法人税に係る帰属主義及び
AOAの導入と実務への影響
【第8回】
「改正の内容⑦」
税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦
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3-1-15 PEに係る取引に係る文書化
本支店間取引は内部取引であるため、取引として認識されていないものも多いとみられる。今回の改正において帰属主義と同時にAOAを導入したことから、平成28年4月1日以降開始事業年度においてPE帰属所得を有する外国法人は、本店と支店が分離独立した企業であるとした場合に取引があったと認識すべき取引はこれが行われたものとして、PE帰属所得を計算することとされた。
内部取引が存在したかどうかを認識する際の出発点が、機能・事実分析である。
その結果を文書化することが今回の改正で義務化された。
(1) 外部取引に関する事項
PEを有する外国法人は、外部と行った取引のうちPEに帰せられるもの(PE帰属外部取引)については、次の事項を記載した書類を作成しなければならない(法法146の2①、法規62の2)。
① PE帰属外部取引の内容を記載した書類
具体的にはPE帰属外部取引がどのような取引であるかを説明する書類であり、契約書等に記載された内容を整理すれば足りると考えられる(「平成26年度税制改正の解説」(財務省)748頁)。
② PE及び本店がPE帰属外部取引において使用した資産(無形資産を含む)の種類、内容、契約条件等が分かる書類及び関連した負債の種類や内容が分かる書類
特に、実務上は重要な価値を有し所得の源泉となる無形資産の帰属者をどのように認識するかが重要になると考えられる。
③ 外国法人のPE及び本店等の果たす機能・負担するリスクを説明する書類
「機能」とは、研究開発、設計、調達、製造、市場開拓、販売等の企業活動をいう。これらの活動がどこでどのように果たされているかを整理する必要がある。
AOAでは機能が果たされている部門で所得を認識することになるので、例えば、日本支店において販売機能を果たしている場合で、収益の記帳が外国の本店で一括して行われている場合には、日本支店が本店とは別個の分離した独立の企業と擬制した場合の収益を日本支店のPE帰属国内源泉所得と認識する必要がある。この場合、実際に所得の送金を行うかどうかは各国の制度に従うことになる。
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