谷口教授と学ぶ
国税通則法の構造と手続
【第19回】
「国税通則法42条(41条~45条)」
-42条の「異質さ」と租税債権の本質-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
国税通則法42条(債権者代位権及び詐害行為取消権)
(債権者代位権及び詐害行為取消権)
第42条 民法第3編第1章第2節第2款(債権者代位権)及び第3款(詐害行為取消権)の規定は、国税の徴収に関して準用する。
1 国税の納付及び徴収に関する「雑則」の中の債権者代位権及び詐害行為取消権
国税通則法第3章は「国税の納付及び徴収」について規定し、同章では第1節が「国税の納付」について、第2節が「国税の徴収」について、第3節が「雑則」についてそれぞれ規定している。
これらのうち「雑則」は、まさに雑多な事項に関する規定の集合体であるが、「第3節においては、国税の徴収の所轄庁その他前2節の手続に直接関連して必要な事項を規定している。」(武田昌輔監修『DHCコンメンタール国税通則法』(第一法規・加除式)1841頁。志場喜徳郎ほか共編『国税通則法精解〔令和4年改訂・17版〕』(大蔵財務協会・2022年)431頁も同旨)と述べられていることからすると、「雑則」のうち国税通則法43条(国税の徴収の所轄庁)、44条(更生手続等が開始した場合の徴収の所轄庁の特例)及び45条(税関長又は国税局長が徴収する場合の読替規定)こそが、本来的な意味での「雑則」であるように思われる。
そうすると、国税通則法41条(第三者の納付及びその代位)及び42条(債権者代位権及び詐害行為取消権)は、「雑則」の中でも「異質な」規定であるように思われる。もっとも、「41条の規定は、いわば国税の納付およびその効果に関する規定であるから、この章の『国税の納付及び徴収』という章題名のもとにおける雑則規定として設けておくよりも、むしろこの章第1節の『国税の納付』という節題名のもとにおいて規定しておいた方がよかつたのではないかと思われる。」(中川一郎=清永敬次編『コンメンタール国税通則法』(税法研究所・加除式[1989年追録第5号加除済])F331頁[吉良実執筆])という正当な指摘によれば、41条の「異質さ」は、規定位置による形式的なものに過ぎないように思われる。これに対して、 42条の「異質さ」については、租税債権の本質にまで立ち返って検討する必要があるように思われるので、以下で項を改めてこの点について検討することにする。
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