法人税改革の行方
【第6回】
「外形標準課税の適用拡大(2)」
慶應義塾大学経済学部教授
土居 丈朗
※本連載において意見にわたる部分は、あくまで筆者の個人的見解であって、筆者が関わる組織や会議等を代表するものではない。
本連載の前回では、地方の法人事業税の外形標準課税、中でも付加価値割の性質について言及した。今般取りまとめられた「平成27年度税制改正大綱」では、法人実効税率を2016年までに3.29%引き下げる一方で、その代替財源としての課税ベースの見直しでは、外形標準課税の適用拡大が最も大きな項目となった。
法人実効税率を大きく引き下げようとすれば、その代替財源もまとまったものを見つけ出さなければならないが、外形標準課税の適用拡大以外にまとまった財源となる課税ベースが見出せず、結局外形標準課税の適用拡大頼みになってしまった節がある。
一般に、「外形標準課税」は、赤字法人にも課税される。赤字法人への課税に対する評価は分かれている。企業が赤字なのに、それでもなお税負担を求めるのは、企業経営をより圧迫しかねないとする否定的な見方がある一方で、法人所得に比例する形での課税だと、企業が赤字というだけで税負担から逃れられるから、「外形標準課税」を用いて赤字法人にも課税すべきであるとする肯定的な見方もある。
しかし、本連載の前回で述べたように、わが国の外形標準課税、中でも付加価値割は、人件費を増やせば増税になる性質を持っている。それ以外にも、赤字法人に課税するにしてはいろいろと支障のある性質を持っている。
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