公開日: 2019/10/31 (掲載号:No.342)
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改正相続法に対応した実務と留意点 【第9回】「配偶者短期居住権に関する留意点」

筆者: 阪本 敬幸

改正相続法に対応した実務留意点

【第9回】

「配偶者短期居住権に関する留意点」

 

弁護士 阪本 敬幸

 

今回は、配偶者短期居住権に関する留意点について解説する。

 

1 配偶者短期居住権とは

配偶者が、被相続人の死亡前から被相続人所有建物に居住していた場合、建物に関して、特段の事情がない限り、被相続人と配偶者との間で、被相続人の相続開始時を始期として使用貸借契約が成立しているものと推認されていた(最高裁平成8年12月17日判決)。しかしこのように考えたとしても、被相続人が配偶者以外の者に建物を遺贈した場合などには、被相続人と配偶者との間に使用貸借契約が成立していたとは考えられず、配偶者は直ちに建物を明け渡さなければならないことになる。

そこで、配偶者保護の観点から、配偶者が相続開始時に被相続人所有建物に無償で居住していた場合、一定の期間、配偶者は無償で建物を使用できるとする配偶者短期居住権が定められた(改正後民法1037条)。

改正民法では、配偶者居住権(改正後民法1028条)も定められているが、配偶者居住権は遺贈・遺産分割・審判があってはじめて成立することや、配偶者居住権者が長期間建物を使用することになることから、配偶者居住権が成立することはさほど頻繁ではないと思われる。

しかし配偶者短期居住権成立の要件は、被相続人死亡前に配偶者が被相続人所有建物に居住していることであり、頻繁に成立することが予想される。

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改正相続法に対応した実務留意点

【第9回】

「配偶者短期居住権に関する留意点」

 

弁護士 阪本 敬幸

 

今回は、配偶者短期居住権に関する留意点について解説する。

 

1 配偶者短期居住権とは

配偶者が、被相続人の死亡前から被相続人所有建物に居住していた場合、建物に関して、特段の事情がない限り、被相続人と配偶者との間で、被相続人の相続開始時を始期として使用貸借契約が成立しているものと推認されていた(最高裁平成8年12月17日判決)。しかしこのように考えたとしても、被相続人が配偶者以外の者に建物を遺贈した場合などには、被相続人と配偶者との間に使用貸借契約が成立していたとは考えられず、配偶者は直ちに建物を明け渡さなければならないことになる。

そこで、配偶者保護の観点から、配偶者が相続開始時に被相続人所有建物に無償で居住していた場合、一定の期間、配偶者は無償で建物を使用できるとする配偶者短期居住権が定められた(改正後民法1037条)。

改正民法では、配偶者居住権(改正後民法1028条)も定められているが、配偶者居住権は遺贈・遺産分割・審判があってはじめて成立することや、配偶者居住権者が長期間建物を使用することになることから、配偶者居住権が成立することはさほど頻繁ではないと思われる。

しかし配偶者短期居住権成立の要件は、被相続人死亡前に配偶者が被相続人所有建物に居住していることであり、頻繁に成立することが予想される。

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連載目次

筆者紹介

阪本 敬幸

(さかもと・のりゆき)

弁護士

東北大学法学部及び関西学院大学法科大学院卒業後、大阪弁護士会にて弁護士登録。

【著書】
相続税 税務調査[指摘事項]対応マニュアル」(清文社2018年出版)共著

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