特定株主等によって支配された欠損等法人の
欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い
~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~
【第7回】
(最終回)
「〈事例5〉買収によって欠損等法人の役員が全員退任、
親族の従業員が退社するケース(第5号事由)」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸
〈事例5〉
買収によって欠損等法人の役員が全員退任、親族の従業員が退社するケース(第5号事由)
P社(内国法人。決算日は3月31日。50%超の株式等を直接及び間接に所有する株主はいない)は、平成24年10月1日に、Q社からA社(内国法人。決算日は3月31日)の発行済株式のすべてを取得した(A社に対する債権は取得してない)。
この買収に伴って、買収前のA社の常務以上の役員(代表取締役社長であるオーナー以外に常務以上の役員はいなかった)のすべてが退任をし、従業員10名のうち、社長の子供であった兄弟2名が退職している。
買収後は、買収前の事業(不動産賃貸業)を継続している(買収前の従業員8名は継続して買収前の事業に従事している)。
また、前々期(平成26年3月期)において、P社からA社に飲食店事業の事業譲渡を行った(その事業に従事するための従業員も転籍させた)が、この飲食店事業が今期(平成28年3月期)において店舗数を拡大するなど急成長をすることになった。
なお、A社では、買収前から継続して繰越欠損金が生じている。
この場合、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)については適用されるのであろうか。
《検討》
同族経営の会社を買収する場合、オーナーやその親族、古株の役員や従業員の退任又は退職が条件となるケースが多い。この場合、本ケースのように、もともと役員や従業員の数が少ないと、第5号事由に該当してしまう可能性が生じる。この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
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