〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕
過大支払利子税制
─企業戦略への影響と対策─
【第6回】
「超過利子額の損金算入」
アースタックス税理士法人
税理士 中村 武
前回までの解説において、「関連者支払利子等の額」「控除対象受取利子等合計額」「関連者純支払利子等の額」「調整所得金額」及び「適用除外」に関して、その意義や算出方法等のポイントを確認してきた。これにより、本制度における「損金不算入額」の計算過程についての解説を終えたこととなる。
今回は、本制度のもう一つの特徴である、翌年度以降の「超過利子額(損金不算入額の繰越額)の損金算入」について解説を行う。
1 超過利子額の損金算入
法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において、本制度により損金の額に算入されなかった金額(この措置及び本制度に係る超過利子額と外国子会社合算税制との適用調整によりその各事業年度前の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたものを除く)(以下「超過利子額」)がある場合には、その超過利子額(本制度に係る超過利子額と外国子会社合算税制との適用調整により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものを除く)に相当する金額は、その法人の各事業年度の調整所得金額の50%に相当する金額から関連者純支払利子等の額を控除した残額に相当する金額を限度として、その法人のその各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされる(措法66の5の3①)。
〈ポイント1〉
損金算入制度の趣旨
前回までの解説のとおり、本制度は「所得金額に比して過大な支払利子」について損金算入を制限し、租税回避を防止するために導入されたものであり、課税の繰延べをその目的とするものではない。
しかしながら、その判断の基礎となる所得金額及び支払利子の水準は、短期的な市況・当該企業の状況等、企業を取り巻く様々な要因により大きく変動する要素となっている。
したがって、当該変動による影響を緩和する目的で、単年度の状況だけでなく、事後の一定期間(7年間)の状況を踏まえて、過大な支払利子に該当するかどうかの判断を行うこととしている。
具体的には、本制度の適用により生じた損金不算入額を翌年度以降に繰り越し、調整所得金額の50%に相当する金額が関連者純支払利子等の額を上回る事業年度において、その差額に相当する金額を限度として損金算入することとされている。
〈ポイント2〉
翌年度以降の損金算入イメージ
第2回においても簡単な事例を用いて超過利子額の損金算入について概略を解説したが、理解を深めるため、再度二期連続でのイメージを下記に記載する。
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