公開日: 2017/01/19 (掲載号:No.202)
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顧客との面談が“ちょっと”苦手な税理士のための面談術 【第1回】「まずは知っておきましょう。税理士としての接客の重要性」

筆者: 坪田 まり子

カテゴリ:

顧客との面談が“ちょっと”苦手な

税理士のための面談術

【第1回】

「まずは知っておきましょう。税理士としての接客の重要性」

 

有限会社コーディアル
代表取締役
坪田 まり子

 

このたびめでたく税理士として一歩を踏み出された皆さん、はじめまして。
坪田まり子と申します。

2016年6月に清文社様より『士業者が身につけたい顧客をつかむ面談術』を上梓させていただきました。ありがたいことに発売早々重刷になったこの本を、少なからず評価していただき、今回、こちらの連載の機会を頂戴いたしました。

私なりに少しでも“新米税理士”の皆さんのお役に立つべく、なりたての頃には誰もが苦手意識を持つ『面談』を中心に、執筆させていただきます。

「新米」という立場はどんな業界、どんな仕事でも、まずは実務を一人前にこなせるようになるまで、大変なご苦労があるはずです。受験中は机上の理論でよかったものが、税理士事務所で働きながら勉強していた方であっても、自らがお客様の前で「税理士」として名乗り、業務と責任を遂行していくことは、慣れるまではとにもかくにも大変だろうと拝察いたします。

私のこの連載では、そんな皆さんの“側面”支援をさせていただきたいと考えています。実務面そのものを補うものではなく、接客・接遇という面談シーンを中心にスポットを当てていきます。

実際に面談をなさるのは有資格者である皆さんですもの。その重要な面談シーンの中で、皆さんに一人前の接客・接遇スキルがあれば、お客様との良好な人間関係の構築にかなり役立つはずです。

ちょっと待ってください、坪田さん。
接客とか接遇は事務所の職員さんに任せておけばよいのでは??
そんなことより、まずは実務!

というお声が聞こえてきそうですが、新米のうちから接客・接遇スキルをないがしろにするようでは、皆さんのこの先が心配です。きっとこれから出逢うお客様方から「マナーがなっていない=常識のない先生」と思われてしまうはずだからです。

皆さんの同期は今年何名合格なさったのでしょうか。2017年現在、税理士として登録されている人数は約7万6,000人もいらっしゃるそうですね。これから税理士に依頼しようという新規のお客様から言わせれば、その中の「誰に依頼するか」は自由なのです。

どれほど素晴らしい成績をおさめ税理士になったとか、大手税理士法人に所属しているからなどの理由だけで選ばれるのではおそらくなく、最終的には皆さんのお人柄を含め、お客様が「この先生にずっと見てもらいたい」と決めていくのだと思います。

それでもやはり、大手税理士法人や先輩方がたくさんいらっしゃる事務所に所属できた場合には、最初は有利もしれません。所長を筆頭にその法人や事務所が、長い時間をかけて培ってきた信頼と実績から、既にたくさんの顧問客がいらっしゃるはずだからです。

そんな環境下にある新米の皆さんには、仕事が自然と“与えられる”のではないかと拝察します。でも、それはただ与えられるだけであり、自分の実力と人脈で勝ち取ったものではありません。ここを勘違いしてしまい、仕事は自動的に、そして永遠に上から与えられるものだと高をくくってしまっては、これから先が思いやられます。

実は、私、日本公認会計士協会東京会や関東信越税理士会をはじめ、個別の士業の法人様からも講演や研修の機会を少なからず頂戴しています。そんな私に、打ち合わせの席で、まず所長様方がおっしゃるお言葉には共通点があります。

ため息交じりにおっしゃることは、

こんなに士業者を抱えているのに、新しい仕事を自分の手で取ってくるのはほんの一握り。
どうすれば彼らの意識を変えられるのか、どうすればお客様から仕事を取ってくることができる士業者になれるのか。。。

というものです。

新米税理士として、いきなり独立なさる方がどれほどいらっしゃるのか、私には分かりませんが、皆さんの所属した事務所や法人の規模の大小にかかわらず、いつも

自分の力でお客様をつかむためにはどうすればよいのだろうか?

という意識を持っておかれることをお勧めします。ましてや皆さんが所属する最初の事務所が、皆さんを育ててくれたご両親の下であるならなおさらです。

  • どうすれば仕事を取ってくることができるだろうか?
  • どうすれば自分が両親の後を立派に継ぐことができるのだろうか?
  • どうすれば早く一人前と認めてもらえるようになるのだろうか?

と、常に前向きな意識を持ってくださいませ。

この意識を持てるかどうかが、いつしかライバルと大きな差を生むことにつながるはずです。

仕事は自分でつかみとってくるものです。
どこからか自動的に与えられるものでは決してありません。

実務面はどうぞ先輩方に、積極的にお尋ねください。私は、その「実務」と、接客・接遇という「対人関係能力」は、例えるならば「車の両輪」のようなものだと位置づけています。どちらが欠けても車は動きません。皆さんのお仕事も同じでないでしょうか。

さらにいえば、実務面以上に、お客様との面談スキルは汎用性が極めて高く、これから長い人生を、皆さんが社会人として“より良く”生きるためにも、ちゃんと身に付けておいて損をすることは決してありません。

「面倒くさいなあ・・・」なんてどうぞ思わないで、素直で、かつ、前向きなお気持ちで、私の連載と向き合っていただけましたら幸いです。

*  *  *

この初回は総論として、面談術という対人関係能力がなぜ必要なのかをお話しました。

次回からは各論として、具体的なスキルについてお話していきます。
皆さん、どうぞ最後までお付き合い下さいね。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

(続く)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

顧客との面談が“ちょっと”苦手な

税理士のための面談術

【第1回】

「まずは知っておきましょう。税理士としての接客の重要性」

 

有限会社コーディアル
代表取締役
坪田 まり子

 

このたびめでたく税理士として一歩を踏み出された皆さん、はじめまして。
坪田まり子と申します。

2016年6月に清文社様より『士業者が身につけたい顧客をつかむ面談術』を上梓させていただきました。ありがたいことに発売早々重刷になったこの本を、少なからず評価していただき、今回、こちらの連載の機会を頂戴いたしました。

私なりに少しでも“新米税理士”の皆さんのお役に立つべく、なりたての頃には誰もが苦手意識を持つ『面談』を中心に、執筆させていただきます。

「新米」という立場はどんな業界、どんな仕事でも、まずは実務を一人前にこなせるようになるまで、大変なご苦労があるはずです。受験中は机上の理論でよかったものが、税理士事務所で働きながら勉強していた方であっても、自らがお客様の前で「税理士」として名乗り、業務と責任を遂行していくことは、慣れるまではとにもかくにも大変だろうと拝察いたします。

私のこの連載では、そんな皆さんの“側面”支援をさせていただきたいと考えています。実務面そのものを補うものではなく、接客・接遇という面談シーンを中心にスポットを当てていきます。

実際に面談をなさるのは有資格者である皆さんですもの。その重要な面談シーンの中で、皆さんに一人前の接客・接遇スキルがあれば、お客様との良好な人間関係の構築にかなり役立つはずです。

ちょっと待ってください、坪田さん。
接客とか接遇は事務所の職員さんに任せておけばよいのでは??
そんなことより、まずは実務!

というお声が聞こえてきそうですが、新米のうちから接客・接遇スキルをないがしろにするようでは、皆さんのこの先が心配です。きっとこれから出逢うお客様方から「マナーがなっていない=常識のない先生」と思われてしまうはずだからです。

皆さんの同期は今年何名合格なさったのでしょうか。2017年現在、税理士として登録されている人数は約7万6,000人もいらっしゃるそうですね。これから税理士に依頼しようという新規のお客様から言わせれば、その中の「誰に依頼するか」は自由なのです。

どれほど素晴らしい成績をおさめ税理士になったとか、大手税理士法人に所属しているからなどの理由だけで選ばれるのではおそらくなく、最終的には皆さんのお人柄を含め、お客様が「この先生にずっと見てもらいたい」と決めていくのだと思います。

それでもやはり、大手税理士法人や先輩方がたくさんいらっしゃる事務所に所属できた場合には、最初は有利もしれません。所長を筆頭にその法人や事務所が、長い時間をかけて培ってきた信頼と実績から、既にたくさんの顧問客がいらっしゃるはずだからです。

そんな環境下にある新米の皆さんには、仕事が自然と“与えられる”のではないかと拝察します。でも、それはただ与えられるだけであり、自分の実力と人脈で勝ち取ったものではありません。ここを勘違いしてしまい、仕事は自動的に、そして永遠に上から与えられるものだと高をくくってしまっては、これから先が思いやられます。

実は、私、日本公認会計士協会東京会や関東信越税理士会をはじめ、個別の士業の法人様からも講演や研修の機会を少なからず頂戴しています。そんな私に、打ち合わせの席で、まず所長様方がおっしゃるお言葉には共通点があります。

ため息交じりにおっしゃることは、

こんなに士業者を抱えているのに、新しい仕事を自分の手で取ってくるのはほんの一握り。
どうすれば彼らの意識を変えられるのか、どうすればお客様から仕事を取ってくることができる士業者になれるのか。。。

というものです。

新米税理士として、いきなり独立なさる方がどれほどいらっしゃるのか、私には分かりませんが、皆さんの所属した事務所や法人の規模の大小にかかわらず、いつも

自分の力でお客様をつかむためにはどうすればよいのだろうか?

という意識を持っておかれることをお勧めします。ましてや皆さんが所属する最初の事務所が、皆さんを育ててくれたご両親の下であるならなおさらです。

  • どうすれば仕事を取ってくることができるだろうか?
  • どうすれば自分が両親の後を立派に継ぐことができるのだろうか?
  • どうすれば早く一人前と認めてもらえるようになるのだろうか?

と、常に前向きな意識を持ってくださいませ。

この意識を持てるかどうかが、いつしかライバルと大きな差を生むことにつながるはずです。

仕事は自分でつかみとってくるものです。
どこからか自動的に与えられるものでは決してありません。

実務面はどうぞ先輩方に、積極的にお尋ねください。私は、その「実務」と、接客・接遇という「対人関係能力」は、例えるならば「車の両輪」のようなものだと位置づけています。どちらが欠けても車は動きません。皆さんのお仕事も同じでないでしょうか。

さらにいえば、実務面以上に、お客様との面談スキルは汎用性が極めて高く、これから長い人生を、皆さんが社会人として“より良く”生きるためにも、ちゃんと身に付けておいて損をすることは決してありません。

「面倒くさいなあ・・・」なんてどうぞ思わないで、素直で、かつ、前向きなお気持ちで、私の連載と向き合っていただけましたら幸いです。

*  *  *

この初回は総論として、面談術という対人関係能力がなぜ必要なのかをお話しました。

次回からは各論として、具体的なスキルについてお話していきます。
皆さん、どうぞ最後までお付き合い下さいね。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

(続く)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

筆者紹介

坪田 まり子

(つぼた・まりこ)

有限会社コーディアル代表取締役。国立大学法人東京学芸大学特命教授。亜細亜大学短期大学部特任講師。プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®。

大手国際法律事務所弁護士秘書、大手資格予備校執行役員・講師を経て、2003年3月に独立。幅広く講演・講義・研修活動を行っている。

社会人向けとしては、企業・自治体・医療法人などにおいて、コミュニケーション能力及び営業力の向上を目的とした研修を行う一方、医師・教師・弁護士・公認会計士・社会保険労務士・税理士等の実務家を対象に、効果的なプレゼンテーションを行う方法などを指導している。

また、学生向けとしては、キャリアデザイン、コミュニケーション能力向上、ビジネスマナー、就職面接対策を主なテーマとして講習を行っている。いずれも受講生のモチベーションを高める指導に定評があり、公務員・企業を志望する学生へのキャリア支援、ビジネスマナー、秘書実務などの授業を受け持っている。

【公式ホームページ】
http://www.tsubotamariko.com/

【著作】
・『士業者が身につけたい 顧客をつかむ面談術』(清文社)
・『坪田まり子の士業のためのセミナー講師養成講座』(日本法令)
・『面接で『特A』をとる!』(静山社)
・『就活必修!1週間でできる自己分析2018』(さくら舎)
・『就活必修!速習7時限面接内定術2018』(さくら舎)

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