マンション評価通達の内容と実務への影響
【第3回】
(最終回)
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
《【第1回】はこちら》
1 はじめに
2 マンション評価通達の内容
(1) 一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額
(2) 一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額
(3) 適用時期
(4) 「案」との相違点
(5) 通達に基づく評価方法のフローチャート
《【第2回】はこちら》
3 マンション評価通達の意義とその適用
(1) 通達案に係るパブリックコメント
(2) マンション評価通達の真意
(3) 通達の適用対象外となるマンション
(4) マンションの評価事例
4 マンション評価通達の実務への影響と今後
(1) 評価乖離率の算定時点からの「乖離」
国税庁が示した評価乖離率算定に係る算式が妥当なものであるのかどうかは、残念ながら現状、厳密な検証はできないのであるが(※22)、仮に妥当なものであるとした場合であっても、その算定時点が問題となる。すなわち、当該算式は、平成30年中の日本全国の中古マンション取引から異常値を除去して抽出された2,478件の取引データにより導き出されているのであるが(※23)、以下の表で見る通り平成30年以降の首都圏(中でも都区部)のマンション価格は上昇傾向にあることから、令和6年1月1日以降取得等するマンションに関し、平成30年時点のデータに基づく評価乖離率では、果たして適正な評価ができるのか大いに疑問である。
(※22) 自由度調整済決定係数が0.5864に過ぎない点も、この算式の妥当性に疑問が生じるところである。国税庁「第2回 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」(令和5年6月1日)別添2資料4頁参照。
(※23) 国税庁前掲(※22)資料2頁参照。
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