公開日: 2015/12/24 (掲載号:No.150)
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[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第6回】「グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)」~早期不正対処の重要性~

筆者: 松澤 公貴

[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第6回】

「グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)」
~早期不正対処の重要性~

 

公認会計士・公認不正検査士
松澤 公貴

 

会社組織を人間の身体に例えるならば、不祥事は身体に侵入した新種の「ウイルス」と言っても過言ではない。すなわち、子会社で不祥事が発覚した場合には、ウイルスの感染活動は本当に収まったのか、ウイルスの活動の痕跡の確認を行って、早期の点検と被害低減に取り組む必要がある。

本稿では、筆者の経験上、子会社の不祥事の発生につき、どのように早期の対処を実施するのかをご紹介したい。

 

1 子会社の経営者の目線

例えば、ある子会社のある支店・事業所で不祥事が発覚した場合、子会社の経営者は、必ず他の支店・事業所でも同様の不祥事が発生していないかを調査する必要がある。これは、子会社の経営者として当然の行為であり、不祥事が発覚した支店・事業所と同じ深度で調査を実施することで、自社の「ウイルス」が全滅したことを確認することとなる。

【図表1】

 

2 親会社の経営者の目線

親会社の経営者としては、ある子会社のある支店・事業所で不祥事が発覚した場合、同一環境に置かれている他の子会社にも同様の不祥事が発生していないかを検討する必要がある。この場合、子会社だけに目を向けがちであるが、親会社においても同一環境にある部門・事業において、子会社不祥事と同じことが発生していないかを検証する必要がある。不祥事対策の確立の程度、内部監査の頻度、資産・売上高の規模を勘案して、濃淡をつけて調査を実施することで、「ウイルス」の転移、二次感染がないかを検証する。

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[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第6回】

「グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)」
~早期不正対処の重要性~

 

公認会計士・公認不正検査士
松澤 公貴

 

会社組織を人間の身体に例えるならば、不祥事は身体に侵入した新種の「ウイルス」と言っても過言ではない。すなわち、子会社で不祥事が発覚した場合には、ウイルスの感染活動は本当に収まったのか、ウイルスの活動の痕跡の確認を行って、早期の点検と被害低減に取り組む必要がある。

本稿では、筆者の経験上、子会社の不祥事の発生につき、どのように早期の対処を実施するのかをご紹介したい。

 

1 子会社の経営者の目線

例えば、ある子会社のある支店・事業所で不祥事が発覚した場合、子会社の経営者は、必ず他の支店・事業所でも同様の不祥事が発生していないかを調査する必要がある。これは、子会社の経営者として当然の行為であり、不祥事が発覚した支店・事業所と同じ深度で調査を実施することで、自社の「ウイルス」が全滅したことを確認することとなる。

【図表1】

 

2 親会社の経営者の目線

親会社の経営者としては、ある子会社のある支店・事業所で不祥事が発覚した場合、同一環境に置かれている他の子会社にも同様の不祥事が発生していないかを検討する必要がある。この場合、子会社だけに目を向けがちであるが、親会社においても同一環境にある部門・事業において、子会社不祥事と同じことが発生していないかを検証する必要がある。不祥事対策の確立の程度、内部監査の頻度、資産・売上高の規模を勘案して、濃淡をつけて調査を実施することで、「ウイルス」の転移、二次感染がないかを検証する。

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連載目次

「[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ」(全12回)

  • 【第1回】
    子会社の不祥事が親会社・親会社役員にもたらすインパクト
    ~場合によっては親会社の屋台骨をゆらがしかねない子会社の不祥事~
    (遠藤元一)
  • 【第2回】
    周辺エリアで生じやすい不祥事
    ~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
    (松澤公貴)
  • 【第3回】
    子会社管理についての判例・裁判例と平成26年改正会社法の影響
    ~グループ企業経営が会社法の本体に格上げされたことで親会社の責任はどのように変わるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第4回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)
    ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第5回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その2)
    ~リスクベースドアプローチの重要性~
    (遠藤元一)
  • 【第6回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)
    ~早期不正対処の重要性~
    (松澤公貴)
  • 【第7回】
    グループ企業への具体的な関与(その1)
    ~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第8回】
    グループ企業への具体的な関与(その2)
    ~リスク管理に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第9回】
    グループ企業への具体的な関与(その3)
    ~監査機能の課題と重要性①~
    (松藤 斉)
  • 【第10回】
    グループ企業への具体的な関与(その4)
    ~監査機能の課題と重要性②~
    (松藤 斉)
  • 【第11回】
    グループ企業への具体的な関与(その5)
    ~グループ内部通報が親会社を救う~
    (遠藤元一)
  • 【第12回】
    海外子会社の内部統制システムとコンプライアンス強化
    ~親会社視点での国内子会社との相違点・留意点等~
    (遠藤元一)

筆者紹介

松澤 公貴

(まつざわ・こうき)

松澤綜合会計事務所 代表
公認会計士・税理士・行政書士・日本証券アナリスト協会認定アナリスト・公認不正検査士

大手会計事務所の執行役員を経て現職。

M&A、事業・企業再編時等におけるデューデリジェンス、株式価値評価、IPO支援業務等の多数で多様なコンサルティング経験がある。また、粉飾決算、資産横領等の不正調査業務に関しては相当数の経験があり、案件数は500件を超え、不正関与者へのインタビューは2,000人にも及ぶ。

日本公認会計士協会に設置されている経営研究調査会の「不正調査専門委員会」において専門委員会長に就任した経験があり、「不正調査ガイドライン」(日本公認会計士協会)の作成に関与している。

【著書】
『実務事例 会計不正と粉飾決算の発見と調査』(2017年、日本加除出版)

関連書籍

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

ドローン・ビジネスと法規制

森・濱田松本法律事務所 AI・IoTプラクティスグループ 編 弁護士 戸嶋浩二 編集代表 弁護士 林 浩美 編集代表 弁護士 岡田 淳 編集代表

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著

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