公開日: 2022/01/13 (掲載号:No.452)
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“国際興業事件”を巡る5つの疑問点~プロラタ計算違法判決を生んだ根本原因~ 【第3回】

筆者: 霞 晴久

国際興業事件つの疑問点

~プロラタ計算違法判決を生んだ根本原因~

【第3回】

 

公認会計士・税理士 霞 晴久

 

《疑問点4》
そもそも外国法人の資本金等の額及び利益積立金の額は算定可能か

(1) 株主に対する「資本金等の額」の通知義務を負わない外国法人

内国法人が外国法人から剰余金の配当等を受ける場合の外国法人には、外国上場会社の場合、内国法人の外国子会社等の場合の2つが一般的であろう。法人税法24条1項のみなし配当を計算する場合、金銭その他の資産を交付する外国法人の設立以来の全ての払込資本の増減を反映させるものとして、同法人の「資本金等の額」(法令8各号参照)の把握が不可欠であるが、「資本金等の額」は我が国法人税法上特有の資本概念(※24)であり、そもそも外国法人が我が国の法人税法に従って「資本金等の額」を計算する義務はなく、又当然に、外国法人には法人税法施行令23条4項が規定するような法人株主に対する「資本金等の額」の通知義務は課せられていない。

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国際興業事件つの疑問点

~プロラタ計算違法判決を生んだ根本原因~

【第3回】

 

公認会計士・税理士 霞 晴久

 

《疑問点4》
そもそも外国法人の資本金等の額及び利益積立金の額は算定可能か

(1) 株主に対する「資本金等の額」の通知義務を負わない外国法人

内国法人が外国法人から剰余金の配当等を受ける場合の外国法人には、外国上場会社の場合、内国法人の外国子会社等の場合の2つが一般的であろう。法人税法24条1項のみなし配当を計算する場合、金銭その他の資産を交付する外国法人の設立以来の全ての払込資本の増減を反映させるものとして、同法人の「資本金等の額」(法令8各号参照)の把握が不可欠であるが、「資本金等の額」は我が国法人税法上特有の資本概念(※24)であり、そもそも外国法人が我が国の法人税法に従って「資本金等の額」を計算する義務はなく、又当然に、外国法人には法人税法施行令23条4項が規定するような法人株主に対する「資本金等の額」の通知義務は課せられていない。

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連載目次

“国際興業事件"を巡る5つの疑問点
~プロラタ計算違法判決を生んだ根本原因~

【第1回】

はじめに

《疑問点1》 利益積立金がマイナスの法人が何故配当することができたのか

《疑問点2》 プロラタ計算の分母は、払戻し等の直前の株主資本の状態を示しているか

【第2回】

《疑問点3》 KC社からの金銭配当を資本配当と利益配当に分けて行うことは、株式譲渡損を意図的に作出する恣意的な行為に当たらないか

(1) プロラタ計算導入の経緯と本件最判の意義

(2) 資本配当を行うことによるXの節税効果

【第3回】

《疑問点4》 そもそも外国法人の資本金等の額及び利益積立金の額は算定可能か

(1) 株主に対する「資本金等の額」の通知義務を負わない外国法人

(2) 純粋で混じり気のない資本金等の額と利益積立金の額の分配

【第4回】

《疑問点5》 別件裁判例では、外国上場会社の財務諸表上の数値を用いてみなし配当を計算しているのではないか

(1) タイコ・インターナショナル事件

(2) T社事件判決の問題点

おわりに

【追補】

1 はじめに

2 問題の所在

3 改正法施行令の内容

4 残された課題

筆者紹介

霞 晴久

(かすみ・はるひさ)

公認会計士・税理士
霞晴久公認会計士事務所 所長

監査法人トーマツ、新日本監査法人、国税不服審判所等を経て現在霞晴久公認会計士事務所所長。千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科客員教授。監査法人勤務時代は会計監査、国際税務、海外赴任(フランス及びベルギーに通算14年滞在)及び不正調査に従事。国税不服審判所入所前は、日系企業が買収したベルギー法人のCFOを勤める。
主な著書・論文として「ユーロの会計税務と法律」(共著、清文社1999年)、「EU加盟国の税法」(共著、中央経済社2002年)、「新版架空循環取引」(共著、清文社2019年)、及び「破産手続きにおける債務の確定と前期損益修正をめぐる問題」(月刊『税理』2020年10月号)等がある。
 

関連書籍

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