※ユニバーサルミュージック最高裁判決の判例評釈はコチラ。
〈判例評釈〉
ユニバーサルミュージック高裁判決
【第1回】
公認会計士・税理士 霞 晴久
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1 はじめに
ポール・マッカートニーやスティーヴィー・ワンダーなどの洋楽ビッグネームが所属していることで知られるユニバーサルミュージックが行った組織再編に係る更正処分に対する司法判断が話題となっている(※1)。
(※1) 令和2年8月10日付日本経済新聞「国税『伝家の宝刀』条件は 法人税法の規定適用巡り最高裁判断へ」参照。
処分行政庁は、同社の日本法人が関与した組織再編について、法人税法132条に定める同族会社の行為計算規定を適用し、同法人の行為計算を否認する課税処分を行った。これを不服として同法人が提訴した第一審では国側が敗訴し、さらに令和2年6月24日、その控訴審判決(※2)において、国側は再度敗れる結果となった。
(※2) 東京高裁令和2年6月24日(令和元年(行コ)第213号、TAINSコード:Z888-2315)。
第一審の東京地裁判決(※3)で特に注目を集めたのは、法人税法132条に関するこれまでの判決にない納税者有利の基準(筆者は仮に「およそない基準」と呼ぶ)が示されたことである。その後の控訴審において、かかる新基準が維持されるか否かに関心が集まっていたところ、東京高裁はこれを全面的に否定し、ヤフー事件の最高裁判決で示された法人税法132条の2の不当性要件の判断枠組みと同様の考え方を提示し、第一審の考え方を改めるとともに、高裁が示した判断枠組みにおいても納税者の行為計算に経済合理性があるとした。
(※3) 東京地裁令和元年6月27日判決((第1事件)平成27年(行ウ)第468号、(第2事件)平成29年(行ウ)第503号、(第3事件)平成30年(行ウ)第444号、TAINSコード:Z888-2250)。
本連載では、近年蓄積されている行為計算否認に係る様々な裁判例(IBM事件、ヤフー/IDCF事件、TPR事件等)における法人税法132条及び同法132条の2《組織再編成に係る行為又は計算の否認》の判断枠組みを比較しながら、本件の控訴審判決を検討することとしたい。
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