パフォーマンス・シェア(Performance Share)と
リストリクテッド・ストック(Restricted Stock)
~経済産業省報告書で示された「2つの新しい株式報酬」~
【第1回】
「役員に対する業績連動型報酬のニーズの高まり」
弁護士・公認会計士 中野 竹司
1 役員に対する業績連動型報酬のニーズの高まり
(1) 業績連動型報酬への関心の高まり
近時、業績連動型役員報酬が注目されつつある。
コーポレートガバナンス・コードでは、原則4-2で、「経営陣の報酬については、・・・インセンティブ付けを行うべきである」とされ、また補充原則4-2①で、「経営陣の報酬は、・・・中長期的な業績と連動する報酬の割合や現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。」と定められた。このため、多くの上場会社では業績連動型報酬に関する自社の考え方を整理することが求められている。
また、平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」では、業績連動型報酬普及のための制度面での手当てが整備される方向性が示されている。
(2) 経済産業省報告書の公表
このような状況の下、経済産業省は平成27年7月24日、「コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~」(以下「経産省報告書」という)を公表した。
経産省報告書では、わが国の企業が今後、中長期的な収益性・生産性を高めていくことが重要であるところ、個々の人材が能力を最大限発揮できる環境整備を図ることが求められるとしている。そして、そのためには、人材のインセンティブ付けが大きな課題とされ、経営者を含む業務執行者等の報酬設計におけるインセンティブ報酬の活用が検討されている。
また、このインセンティブ付けの手法として、新しい株式報酬プランである「パフォーマンス・シェア」と「リストリクテッド・ストック」と同様のプラン導入についても検討されている。
この2つのプランの概要を述べると、パフォーマンス・シェア(Performance Share)とは、中長期業績目標の達成度に応じて交付される現物株式のことであり、リストリクテッド・ストック(Restricted Stock)とは、譲渡制限が付された現物株式のことである。
わが国ではあまり馴染みのないこの「2つの株式報酬」は、経産省報告書において重要な位置づけとなっている。
そこで本連載では全3回にわたり、各種役員報酬についても触れたうえで、この2つの株式による役員報酬の特徴、メリットやデメリット、導入時の問題点等を検討していきたい。
なお、本稿における意見はすべて筆者の個人的な見解である。
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