公開日: 2014/09/11 (掲載号:No.85)
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法人税改革の行方 【第4回】「中小企業・同族会社をめぐる論点」

筆者: 土居 丈朗

法人税改革の行方

【第4回】

「中小企業・同族会社をめぐる論点」

 

慶應義塾大学経済学部教授
土居 丈朗

※本連載において意見にわたる部分は、あくまで筆者の個人的見解であって、筆者が関わる組織や会議等を代表するものではない。

 

法人実効税率の引下げをめぐっては、大企業と中小企業、つまり資本金1億円超か以下かが議論の1つの焦点となっている。

 

《資本金1億円の線引きを見直すべきか》

政府税制調査会の「法人税の改革について」にも

法人税法上、中小法人は資本金1億円以下の企業と定義され、様々な税制支援の適用を受けることが可能となる。基本税率は25.5%であるが、中小法人には800万円以下の所得に軽減税率が適用される。

と問題意識を明示している。

法人実効税率の国際比較では、通常、資本金1億円超の企業に適用される基本税率に基づいて、わが国の法人実効税率は国際的に見て相対的に高いとされる。しかし、中小企業には、既に軽減税率が適用されており、法人税法で19%に、さらにリーマン・ショック後の対応として租税特別措置法で15%にまで軽減されている。

その上、資本金が1億円以下の企業は、税制上で全法人の99%となっているから、そもそも法人実効税率の引下げは、どの企業に対する政策なのかが問われることとなる。ただし、2012年度において、資本金1億円超の企業が納めた法人税は、全体の65.11%となっていることには留意が必要である。

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法人税改革の行方

【第4回】

「中小企業・同族会社をめぐる論点」

 

慶應義塾大学経済学部教授
土居 丈朗

※本連載において意見にわたる部分は、あくまで筆者の個人的見解であって、筆者が関わる組織や会議等を代表するものではない。

 

法人実効税率の引下げをめぐっては、大企業と中小企業、つまり資本金1億円超か以下かが議論の1つの焦点となっている。

 

《資本金1億円の線引きを見直すべきか》

政府税制調査会の「法人税の改革について」にも

法人税法上、中小法人は資本金1億円以下の企業と定義され、様々な税制支援の適用を受けることが可能となる。基本税率は25.5%であるが、中小法人には800万円以下の所得に軽減税率が適用される。

と問題意識を明示している。

法人実効税率の国際比較では、通常、資本金1億円超の企業に適用される基本税率に基づいて、わが国の法人実効税率は国際的に見て相対的に高いとされる。しかし、中小企業には、既に軽減税率が適用されており、法人税法で19%に、さらにリーマン・ショック後の対応として租税特別措置法で15%にまで軽減されている。

その上、資本金が1億円以下の企業は、税制上で全法人の99%となっているから、そもそも法人実効税率の引下げは、どの企業に対する政策なのかが問われることとなる。ただし、2012年度において、資本金1億円超の企業が納めた法人税は、全体の65.11%となっていることには留意が必要である。

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連載目次

筆者紹介

土居 丈朗

(どい・たけろう)

慶應義塾大学経済学部教授
HP http://web.econ.keio.ac.jp/staff/tdoi/index.html
Twitter @takero_doi

1970年生。1993年大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。東京大学社会科学研究所助手、カリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員、慶應義塾大学経済学部助教授などを経て、2009年4月から現職。

主著に『地方債改革の経済学』(日本経済新聞出版社、2007年日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞同時受賞)、『日本の財政をどう立て直すか』(編著・日本経済新聞出版社)、『日本の税をどう見直すか』(編著・日本経済新聞出版社)、『入門公共経済学』(日本評論社)等。

行政改革推進会議議員、政府税制調査会委員、社会保障制度改革推進会議委員、財政制度等審議会委員、社会保障審議会介護保険部会臨時委員などを務める。

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