組織再編税制における不確定概念
【第3回】
「従業者引継要件等における
『おおむね』とは」
公認会計士 佐藤 信祐
組織再編税制においては、税制適格要件における従業者引継要件、規模要件、みなし共同事業要件における規模要件、規模継続要件において、「おおむね」という文言がそれぞれ規定されており、税制適格要件における株式継続保有要件において、「おおむね」という文言を使用していないのと対照的である。
本稿においては、従業者引継要件を例に挙げて、その具体的な内容についての解説を行う。
1 従業者引継要件の内容
50%超100%未満グループ内の適格組織再編成、共同事業を営むための適格組織再編成に該当するためには、従業者引継要件を満たす必要がある。
具体的な内容については、組織再編成の形態により若干の違いがあるが、例えば、合併における従業者引継要件は、法人税法2条12号の8ロ(1)、法人税法施行令4条の3第4項3号において、被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていることを要求しており、「おおむね」という不確定概念が存在している。
これに対し、株式継続保有要件については、法人税法施行令4条の3第4項5号において、合併の直前の当該合併に係る被合併法人の株主等で当該合併により交付を受ける合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者を合計した数が当該被合併法人の発行済株式総数の100分の80以上であることを要求しており、「おおむね」という不確定概念を使用していない。
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