公開日: 2015/04/09 (掲載号:No.114)
文字サイズ

法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第11回】「内国法人の法人税②」

筆者: 小林 正彦

法人税に係る帰属主義及び

AOAの導入と実務への影響

【第11回】

「内国法人の法人税②」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

連載の目次はこちら

3-2-1-2 国外所得金額の計算

(1) 国外所得金額の計算の概要

外国税額控除の控除限度額の計算の基礎となる国外所得金額は、国外源泉所得に係る所得に対してのみ法人税を課するものとした場合に課税標準となるべき当該事業年度の所得の金額とされ、国外事業所等に帰せられるべき資本に対応した利子の損金不算入相当額について加減算の調整を行う必要がある(法法69①、法令141の2①)。

前回述べたように、国外源泉所得は16種類が定められているが、国外事業所等帰属所得とそれ以外の国外源泉所得に区分して検討する必要がある。国外事業所等帰属所得は国外事業所等ごとに独立の事業者と擬制して帰せられるべき所得を計算する必要がある。その結果、国外事業所等帰属所得に係る国外所得金額は、内国法人全体として算出される所得金額と一致しないこととなる。

他方で、国外事業所等帰属所得以外の国外源泉所得に係る国外所得金額は、内国法人全体として算出される所得金額の範囲内に収まる。

(2) 国外事業所等帰属所得に係る国外源泉所得の認識時期

国外事業所得等帰属所得は独立して事業を行う事業者と擬制するので、収益認識の時期も独立の事業者であるとした場合に所得を認識すべき時期となる。例えば、支店から本店に商品の販売を行った場合は、内国法人全体として収益が実現していない場合でも、支店の収益を認識することとなる。

(3) 国外事業所等が内部取引により取得した資産

例えば、国外事業所が本店等から商品を取得して外部に販売した場合は、外国税額控除における国外所得金額の計算上は、本店等における取得価額ではなく、その内部取引における取得価額を基礎として売上原価の計算を行うことになる。

(4) 内外共通費用の配分

当期の所得金額の計算上損金算入された販売費・一般管理費その他の費用のうち国外源泉所得を生ずべき業務とそれ以外の業務の双方に関連して生じた共通費用がある場合は、収入金額、資産の価額、使用人の数その他の基準のうち内国法人の行う業務の内容及び費用の性質に照らして合理的と認められる基準によって国外所得金額の計算上の損金の額として配分する必要がある(法令141の2③)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

法人税に係る帰属主義及び

AOAの導入と実務への影響

【第11回】

「内国法人の法人税②」

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

 

連載の目次はこちら

3-2-1-2 国外所得金額の計算

(1) 国外所得金額の計算の概要

外国税額控除の控除限度額の計算の基礎となる国外所得金額は、国外源泉所得に係る所得に対してのみ法人税を課するものとした場合に課税標準となるべき当該事業年度の所得の金額とされ、国外事業所等に帰せられるべき資本に対応した利子の損金不算入相当額について加減算の調整を行う必要がある(法法69①、法令141の2①)。

前回述べたように、国外源泉所得は16種類が定められているが、国外事業所等帰属所得とそれ以外の国外源泉所得に区分して検討する必要がある。国外事業所等帰属所得は国外事業所等ごとに独立の事業者と擬制して帰せられるべき所得を計算する必要がある。その結果、国外事業所等帰属所得に係る国外所得金額は、内国法人全体として算出される所得金額と一致しないこととなる。

他方で、国外事業所等帰属所得以外の国外源泉所得に係る国外所得金額は、内国法人全体として算出される所得金額の範囲内に収まる。

(2) 国外事業所等帰属所得に係る国外源泉所得の認識時期

国外事業所得等帰属所得は独立して事業を行う事業者と擬制するので、収益認識の時期も独立の事業者であるとした場合に所得を認識すべき時期となる。例えば、支店から本店に商品の販売を行った場合は、内国法人全体として収益が実現していない場合でも、支店の収益を認識することとなる。

(3) 国外事業所等が内部取引により取得した資産

例えば、国外事業所が本店等から商品を取得して外部に販売した場合は、外国税額控除における国外所得金額の計算上は、本店等における取得価額ではなく、その内部取引における取得価額を基礎として売上原価の計算を行うことになる。

(4) 内外共通費用の配分

当期の所得金額の計算上損金算入された販売費・一般管理費その他の費用のうち国外源泉所得を生ずべき業務とそれ以外の業務の双方に関連して生じた共通費用がある場合は、収入金額、資産の価額、使用人の数その他の基準のうち内国法人の行う業務の内容及び費用の性質に照らして合理的と認められる基準によって国外所得金額の計算上の損金の額として配分する必要がある(法令141の2③)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

「法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響」(全15回)

【第1回】 「改正の趣旨と背景」

1 はじめに

2 改正の趣旨と背景

2-1 総合主義から帰属主義へ

2-2 AOAの導入

2-3 改正の概要

2-3-1 外国法人の日本支店の課税所得計算の見直し(概要)

2-3-2 内国法人に影響する改正点(概要)

【第2回】 「改正の内容①」

3 改正の内容

3-1 外国法人の法人税

3-1-1 改正の概要

3-1-2 国内源泉所得(ソ-スル-ル)の改正

3-1-3 課税標準の改正

3-1-4 PEの定義の不変更

【第3回】 「改正の内容②」

3-1-5 恒久的施設帰属所得金額の計算

3-1-5-1 恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算

3-1-5-2 還付金等の益金不算入

3-1-5-3 保険会社の投資資産及び投資収益

【第4回】 「改正の内容③」

3-1-5-4 PE帰属資本に対応する負債利子の損金不算入

【第5回】 「改正の内容④」

3-1-5-5 外国銀行等の資本に係る負債利子の損金算入

3-1-5-6 法人税額から控除する外国税額の損金不算入

3-1-5-7 本店配賦経費に関する書類の保存がない場合における本店配賦経費の損金不算入

3-1-5-8 PEの閉鎖・再進出の扱い

【第6回】 「改正の内容⑤」

3-1-6 恒久的施設非帰属所得に係る所得金額の計算

3-1-7 繰越欠損金

3-1-8 税額の計算

【第7回】 「改正の内容⑥」

3-1-9 中間申告

3-1-10 確定申告

3-1-11 納付

3-1-12 還付

3-1-13 更正の請求

3-1-14 青色申告

【第8回】 「改正の内容⑦」

3-1-15 PEに係る取引に係る文書化

3-1-16 更正及び決定

3-1-17 帳簿書類の備付け等

【第9回】 「改正の内容⑧」

3-1-18 PEの定義

3-1-19 外国法人の内部取引に係る課税の特例(独立企業原則の適用)

【第10回】 「内国法人の法人税①」

3-2  内国法人の法人税

3-2-1 外国税額控除の改正

3-2-1-1 国外源泉所得

【第11回】 「内国法人の法人税②」

3-2-1-2 国外所得金額の計算

【第12回】 「内国法人の法人税③」

3-2-1-3 控除限度額の計算

3-2-1-4 外国税額控除の対象とならない外国法人税の額

3-2-1-5 文書化

3-2-1-6 適格合併が行われた場合の繰越控除限度額等

3-2-2 連結事業年度における外国税額の控除

【第13回】 「外国法人の所得税」

3-3 外国法人の所得税

3-3-1 外国法人に係る所得税の課税標準

3-3-2 国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例

【第14回】 「企業活動への影響」

4 企業活動への影響

4-1 外国法人・内国法人に共通の影響

4-1-1 AOA導入国がまだ少ないことによる影響

4-1-2 移転価格並みの独立企業間価格の計算と文書化が必要なこと

4-1-3 重要な人的機能の認識により所得配分のあり方が変わること

4-1-4 資本配賦計算が必要になること

4-2 日本に支店をもつ外国法人への影響

4-3 外国支店を有する内国法人への影響

【第15回】 「適用開始日までに準備すべき事項」

5 適用開始日(平成28年4月1日以降開始事業年度)までに準備すべき事項

5-1 外国法人の日本支店の準備

5-2 国外PEを有する内国法人の準備

筆者紹介

小林 正彦

(こばやし・まさひこ)

デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
移転価格サービス
パートナー/税理士

1957年生まれ
長野県松本市出身

【職歴】
・1980年4月東京国税局採用
・1980年から2006年まで、国税庁、東京国税局調査部、東京国税局管内税務署において移転価格・相互協議、APA審査、法人税調査、所得税調査、源泉税調査事務等国際課税関係事務を中心に幅広い国税に関する実務を経験
・2006年7月税大研究部教授を最後に国税庁を退官、税理士法人トーマツに入社
・2008年7月パートナー就任
・現在、移転価格サービス所属パートナー、租税争訟支援サービスチームのヘッドとして、移転価格を含む税務調査対応、不服申立て、移転価格プランニング、APA申請、相互協議等に幅広い分野に関するコンサルティング業務に従事

【著書】
・『平成25年1月施行の実務に対応!税務調査のすべてQ&A』共著(清文社)

新着情報

もっと⾒る

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#