公開日: 2015/11/26 (掲載号:No.146)
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[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第4回】「グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)」 ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~

筆者: 遠藤 元一

[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第4回】

「グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)」
~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~

 

弁護士 遠藤 元一

 

親会社は、親会社の企業理念・価値観に基づいて経営を行う必要から、コード・オブ・コンダクト(行動規範)を策定し、グループ会社にも親会社の企業理念・価値観を共有してもらうことがグループ会社経営の出発点となる。

そしてその次に問題となるのは、「どのようにグループ会社を管理すべきか」である。

 

1 グループ会社管理規程を定めて全社的な統制を図る

親会社も子会社の管理業務を行う役職員の人数が限られており、全てのグループ会社に対して逐一個別の監視・監督を及ぼすことは現実的ではない。また、子会社を親会社内の各部門と同様に位置付けて、一律にマイクロマネジメントを及ぼし、管理者が子会社に直接的な指揮命令を行い細部にまで干渉すると、子会社の独自性・自立性が損なわれるうえに、親会社としての管理責任を問われる法的リスクを抱えることにもなりかねない。

管理自体が目的化し、形式的・ルーチンな報告要求が繰り返されたり、子会社が親会社に情報を提供し、あるいは事前承諾を求めても、親会社の管理担当者が多忙で手が回らない等の理由から迅速に反応できないと、子会社の事業を停滞させ、モチベーションを低下させることも生じる。

親会社が全社的な観点からどこまで統制を及ぼし、どこまで自律性・独立性を尊重すべきか、そのバランスをどこで図るのか、メリハリの利いた管理をどのように実現するかは難問である。

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[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第4回】

「グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)」
~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~

 

弁護士 遠藤 元一

 

親会社は、親会社の企業理念・価値観に基づいて経営を行う必要から、コード・オブ・コンダクト(行動規範)を策定し、グループ会社にも親会社の企業理念・価値観を共有してもらうことがグループ会社経営の出発点となる。

そしてその次に問題となるのは、「どのようにグループ会社を管理すべきか」である。

 

1 グループ会社管理規程を定めて全社的な統制を図る

親会社も子会社の管理業務を行う役職員の人数が限られており、全てのグループ会社に対して逐一個別の監視・監督を及ぼすことは現実的ではない。また、子会社を親会社内の各部門と同様に位置付けて、一律にマイクロマネジメントを及ぼし、管理者が子会社に直接的な指揮命令を行い細部にまで干渉すると、子会社の独自性・自立性が損なわれるうえに、親会社としての管理責任を問われる法的リスクを抱えることにもなりかねない。

管理自体が目的化し、形式的・ルーチンな報告要求が繰り返されたり、子会社が親会社に情報を提供し、あるいは事前承諾を求めても、親会社の管理担当者が多忙で手が回らない等の理由から迅速に反応できないと、子会社の事業を停滞させ、モチベーションを低下させることも生じる。

親会社が全社的な観点からどこまで統制を及ぼし、どこまで自律性・独立性を尊重すべきか、そのバランスをどこで図るのか、メリハリの利いた管理をどのように実現するかは難問である。

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連載目次

「[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ」(全12回)

  • 【第1回】
    子会社の不祥事が親会社・親会社役員にもたらすインパクト
    ~場合によっては親会社の屋台骨をゆらがしかねない子会社の不祥事~
    (遠藤元一)
  • 【第2回】
    周辺エリアで生じやすい不祥事
    ~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
    (松澤公貴)
  • 【第3回】
    子会社管理についての判例・裁判例と平成26年改正会社法の影響
    ~グループ企業経営が会社法の本体に格上げされたことで親会社の責任はどのように変わるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第4回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)
    ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第5回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その2)
    ~リスクベースドアプローチの重要性~
    (遠藤元一)
  • 【第6回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)
    ~早期不正対処の重要性~
    (松澤公貴)
  • 【第7回】
    グループ企業への具体的な関与(その1)
    ~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第8回】
    グループ企業への具体的な関与(その2)
    ~リスク管理に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第9回】
    グループ企業への具体的な関与(その3)
    ~監査機能の課題と重要性①~
    (松藤 斉)
  • 【第10回】
    グループ企業への具体的な関与(その4)
    ~監査機能の課題と重要性②~
    (松藤 斉)
  • 【第11回】
    グループ企業への具体的な関与(その5)
    ~グループ内部通報が親会社を救う~
    (遠藤元一)
  • 【第12回】
    海外子会社の内部統制システムとコンプライアンス強化
    ~親会社視点での国内子会社との相違点・留意点等~
    (遠藤元一)

筆者紹介

遠藤 元一

(えんどう・もとかず)

弁護士
東京霞ヶ関法律事務所 パートナー弁護士(第二東京弁護士会)
立教大学法科大学院講師

東京大学法学部卒。

指定住宅紛争処理機関紛争処理委員、社団法人グローバルビジネスロー研究会理事を務める。
日本私法学会、日本内部統制研究学会、著作権法学会等所属。

主な取扱分野は、倒産法、危機管理対応、コーポレート・ガバナンス関連、監査・会計と法律との業際問題、国内訴訟事件、企業法務全般、講演活動等。

【主な著作】
・『循環取引の実務対応』(民事法研究会、2012)
・『倒産と担保・保証』(共著・商事法務、2014)
・『会計不正 平時における監査役の対応』(共著・LABO、2015)
・「『監査における不正リスク対応基準』が取締役に及ぼし得る影響(上)(下)」旬刊商事法務2023、2024号(2014)

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