公開日: 2020/10/08 (掲載号:No.389)
文字サイズ

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第6回】「グループ通算制度」

筆者: 佐藤 信祐

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の
現行法上の問題点と今後の課題

【第6回】

「グループ通算制度」

 

公認会計士 佐藤 信祐

←(前回) | (次回)→

連載の目次はこちら

10 グループ通算制度における帳簿価額修正

(1) 帳簿価額修正後の離脱法人の株式の帳簿価額が離脱法人の簿価純資産価額に相当することの妥当性

連結納税制度と同様に、グループ通算制度においても帳簿価額修正の制度が残されているが、帳簿価額修正後の離脱法人の株式の帳簿価額が離脱法人の簿価純資産価額に相当する金額となっている(法令119の3⑤)。その結果、例えば、P社がA社(簿価純資産価額2,000百万円)を6,000百万円で買収した後に、9,000百万円で転売した事案を想定すると、単体納税であれば6,000百万円であったA社株式の帳簿価額が2,000百万円に引き下げられてしまうため、P社における株式譲渡益が4,000百万円増加してしまうという問題がある。これは、のれんのある法人を買収し、数年後に転売するときに生じやすい問題であると言える。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の
現行法上の問題点と今後の課題

【第6回】

「グループ通算制度」

 

公認会計士 佐藤 信祐

←(前回) | (次回)→

連載の目次はこちら

10 グループ通算制度における帳簿価額修正

(1) 帳簿価額修正後の離脱法人の株式の帳簿価額が離脱法人の簿価純資産価額に相当することの妥当性

連結納税制度と同様に、グループ通算制度においても帳簿価額修正の制度が残されているが、帳簿価額修正後の離脱法人の株式の帳簿価額が離脱法人の簿価純資産価額に相当する金額となっている(法令119の3⑤)。その結果、例えば、P社がA社(簿価純資産価額2,000百万円)を6,000百万円で買収した後に、9,000百万円で転売した事案を想定すると、単体納税であれば6,000百万円であったA社株式の帳簿価額が2,000百万円に引き下げられてしまうため、P社における株式譲渡益が4,000百万円増加してしまうという問題がある。これは、のれんのある法人を買収し、数年後に転売するときに生じやすい問題であると言える。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の
現行法上の問題点と今後の課題

(全19回)

《第1章》総論

【第1回】

1 はじめに

2 グループ通算制度の加入に伴う時価評価課税から見える現行法上の問題点

【第2回】

3 グループ通算制度の範囲を拡大することの問題点

4 受贈益の益金不算入

【第3回】

5 移転資産に対する支配の継続

【第4回】

6 無対価組織再編成

7 グループ法人税制の範囲を拡大する問題点

8 株式交換及びスクイーズアウト

【第5回】

9 株式移転

(1) 基本的な取扱い

(2) 株式譲渡損の創出

(3) 事業承継案件における利用

【第6回】

10 グループ通算制度における帳簿価額修正

(1) 帳簿価額修正後の離脱法人の株式の帳簿価額が離脱法人の簿価純資産価額に相当することの妥当性

(2) 単体納税制度に帳簿価額修正を導入することの妥当性

11 小括

《第2章》税制適格要件

【第7回】

1 適格合併

(1) 従業者従事要件及び事業継続要件の緩和

(2) 資本金基準の問題点

【第8回】

2 適格分割

(1) 按分型要件

(2) 分割の手続きによらない剰余金の配当

(3) 共同吸収分割

3 適格株式交換等・移転

(1) 親子逆転型の株式交換

(2) スクイーズアウト

(3) 株式移転

《第3章》資本金等の額及び利益積立金額

【第9回】

1 資本金等の額

(1) 株式交換等・移転における付随費用

(2) 新株予約権

(3) 種類資本金額

2 利益積立金額

《第4章》受取配当金と株式譲渡損益

【第10回】

1 自己株式の取得の特例

2 みなし配当と株式譲渡損の両建て

3 受贈益の益金不算入

(1) 基本的な取扱い

(2) 問題となる事案

《第5章》繰越欠損金と特定資産譲渡等損失額

【第11回】

1 適格合併以外の組織再編成

2 5年ルール

3 適格組織再編成による特定資産の移転

4 二段階組織再編成における時価純資産価額が簿価純資産価額を超える場合等の特例

《第6章》欠損等法人

1 5年ルール

2 「廃止」の明確化

3 資産管理会社の買収

《第7章》譲渡損益の繰延べ

【第12回】

1 グループ内における転売

2 被合併法人株式が譲渡損益の繰延べの対象になる場合

3 少額資産の特例

《第8章》資産調整勘定

1 現行法の取扱い

2 実務上の問題点

3 税制改正の必要性

4 その他の問題点

《第9章》グループ通算制度

【第13回】

1 グループ通算制度の開始・加入

【第14回】

2 グループ通算制度の離脱

【第15回】

3 通算子法人株式の取扱い

【第16回】

4 通算グループ内の組織再編成

《第10章》その他諸税

【第17回】

1 消費税

2 不動産取得税

《第11章》スピンオフ税制の拡充

【第18回】

《第12章》グループ法人税制の代替案

1 他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税と繰越欠損金の使用制限

2 他の法人による支配関係がなくなったことに伴う時価評価課税と帳簿価額修正

3 子法人株式に係る譲渡損益の繰延べ

《終章》おわりに

【第19回】

筆者紹介

佐藤 信祐

(さとう・しんすけ)

公認会計士・税理士、法学博士
公認会計士・税理士 佐藤信祐事務所 所長

平成11年 朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入所
平成13年 公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現 デロイトトーマツ税理士法人)入所
平成17年 税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業
平成29年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)

【主な著書】
・『ケース別に分かる企業再生の税務』(共著、中央経済社)
・『企業買収・グループ内再編の税務─ストラクチャー選択の有利不利判定─』(共著、中央経済社)
・『組織再編税制 申告書・届出書作成と記載例』(共著、清文社)
・『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(共著、清文社)
・『組織再編における株主課税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』(中央経済社)
・『債務超過会社における組織再編の会計・税務』(共著、中央経済社)
・『グループ法人税制における無対価取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編・グループ内取引における消費税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『これだけ!組織再編&事業承継税制』(共著、中央経済社)
・『無対価組織再編・資本等取引の税務』(中央経済社)
・『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編成の税務詳解』(共著、清文社)
・『消費税 個別対応方式の実務 プラス 100Q&A』(共著、清文社)
・『組織再編による 事業承継対策』(共著、清文社)
・『組織再編の会計と税務の相違点と別表四・五(一)の申告調整』(共著、清文社)
・『中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務』(共著、清文社)
・『条文と制度趣旨から理解する 合併・分割税制』(清文社)
・『事業承継M&Aの実務』(共著、清文社)
・『組織再編税制大全』(清文社)
・『新版 サクサクわかる! 超入門 中小企業再編の税務』(清文社)
・『サクサクわかる! 超入門 合併の税務』(清文社)
・『サクサクわかる!M&Aの税務』(清文社)
・『サクサクわかる!株主対策の税務』(清文社)
・『ドリル式 組織再編成の確定申告書 別表四・五(一)徹底攻略』(清文社)
・『不動産M&Aの税務』(日本法令)
・『みなし配当の税務』(日本法令)

その他M&A、グループ内再編、事業再生及び事業承継に関する書籍多数。

        

関連書籍

プロフェッショナル グループ通算制度

公認会計士・税理士 足立好幸 著

会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

詳解 組織再編会計Q&A

公認会計士 布施伸章 著

サクサクわかる! M&Aの税務

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

M&A 無形資産評価の実務

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 編

【電子書籍版】会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

詳解 グループ通算制度Q&A

デロイト トーマツ税理士法人 稲見誠一・大野久子 監修

税法みなし規定の適用解釈と税務判断

税理士 野田扇三郎 著 税理士 山内利文 著 税理士 安藤孝夫 著 税理士 三木信博 著

サクサクわかる!超入門 合併の税務

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#