法人税改革の行方
【第4回】
「中小企業・同族会社をめぐる論点」
慶應義塾大学経済学部教授
土居 丈朗
※本連載において意見にわたる部分は、あくまで筆者の個人的見解であって、筆者が関わる組織や会議等を代表するものではない。
法人実効税率の引下げをめぐっては、大企業と中小企業、つまり資本金1億円超か以下かが議論の1つの焦点となっている。
《資本金1億円の線引きを見直すべきか》
政府税制調査会の「法人税の改革について」にも
法人税法上、中小法人は資本金1億円以下の企業と定義され、様々な税制支援の適用を受けることが可能となる。基本税率は25.5%であるが、中小法人には800万円以下の所得に軽減税率が適用される。
と問題意識を明示している。
法人実効税率の国際比較では、通常、資本金1億円超の企業に適用される基本税率に基づいて、わが国の法人実効税率は国際的に見て相対的に高いとされる。しかし、中小企業には、既に軽減税率が適用されており、法人税法で19%に、さらにリーマン・ショック後の対応として租税特別措置法で15%にまで軽減されている。
その上、資本金が1億円以下の企業は、税制上で全法人の99%となっているから、そもそも法人実効税率の引下げは、どの企業に対する政策なのかが問われることとなる。ただし、2012年度において、資本金1億円超の企業が納めた法人税は、全体の65.11%となっていることには留意が必要である。
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