公開日: 2017/04/20 (掲載号:No.215)
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平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認 【第2回】

筆者: 佐藤 信祐

平成29年度税制改正における

『組織再編税制』改正事項の確認

【第2回】

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

連載の目次はこちら

3 スクイーズアウト税制

(1) 対価要件の見直し

平成29年度税制改正では、スクイーズアウト税制として、以下の見直しがなされている。

⑤ 吸収合併及び株式交換に係る適格要件のうち対価に関する要件について、合併法人又は株式交換完全親法人が被合併法人又は株式交換完全子法人の発行済株式の3分の2以上を有する場合におけるその他の株主に対して交付する対価を除外して判定することとする。

⑥ 全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求による完全子法人化について、株式交換と同様に、組織再編税制の一環として位置づけ、次の措置を講ずる。

イ 企業グループ内の株式交換と同様の要件を満たさない場合におけるその完全子法人となった法人を、非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象に加える。

ロ 企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たす場合におけるその完全子法人となった法人を連結納税の開始又は連結納税グループへの加入に伴う資産の時価評価課税の対象から除外するとともに、その完全子法人となった法人の連結納税の開始等の前に生じた欠損金額をその個別所得金額を限度として、連結納税制度の下での繰越控除の対象に加える。

⑦ 非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度及び連結納税の開始又は連結納税グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について、時価評価の対象となる資産から、帳簿価額が1,000万円未満の資産を除外する。

(※) 平成29年度与党税制改正大綱70-71頁より抜粋

このうち、⑤であるが、発行済株式の3分の2以上を支配した後に、現金交付型合併又は現金交付型株式交換を行ったとしても、金銭等不交付要件に抵触しないことを意味している。そして、法人税法上、支配関係が成立しているかどうかは、合併又は株式交換の直前とその後の継続見込みで判断する。

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平成29年度税制改正における

『組織再編税制』改正事項の確認

【第2回】

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

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3 スクイーズアウト税制

(1) 対価要件の見直し

平成29年度税制改正では、スクイーズアウト税制として、以下の見直しがなされている。

⑤ 吸収合併及び株式交換に係る適格要件のうち対価に関する要件について、合併法人又は株式交換完全親法人が被合併法人又は株式交換完全子法人の発行済株式の3分の2以上を有する場合におけるその他の株主に対して交付する対価を除外して判定することとする。

⑥ 全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求による完全子法人化について、株式交換と同様に、組織再編税制の一環として位置づけ、次の措置を講ずる。

イ 企業グループ内の株式交換と同様の要件を満たさない場合におけるその完全子法人となった法人を、非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象に加える。

ロ 企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たす場合におけるその完全子法人となった法人を連結納税の開始又は連結納税グループへの加入に伴う資産の時価評価課税の対象から除外するとともに、その完全子法人となった法人の連結納税の開始等の前に生じた欠損金額をその個別所得金額を限度として、連結納税制度の下での繰越控除の対象に加える。

⑦ 非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度及び連結納税の開始又は連結納税グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について、時価評価の対象となる資産から、帳簿価額が1,000万円未満の資産を除外する。

(※) 平成29年度与党税制改正大綱70-71頁より抜粋

このうち、⑤であるが、発行済株式の3分の2以上を支配した後に、現金交付型合併又は現金交付型株式交換を行ったとしても、金銭等不交付要件に抵触しないことを意味している。そして、法人税法上、支配関係が成立しているかどうかは、合併又は株式交換の直前とその後の継続見込みで判断する。

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連載目次

平成29年度税制改正における

『組織再編税制』改正事項の確認

  • 【第2回】
    3 スクイーズアウト税制
    (1) 対価要件の見直し
  • 【第3回】
    (2) 全部取得条項付種類株式、株式併合及び株式等売渡請求
    ①  基本的な取扱い
    ② 無対価スクイーズアウト
    ③ 連結納税制度への影響
  • 【第4回】
    4 支配関係継続要件の見直し
    5 株式継続保有要件の見直し
  • 【第5回】
    6 2段階組織再編成の見直し
    7 資産調整勘定の償却の見直し
    8 繰越欠損金、特定資産譲渡等損失の見直し
    9 むすび

筆者紹介

佐藤 信祐

(さとう・しんすけ)

公認会計士・税理士、法学博士
公認会計士・税理士 佐藤信祐事務所 所長

平成11年 朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入所
平成13年 公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現 デロイトトーマツ税理士法人)入所
平成17年 税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業
平成29年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)

【主な著書】
・『ケース別に分かる企業再生の税務』(共著、中央経済社)
・『企業買収・グループ内再編の税務─ストラクチャー選択の有利不利判定─』(共著、中央経済社)
・『組織再編税制 申告書・届出書作成と記載例』(共著、清文社)
・『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(共著、清文社)
・『組織再編における株主課税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』(中央経済社)
・『債務超過会社における組織再編の会計・税務』(共著、中央経済社)
・『グループ法人税制における無対価取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編・グループ内取引における消費税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『これだけ!組織再編&事業承継税制』(共著、中央経済社)
・『無対価組織再編・資本等取引の税務』(中央経済社)
・『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編成の税務詳解』(共著、清文社)
・『消費税 個別対応方式の実務 プラス 100Q&A』(共著、清文社)
・『組織再編による 事業承継対策』(共著、清文社)
・『組織再編の会計と税務の相違点と別表四・五(一)の申告調整』(共著、清文社)
・『中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務』(共著、清文社)
・『条文と制度趣旨から理解する 合併・分割税制』(清文社)
・『事業承継M&Aの実務』(共著、清文社)
・『組織再編税制大全』(清文社)
・『新版 サクサクわかる! 超入門 中小企業再編の税務』(清文社)
・『サクサクわかる! 超入門 合併の税務』(清文社)
・『サクサクわかる!M&Aの税務』(清文社)
・『サクサクわかる!株主対策の税務』(清文社)
・『ドリル式 組織再編成の確定申告書 別表四・五(一)徹底攻略』(清文社)
・『不動産M&Aの税務』(日本法令)
・『みなし配当の税務』(日本法令)

その他M&A、グループ内再編、事業再生及び事業承継に関する書籍多数。

        

関連書籍

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

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