組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の
現行法上の問題点と今後の課題
【第4回】
「無対価組織再編成、グループ法人税制及び株式交換等」
公認会計士 佐藤 信祐
6 無対価組織再編成
平成22年度税制改正により無対価組織再編成の明確化が図られ、対価の交付を省略したと同視することができる場合を条文に限定列挙し(法令4の3)、それ以外の場合には、非適格組織再編成に該当するという制度に改められた(※1)。
(※1) 佐々木浩ほか『平成22年版改正税法のすべて』320-321頁(大蔵財務協会、平成22年)。
この点につき、佐々木浩税理士は、「今は、段階を追って処理をしましょうということですね。将来的には、省略形にこだわらなくてもよいのではないかということになることもあるかもしれませんが。」(※2)と述べられている。つまり、対価の交付を省略したと同視することができる場合に限定しないことも、立法論としては可能であると言える。
(※2) 佐々木浩(発言)仲谷修ほか編『企業組織再編税制及びグループ法人税制の現状と今後の課題』57頁(大蔵財務協会、平成24年)。
そして、平成29年度税制改正により、適格合併に該当する現金交付型合併を行った場合には、法人サイドでは適格合併として処理しながらも、株主サイドでは株式譲渡損益を実現させるという制度となった(法法61の2②)。そのため、省略形でない無対価合併を行ったとしても、法人サイドでは適格合併として処理しながらも、株主サイドでは譲渡損益を実現させるという制度にすることに違和感がなくなったということが言える。
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