士前期課程修了。
金融系のIT企業に就職後、お金の流れや儲けの仕組みに興味を持ち、税理士業界へ転職。

平成29年 税理士登録・開業。

法人税はもちろん、個人事業者から法人までの消費税を専門的にサポートし、越境EC、非居住者へのサービスなど海外取引に関わる消費税についても相談を受ける。

【著書】
・『気になるギモンを解消!小さな会社の消費税Q&A』(清文社、2024年)

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はじめてのインボイス登録と消費税の申告

税理士 小谷羊太 監修 税理士 森本耕平 著

消費税課否判定要覧 [第5版]

税理士 福田浩彦、税理士 相澤 博、税理士 二宮 良之
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